中間貯蔵施設で働く施工管理技士にインタビュー
福島第一原発事故に伴う除染作業で発生した汚染土などを貯蔵しておく「中間貯蔵施設」。
中間貯蔵施設の建設工事は、福島復興における最も重要な事業の一つです。
今回は、中間貯蔵施設の建設工事で実際に働いている1級土木施工管理技士Sさんに、中間貯蔵施設や除染の業務について、お話を聞いてきました。
福島県への単身赴任は、復興事業という重責が伴うと思いきや、意外や意外、家族から離れて羽根を伸ばしながら稼ぎたい施工管理技士の方にとっては、楽しい充実した毎日が待っているようです。
除染・中間貯蔵施設で施工管理をする理由とは?
——中間貯蔵施設の建設工事に参加するきっかけは?
中間貯蔵施設の前に担当していた現場が、福島県の海側の除染現場だったのですが、その除染現場を担当していた元請けが中間貯蔵施設の工事も落札したからです。除染現場から中間貯蔵施設に異動する元請け社員からの推薦もあって、除染現場の竣工後に、この中間貯蔵施設の工事現場に異動した形です。中間貯蔵施設の工事現場に赴任したのは、2016年10月頃だったと思います。
——最初から放射性物質や被ばくへの恐怖はなかった?
いや、2013年4月に初めて除染現場に赴任したときは不安でしたよ。当時はまだ除染や放射性物質に関する様々な噂と報道があって、かなり躊躇しましたね。でも、ちょっと気恥ずかしい話ですが、1000年に1度と言われた大震災に対して、自分の技術を使わなくてはならないという使命感に駆られて、福島県の除染現場にやってくることを決意しました。もちろん、特殊勤務手当などで給与が高くなるという側面も後押しになりましたが、それよりも震災復興に貢献したいという気持ちが大きかったのは事実ですね。
——除染工事は一般工事と違った?
まずは除染工事は人が多い。業務自体はさほど大変ではないですが、とにかく安全管理が大変でした。作業員も施工管理者も除染経験はゼロですし、緊急大型工事なので、工事経験がない作業員も多い。そういう工事現場で安全管理をするためには、自分の常識を当たり前に思わず、工事参加者全員に伝わる言葉を探す必要がありました。ゼネコン職員だけに伝わっても意味がないので、朝礼で話す内容を前日に考えて、趣旨を咀嚼して説明することを心掛けました。結果、自分の担当した現場は事故ゼロで竣工できたので良かったです。