1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策 どっちが費用負担?瑕疵担保、責任は?「契約約款その2」
1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策の第25回目は、契約約款について前回の記事に引き続き勉強のポイントをまとめます。
契約(公共工事標準請負契約約款)の条件変更
- 工事の施工にあたり受注者が当該する事項を発見した場合は、監督員に通知し、その確認を請求しなければならない事項
- ◇図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しない場合
- ◇工事現場が設計図書に示された施工条件等と一致しない場合
- ◇設計図書の表示が明確でない、間違い・漏れがある場合
- ◇設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じた(地質の変化・埋蔵文化財の発見等)
→ざっくりまとめると、図面等と現状が一致しない場合。間違いがあった場合。大きな変化があった場合。
工事の中止・工期の延長
- 受注者は、天候不良等、受注者の責めよらない理由により、工期内に完成させることができないときは、発注者に工期の延長変更を請求することができる。
- 発注者は、必要があると認められるとき、受注者の責めよらない理由により工事の施工ができないと認められるときは、工事の全部または一部の施工を一時中止させることができる。
- 工期を変更する場合は、発注者と受注者が協議して定めるが、所定の期日までに協議が整わないときには、発注者が定めて受注者に通知すれば足りる。
- 発注者は特別の理由により、必要がある場合は、受注者に工期の短縮変更を請求することができる。→中止・延長・短縮、どのような状況で、受注者・発注者のどちらができるかが重要!
※工事の一時中止した場合に、必要となる費用(労働者・建設機械を保持するための費用等)・受注者がこおむった損害は、発注者が負担しなければならない。
一般損害と第三者損害
- 工事目的物の引き渡し前に、目的物・材料に発生した損害は、受注者がその費用を負担する。→引渡し前の損害は原則受注者が負担する。発注者の責任のものは発注者が負担する。発注者・受注者いずれの責にも帰すことができないものにより損害が発生した場合は、受注者は損害による費用の負担を発注者に請求できる。…発注者は、請負代金の1/100を超える額を負担しなければならない。「全額発注者が負担しなければならない」と、記載があれば誤りとなるので要注意。
- 通常さけることのできない理由により第三者に損害を及ぼした時は発注者がその損害を負担する。→ただし、受注者が善良な管理者の注意義務を怠った場合は受注者が負担する。
瑕疵担保
瑕疵担保とは…工事目的物に瑕疵(不具合)がある場合は,原則として受注者に対して相当の期間を定めて、発注者は、瑕疵の修補を請求し,又は修補に代え若しくは修補とともに損害の賠償を請求することができる。
- 発注者は、工事目的物の引き渡しの際に瑕疵があることを知ったときは、原則としてその旨を直ちに受注者に通知しなければ、当該瑕疵の修補又は損害賠償の請求をすることができない。→そのかしを受注者が認識していた場合はこの限りではない。
- 瑕疵の修補又は損害賠償の請求は、コンクリート構造物の場合は2年以内・木造建築物の場合は1年以内に行わなければならない。その瑕疵が受注者の故意又は重大な過失により生じた場合は10年とする。→受注者に修補及び損害賠償を請求できる期間は、建設工事の種別・その瑕疵の重大さによって異なる!「かしの重大さ・工事種別にかかわらず一定」という記述があれば×である。
- 工事目的物の瑕疵が、発注者の責任(発注者からの支給材料の性質又は発注者若しくは監督員の指図)により生じたものであるときは請求することができない。
【練習問題】次の記述は正しいでしょうか、誤っているでしょうか?
工事目的物の引渡し前に、天災等の発注者と受注者のいずれの責めにも帰すことができないものにより生じた工事目的物の損害による費用は、全額発注者が負担する。 |
→解答×…基本的に、引渡し前の材料、工事目的物の損害は受注者負担。いずれの責任も帰さない場合は、発注者に請求できるが、全額ではなく請負金額の1/100を超える金額である。
発注者が工事の施工を一時中止させた場合、工事の続行に備えて保持しておく労働者の費用は負担の対象とならない。 |
→解答×…発注者が工事の一時中止した場合に、必要となる費用(労働者・建設機械を保持するための費用等)・受注者がこおむった損害は、発注者が負担しなければならないとされている。