民業圧迫というグレーゾーン
現在、九州を中心として豪雨災害が日本列島を襲っています。日々のニュース映像を見ると、自衛官として災害派遣に従事したころの風景を思い出し、胸が痛む思いです。
その思い出とは、東日本大震災における災害派遣です。私は運命の巡りあわせか、当時、被災地に所在する部隊の所属隊員でした。そのため、建設用重機やダンプトラックを用いた、がれき除去・運搬及び自治体と調整の任務に従事しました。
この災害派遣現場には、ニュース等ではお目にかかれないグレーゾーンが存在します。今回は「民業圧迫」をキーワードに、その体験をご紹介したいと思います。
自衛隊が災害派遣活動をすることは周囲に大きな影響を及ぼします。
私は大きく3つあると思います。
①国民の生命・財産の安全確保に寄与
②自治体の予算に影響なく復興活動が進む
③国土防衛上の空白が生じる問題(特に南西方面)
②については、民業圧迫の問題があるので政府と自治体は線引きを明確にしなければならないでしょう。
③は自衛隊の本来任務の国防に影響をきたすことから政府が自治体に理解してもらうよう引き続き働きかけていかなければならないのでしょう。
被災地出身の隊員は撤収することに対して抵抗を感じるかもしれません。しかし、自衛隊の撤収からが本当の復興の始まりなのではないかと私は思います。
昨年の千葉の台風で、10月になっても自衛隊の人達が、屋根にブルーシートを掛けているのには違和感を感じました。
主に、空き家をメインにしていたように思います。
一般の家屋は、工務店が既に掛け終わっていました。
これは、後から瓦の修理工事を請け負うためであるのは明らかです。
緊急事態が終わったなら、後は自治体が対応するべきなのに、
自衛隊は費用がかからないからだというのは、部外者から見ても明らかでした。
これで、民業圧迫と言われたら、危険な作業をしている隊員達としてはいたたまれない気持ちになります。
名前は自衛隊でも、あくまでも国防軍なのですから、
自治体に対しても、言うべき事は言えるという制度にしなくてはならないと思います。