石積み学校を2回開催した地
ここは、かつて四国の交通の要衝として栄えた池田の町から吉野川をはさんで北に位置する。四国の中山間地域では、山の斜面に点在する集落が特徴的であるが、ここもそのような集落の1つである。
南向きの斜面で日当たりもよく、この場所は他と比べて傾斜も緩い。かつて人々がこの地に居を構えることを決めたのも納得である。
この地もまた石積みの段畑が多く存在し、2013年3月に第2回石積み学校を開催した地でもある。翌月にも開催し、これまでに2回の石積み学校を開催した。
ここでの石積み学校は、地元の人々がたくさん参加してくれたこと、名物のおいしい祖谷そばを打ってお昼に出してくれたことが印象に残っている。
毎日見ている風景を、きれいだと思える
石を積みながら地元の人たちと話をしていると、この地に誇りを持っていることに気付く。
中山間地域の集落では一般的に、風景が良くても地域の人々にとっては「毎日見る普通の風景」であることが多いのだが、ここに住む人々は、この風景を「きれいだよね」と嬉しそうに話してくれた。
自分の住んでいる、毎日見ている風景を、きれいだと思えることはなんと幸せなことだろう。
他の地域と同様に高齢化が進み耕作放棄地もちらほらあるのだが、石積みの段畑を修復して桜を植え、たくさんの人に来てもらいたいという思いがあるそうだ。
この風景と、それを好きな住民がいる限り、なんでも出来る気がしてくる。
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