施工管理技士の転職理由
私はキャリアアドバイザーとして、施工管理技士を中心とした建設技術者1,000人以上の転職をサポートしてきました。転職相談に乗った施工管理技士は、正社員、派遣社員、公務員……それぞれ給与レベルも、転職理由も、年齢層も、勤務地域も千差万別。実に様々な施工人生があるものです。
では、施工管理技士はどうして転職を考えるようになるのか?
もちろん転職理由は1つだけではなく、2つ、3つと複数の理由が重なって転職を考えるようになるわけですが、多くの施工管理技士の転職をサポートしてきた私の経験の中から、施工管理技士の代表的な転職理由BEST7を挙げてみます。
施工管理技士の転職理由 7位 「会社都合」
ズバリ会社の倒産やリストラなどの理由での転職です。大手ゼネコン各社が過去最高益を出すなど、建設業は景気が良いと世間では言われていますが、その恩恵を受けていない地方の中小零細の建設会社は少なくありません。
会社の倒産やリストラに伴う転職は、個人が積極的に行うのではなく、個人ではどうしようもない事情による転職ですので、将来に対し非常に大きな不安を抱えながらの転職活動になります。
しかし最近は、会社が倒産して転職した結果、むしろプラスに転じるケースが目立ちます。施工管理技士は「売り手市場」であるため、転職したおかげで給与アップする施工管理技士も多いです。
施工管理技士の転職理由 6位 「介護」
圧倒的に50代以上の施工管理技士に多い転職理由です。
親が高齢になってきて、田舎に戻らざるを得ないケースが最近非常に多いと感じています。介護については社会問題になっていますし、晩婚化の問題とも相まって、今後は若い世代の施工管理技士にも拡がっていく可能性が高いと推測しています。
最近では「介護を理由とする離職を防ぐ」ために、介護支援体制を強化する建設会社も増えてきていますが、施工管理技士は遠方の現場へ赴任するケースも多いため、今後さらに介護と転職の関係はより密接になっていくと思います。
施工管理技士の転職理由 5位 「労働条件への不満」
労働条件への不満は、20代から60代まで幅広い世代の施工管理技士で転職理由になりうる問題です。
休みが取れない、残業時間が多い、通勤時間が長いなど、労働条件に関する施工管理技士の不満は、細かいものまで挙げると多岐に渡ります。
しかし、自分の働き方に対する考え方次第で自己改善できるケースが多いのも事実です。会社側にとっても一人の施工管理技士が退職することは大きな痛手ですので、会社に相談すれば解消するケースも多いと思います。
実際、会社に退職届を提出した途端に、手のひらを返したように厚遇扱いになって転職を思いとどまるよう説得される、という施工管理技士の方もいらっしゃいます。
施工管理技士の転職理由 4位 「人間関係」
人間関係への不満も、施工管理技士の幅広い世代でよくある転職理由です。特に20代、30代の比較的若い世代の施工管理技士に多い転職理由だと思います。20代の施工管理技士の中には、建設現場そのものが性格にそぐわないという方もいます。
ハラスメントのようなちょっと重いケースもあれば、なんとなく馬が合わない上司がいるというような場合まで、職場内での人間関係に悩み、不満を持っている方は非常に多いという印象です。
施工管理技士の転職理由 3位 「評価への不満」
自分は一生懸命頑張っているのに会社が正当な評価してくれない、出世ができない等の理由です。キャリアアップや仕事を通じて自己実現を考えている施工管理技士の方に多いです。
というと、優秀な施工管理技士に、この転職理由が多いのかと言えば、それには疑問符が付きます。むしろ、スキルが伴わないのに、正当に評価されていないという施工管理技士の方が多い印象です。周囲との人間関係を良好に築くのが苦手で、ストレスを抱えているように思います。
とはいえ、誰でも不満を感じる可能性のある転職理由です。施工管理技士の転職を防ぐためには、上司や同僚、会社によるケアが重要だと思います。
施工管理技士の転職理由 2位 「仕事内容への不満」
仕事内容への不満も、施工管理技士の代表的な転職理由です。自分のやりたい仕事ができない、考えていた仕事内容と違うという理由です。
この転職理由も世代を問わず見受けられますが、どちらかというと20代~30代の比較的若い世代の方に多いです。自分の携わっている施工管理はどういう仕事なのかまだ理解ができていない、あるいは仕事に対する姿勢を模索している段階、という方が多いように思います。
ベテランの施工管理技士の場合は、キャリアアップを求めてもっと工事予算が大きな現場や経験したことのない工種などを選ばれる方もいらっしゃいます。
施工管理技士の転職理由 1位 「給与・報酬」
これは世代を問わず、多くの施工管理技士が抱えている最大の転職理由です。転職を希望する施工管理技士の多くの方が、給与・報酬を上げたいという理由を挙げます。
特に高校生や大学生のお子さんがいらっしゃる40代~50代の施工管理技士の方で、この比率が高い傾向にあります。ただ漠然とお金が欲しいという理由ではなく、子供の教育費や住宅ローンへの不安等々、その世代特有の不安感が感じられます。
その一方で、施工管理技士は「売り手市場」ですので、いかに自分を高く売れるかゲーム感覚で会社側を試している方も少なからずいらっしゃいます。
そして「給与・報酬」の不満が解消できていれば、他の不満は我慢できるという人も多いかと思います。
年収を上げるためにはご自身の市場価値を知ること、キャリア形成を考えることが非常に重要です。
ぜひ下記記事も参考にしてみてください。
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建設業界の平均年収を押し上げている企業はどこ?ゼネコンの年収事情をご紹介
施工管理技士のキャリアアップ方法と資格の重要性
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以上、7つの代表的な転職理由を挙げてみました。
前述したとおり、これらの理由が1つだけではなく複雑に絡まって転職を考える方が多いというのが事実です。
転職には非常にエネルギーを必要とします。「どうして自分は転職をしたいと思っているのか?」と自分の転職理由を冷静に考えることで、効率的かつ満足できる転職ができると思います。