全国的にも数少ない新幹線整備に関する研究者
大阪産業大学に波床正敏という先生がいる。新幹線などの公共交通インフラの研究者だ。
一口に公共交通インフラの研究と言っても、その内容は多岐にわたるが、代表的なもので言えば、新幹線などの交通インフラによる地域への経済効果などの分析が挙げられる。
興味深い研究だが、全国的にも新幹線整備に関する研究者は数えるほどしかしないニッチな学問領域らしい。
波床先生はなぜ、公共交通インフラを選んだのか。日本は今後も新幹線を整備すべきなのか。新幹線によって、実際にどれだけの経済効果が生み出されたのか。話を聞いてきた。おまけで、最近の学生気質などについても見解を聞いてきた。
公共交通が好きだから、大学で鉄道工学を学び、研究者に
――どのような研究をしているのですか?
波床正敏 公共交通インフラです。飛行機や新幹線など都市間交通が発達すると、50~100年スパンで見たときに、地域がどれだけ発展するかというところをメインにしています。
――土木のご出身ですよね。
波床正敏 そうです。京都大学で土木を学びました。以前、取材されていた藤井聡先生とは同級生です(笑)。藤井先生とは、彼の経済モデルを使って、新幹線の経済効果に関する共同研究を行ったことがあります。藤井先生は、学生のころからあんな感じです(笑)。
――なぜ公共交通インフラを研究しようと考えたのですか?
波床正敏 簡単に言ってしまえば「好きだから」です。
高校生の頃は、航空工学を第一志望として制御工学、電子工学、機械工学あたりを目指していましたが、「鉄道工学」という学問を知り、自分が好きなことを学べるのならということで、京都大学工学部に入学しました。
3年生で鉄道工学を受講し、これに関連する研究室で卒業研究をしました。その流れで、研究者になり、教壇に立つようになったわけです。
――公共交通インフラの研究者はどれぐらいいるのですか?
波床正敏 全国的に見ても、そんなにはいないです。藤井先生なんかはここ数年、新幹線整備の研究していますけども。
道路渋滞など道路インフラ関係やまちづくりの研究者の数に比べると、かなり少ないです。そもそも研究費が出ないので(笑)。