準大手ゼネコンも大惨敗。それでも他力本願の採用活動
以前勤務していた某準大手ゼネコンでは、こんな話を聞いた。
曲がりなりにも、準大手ゼネコンと呼ばれている有名企業なのに、土木系の新卒者の採用者数がひとケタだったというのだ。つまり、10人に満たなかった。採用人数は30人程度を定員に設定していたが大惨敗。もちろんリクルート活動には全社的に力を入れて、OBを大学に送り込み、説明会を開催するなど精力的にアピール活動していた。
だが、人事部の動きは、傍から見ると本気でやっているのか、私には疑問だった。大学を訪問したり、OB訪問をさせたりするのはいいが、上述の中堅ゼネコンの所長と同様、採用に対する「熱意」が感じられなかった。
それは各現場でも感じることで、口先では「人がいない、人が足りない」と言うものの、「人材紹介会社に聞いてみよう、派遣会社に聞いてみよう」と人材会社にあたるものの、そこまでなのだ。求人サイトにお金を払って、採用できなければ求人サイトのせいにするだけ。つまり、建設技術者を探しているようで、本気で探していないのである。
その姿を見て、私はすっかりげんなりしてしまった。建設技術者が足りない、いない、という割には、たいした努力もせず、本気で探していないのである。大手企業のぬるま湯感覚と言えばそれまでだが、そのツケは結局、現場に来るわけだ。広報部門もつまらない自己満足のコンテンツを作っているだけだ。作った本人しか観ていない、と小言も言いたくなる。他人事なのだ。
広報の体制を刷新する、給与や待遇を変える、など、ゼネコンが人材採用のためにやれることはまだまだあるはずだ。建設業界の技術者不足とは、所詮まだそのレベルなのである。