28歳「土木女子」夏美さんの覆面インタビュー
「土木女子」「ドボジョ」「けんせつ小町」への注目度が高まると共に、土木・建築業界で働く女性のインタビューやイベントも増えてきた。
しかし、そういった場では「会社の事情」や「大人の事情」が強く影響して、「女性でも働きやすい!」「女性でも評価される!」といった、ポジティブな視点で土木・建築の世界が語られがちだ。
こういった状況は歓迎すべきことではあるが、一部の女性技術者が疑問を抱いていることも無視できない。
この記事では、土木女子の覆面インタビューを行い、リアルな意見を語ってもらった。どんなホンネが飛び出すのだろうか?
土木女子が必要とする「化粧水手当」とは?
待ち合わせにやって来た、土木女子の夏美さん(仮名)は現在28歳。長身で細身、髪が長く、ワンピースが良く似合う。スーツに身を包んだらオフィスワークをしている女性にしか見えないだろう。
彼女が土木の現場に飛び込んだのは、今から2年前。前職はガソリンスタンドだった。車を磨いて給油を繰り返すだけの日々に疑問を感じた。
一生ステップアップしていける職種に就きたい。そんなことを毎日考えていたら、スタンドの利用客だった土木会社の人たちが輝いて見えた。「土木の世界に入って資格をとりまくりたい。技術を身につけたい」という気持ちが芽生え、少しずつ膨らんでいった。
家族や友人に「土木女子宣言」をすると、皆一様に「子どもが出来た時に苦労するよ」と心配した。それでも夏美さんの気持ちが揺らぐことはなかった。「これだけ反対されても揺らがないのなら、土木が進むべき道だ」と決意できた。
夏美さんが入社したのは約80名規模の土木会社である。初の土木女子社員ということで、会社と二人三脚で「女性が働きやすい職場をつくろう」と試行錯誤の日々だ。
「苦労とは感じないですね。土木の世界は男社会と覚悟して入りましたから」
そうは言っても、20代女子にとって土木の現場はタイヘンなはずだ。例えば、日焼け対策はどうだろう?
「んー、やっぱり日焼けは気になります。特に、これからお肌の曲がり角の年齢ですから。朝、UVクリームをたっぷり塗って出掛けています。でも汗であっという間に流れてしまいますね。昼休みに付け直したいんですけど、ホコリをかぶっているからできません。諦めるしかない」
UVクリームを十分塗れない分、化粧水にはこだわっている。値段の高いワンランク上の化粧水を使い続けているそうだ。「化粧水代は負担ですね。化粧水手当があったら嬉しいんですけどね」と本気とも冗談ともつかない様子で笑う。