1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策 港則法「航路・港内における制限」
1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策の第22回目は、港則法の出題ポイントをまとめます。
実際に現場で港則法を使っている方が少ないことから、この分野を選択しての解答は敬遠されがちです。しかし、出題のポイントがパターン化されていますので、かえって得点を取りやすい問題でもあります。
港則法の目的・用語
そもそも、港則法とは・・・港内における船舶交通の安全および整頓を図るための法律です。道路交通法に置換えると、交通事故防止と交通規則、許可の必要な事項などをまとめた法律です。
まずは港則法の条文によく出てくる用語から勉強していきましょう!
- 雑船主
汽艇、艀(はしけ)及び端舟その他櫓櫂(ろかい)のみを持って運転し、又は主として櫓櫂をもって運転する船舶です。例えば小舟、小型のボートやカヌーなど。
※条文の頭に、「雑種船は除く」というワードが入ってくるものがほとんどなので以下省略します。 - 特定港
きっ水(水深)の深い船舶が出入できる港、または外国船舶が常時出入する港で、政令で定めるもの。つまり、大きな港で、ルールの必要となる規模の港を指します。 - 港長
港湾において港則を執行する責任者。
港則法における港長への届出・許可
よく出題される条文をピックアップ&解説します!
- 船舶は、特定港に入港したとき又は特定港を出港しようとするとき、港長に届け出なければならない。
※届出をしていれば、船舶が特定港から出港する場合、港長の許可は不要。 - 特定港内においては、船舶を修繕し、又はけい船(船を繋いで止める)しようとする者は、港長に届け出なければならない。
→届出の上、指定された場所に停泊しなければならない。 - 特定港内に停泊する船舶は、港長にびょう地を指定された場合を除き、各々そのトン数又は積載物の種類に従い、当該特定港の一定の区域内に停泊しなければならない。
- 港長の許可を受けなければ、停泊した一定の区域外に移動し、又は港長から指定されたびょう地から移動してはならない。
- 特定港の境界附近で工事又は作業をしようとする者は、港長に届け出、港長の許可を受けなければならない。
- 航路内に投びょうして工事又は作業をしようとする者は、港長に届け出、港長の許可を受けなければならない。
→届出を行い、許可をもらう必要がある。「届出を行った」だけでは×になる。 - 船舶は、特定港において危険物の積込、積替又は荷卸をするには、港長の許可を受けなければならない。
航路・港内における制限
- 汽船が港の防波堤の入口又は入口附近で他の汽船と出会うおそれのあるとき、入港する汽船は、防波堤の外で出航する汽船の進路を避けなければならない。
→出航優先! - 港内において防波堤、ふとうその他の工作物の突端又は停泊船舶を右げんに見て航行するときは、できるだけこれに近寄り航行しなければならない。
→船は右側航行と覚えておく。細くなる航路で接触しないために、右側航行すると絵に書くとわかりやすい。 - 船舶は、港内においては、ふとう、さん橋、岸壁、けい船浮標及びドックの附近にみだりにびょう泊又は停留してはならない。
- 船舶は、航路内において、投びょうし、又はえい航している船舶を放してはならない。
→試験では例外(放してもよい場合)が出題されます!それは以下の場合
- 海難を避けようとするとき
- 運転の自由を失ったとき
- 人命又は急迫した危険のある船舶の救助に従事するとき
- 港長の許可を受けて工事又は作業に従事するとき
- 何人も港内においては、港内の油送船の付近においても喫煙し又は火気を取り扱ってはならない。
→いかなる船舶の附近においても…という記述の場合は×。
【練習問題】次の記述は正しいでしょうか、誤っているでしょうか?
雑種船以外の船舶が特定港から出港する場合、その旨を港長に届け出を行い停泊した区域から移動するための許可を受けなければならない。 |
→解答×…許可がなければ、停泊した一定の区域外への移動、又は指定されたびよう地から移動してはならないと、定められているが、入出港の届出を行い入港した船舶は、特定港を出港しようとするときは、港長の許可は不要。
船舶は、港内において防波堤、ふとうその他の工作物の突端又は停泊船舶を右げんに見て航行するときは、できるだけこれに近寄り航行しなければならない。 |
→解答○…右側航行なので、突端を右げんに見て航行する場合は、右に寄るので、記述は○である。
汽船が港の防波堤の入口付近で他の汽船と出会うおそれのあるときは、出航する汽船は、防波堤の内で入航する汽船の進路を避けなければならない。 |
→解答×…逆である。港内を整とんするには、出航を優先する。