梅田川第1雨水幹線、通称「梅1」
小生はこれまで各都市で、300を超える下水道管に入ってきた。今回は、その中でずば抜けて複雑な構造となっている下水道管を紹介したい。
仙台市の梅田川第1雨水幹線(通称:梅1)だ。縦、横方向に入り組んだ経路の先で撮影した写真がこれだ(写真1)。
ずば抜けて複雑な構造の下水道管
順を追って説明しよう。まずは、住宅街の歩道上にあるマンホールから降りること18m。中間スラブを3回通過し、最下部では地下水の浸入がみられる。
雨天時はかなりの量が入ってくるのだろう、立坑の底に敷かれた洗堀防止用の礫の一部が枝管まで流されていた(写真2)。枝管を経由し、雨水本管に到達。変わった形状である。
上流側に向かい約380m歩くと、壁に突き当たる(実はこの壁の向こう側が目的地点だ)。そこからは斜めに向かって円管が接続されている。その脇にはステンレス製のステップがあり、それをつたい4階層上がっていく。
そこで開ける空間は、「秘密基地」とも呼べるようなものである。圧縮空気を蓄えたボンベが4本。そしてゲートと書かれた機械などが設置されていた(写真3)。
別の開口部より4階層下ると、目的の場所にたどり着く。写真1をもう一度みていただきたい。
この円管の右下4分の1が380mほど通ってきた雨水管である(先に述べた突き当りの)。円管の中央に隔壁があるが、向かって左半分は汚濁度の高い初期雨水が入る滞水池となっている(写真4)。
右半分はさらに上下に別れ、上は合流式下水道の浸水対策用放流管渠、大雨時に合流管からの越流水を梅田川まで放流する。下は先出の分流式雨水幹線。つまり、1つの円を3つに仕切り、別々の用途を持たせているわけだ。
撮影ポイントの円管は右上の越流水が一時的にたまるところで、雨が降り始めると、左半分に入った初期雨水と混ざらないようゲートが自動的に下がる(万が一電力を喪失しているとき上方にある圧縮空気が使われる)。
初期雨水は浄化センターへと流れてゆく。降雨終了時にはゲートを開け、円管(撮影ポイント)にたまった水が左側の初期雨水菅をフラッシュ洗浄しながら浄化センターまで運んでいく。
方向音痴である小生は構造を理解するのに時間を要した。だが、なぜだか複雑なほど心は燃えるものだ。
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白汚 零 文/写真
日本でただ1人の「下水道写真家」。これまでに『地下水道』『胎内都市』(共に草思社)を刊行。「マツコの知らない世界」にも出演するなど、下水道という地下世界が見せる魅力を精力的に紹介している。
白汚零さんだろうなって、すぐに想像はつくけど、何故どこの誰が執筆・撮影したのか、明記しないの?編集部のミス?
だとしたら、作品に対する扱いが雑。残念。
「施工の神様」編集部です。
ご指摘いただき、ありがとうございます。修正いたしました。
よろしくお願いいたします。