ICT建機で、吹付枠工を省力化
吹付枠工は、法面上に鉄筋と型枠を組み立て、型枠内にモルタルを吹き付ける一連の作業をすべて人力で行うのが一般的だ。
しかし、これでは法面上での移動や材料運搬に労力を要すること、法面を昇降する際に転落・墜落のリスクがあること、さらに法面上で作業できる熟練技能者の不足などが長らく問題視されてきた。
そこで、大林組は日特建設と共同で、ICT建機により吹き付け作業を省力化する新技術「ラクデショット」を開発した。
法面上での鉄筋と型枠組み立て作業は不要に
「ラクデショット」は、自動往復スライドノズルを取り付けた3Dマシンコントロールバックホウを用いてモルタルを吹き付ける。そのため、オペレーターの熟練度に関わらず正確な操作が可能となる。
また、法面とノズル先端の位置を常に一定の離隔に保ったまま、自動スライドノズルを法面と平行に移動させられるため、簡単に一様な幅、長さおよび厚さの吹付枠工を構築できる。
吹き付け材料には、大林組が開発したスリムクリート(常温硬化型の高強度モルタルと高強度鋼繊維で構成されるコンクリート)を改良した、高強度鋼繊維補強モルタルを使用するため鉄筋も不要に。
さらに、急硬剤を添加しながらモルタルを吹き付けるため、法面上でもモルタルが自立し、型枠なしで所定の厚さの枠を構築できる。
施工コストは従来工法と同等だが、法面上での鉄筋と型枠組み立て作業が不要になるため、施工人員を約50%削減でき、工程も約25%短縮することが可能になるという。
大林組は今後、全国の道路や鉄道など吹付枠工の構築事業に、ラクデショットを積極提案していく。