仮設トイレの日野興業株式会社を知ってますか?
こんにちは。ルーズソックスで青春を駆け抜けた近藤です。
本日は、仮設トイレのリーディングカンパニー、日野興業株式会社の本社(千葉県市川市)にやってきました!施工管理技士のみなさんも、仮設トイレには、建設現場で随分お世話になっていますよね?でも、仮設トイレについて知っていることは、意外と少ないのではないでしょうか?
もしかしたら、日野興業を知らない、なんて言う施工管理技士もいるのでは?
……ということで、日野興業様にお邪魔して、仮設トイレについて貴重なお話をいろいろと伺ってきました。建設現場の仲間たちに自慢できる豆知識も満載です!
仮設トイレについて語ってくれたのは、このお二人。
じゃじゃ~ん!
この笑顔が素敵な二人に、仮設トイレについて情熱的に語っていただきました。
お話を聞いているうちに、私も仮設トイレのことが気になる存在に……。これから建設現場に行った際には、仮設トイレにばかり目を奪われてしまいそうです。
さて前置きはこれぐらいにして、あとは真面目なトーンで、仮設トイレに関する日野興業様の取り組みをお伝えします!
仮設トイレの歴史とは?
仮設トイレが日本で誕生したのは昭和40年代。日野興業の前身である日野金物店(東京都江東区)が、近所の建設現場のために、仮設トイレを製造したのが始まりでした。
建設現場で誕生した仮設トイレ。その歴史を振り返ると、これまでに2回の大きな変化を遂げたそうです。一つは、素材が金属からポリエチレンに変わったこと。もう一つは、汲み取り式から水洗式に変わったこと。それ以外、仮設トイレで大きく変わったことと言えば、価格ぐらいだったそうです。
ところが、2014年、日野興業が「フラワートイレ®」を開発したことをきっかけに、仮設トイレは、およそ20年間ぶりとなる大きな変貌を遂げることになります。
「ピンク」の仮設トイレが登場した時代背景とは?
では、日野興業が開発したフラワートイレ®のどこが、それほど画期的だったのでしょうか?
その答えは、ピンク色であること、ではなく、「ユーザー目線を全力で取り入れた」という点にありました。一般的な商品であれば、ユーザビリティへの配慮は、ごく当たり前の話ですが、仮設トイレにおいては、そもそも「汚い」「臭い」「狭い」という認識が当たり前。仮設トイレに対して、こだわりや品質を求める利用者は皆無に等しかったようです。ことさらに苦情を訴える利用者もいなかったのでしょう。
つまり、従来の仮設トイレは、品質もデザインも、製造メーカー側が開発・提供したものを、利用者がそのまま受け入れ、なるべく目につかない場所に設置するというのがほとんどだったのです。
ところが、このような仮設トイレの歴史の中に、突如としてフラワートイレ®が登場し、これまでの仮設トイレの常識をくつがえしました。フラワートイレ®は、利用者(女性技術者・女性技能者)の意見を取り入れて製作され、しかも建設現場で目立っても差し支えのない存在になったのです。仮設トイレ業界では画期的な事件でした。
仮設トイレ業界のタブーに挑む!
そもそもフラワートイレ®が誕生した背景には、第二次安倍政権が掲げているアクションプランに基づいて、女性が建設業界で活躍できる労働環境をつくろうという、官民一体となった取り組みがありました。建設業界に女性を呼び込むためには、現場におけるトイレや更衣室などの環境整備が必要です。
2014年8月には、国土交通省が日本建設業連合会や全国建設業協会など建設業5団体と共に「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」を策定。5年以内に女性技術者・女性技能者を倍増することを打ち出しました。その具体策の一つとしても、仮設トイレなどを整備する重要性がうたわれています。
また、2015年4月には、日本建設業連合会が「けんせつ小町が働きやすい現場環境整備マニュアル」を策定し、その冒頭に「女性に配慮したトイレを整備する」という項目を掲げています。
「けんせつ小町」(女性技術者・女性技能者)を増加させようという、こうした機運が建設業界全体で醸成されつつある中、日野興業は2014年3月、竹中工務店九州支店と朝日建材による女性用仮設トイレのプロジェクトに参加することになります。そして、九州大学や大濠公園など4つの建設現場において、女性用仮設トイレのモデル事業を開始。竹中工務店の女性社員たちからアドバイスを受けながら、女性用仮設トイレの開発に動き出しました。
のちにTTP(タケナカ・トイレキレイカ・プロジェクト)と呼ばれるようになる、このプロジェクトを経験した日野興業は、けんせつ小町が建設現場で安心して使える仮設トイレの開発・提供を目指し、社内で「フラワートイレプロジェクト」を立ち上げます。そして2014年10月、日野興業は、これまで仮設トイレ業界でタブーとされてきたポリエチレン製品の小ロット生産に乗り出しました。その仮設トイレこそ、ピンク色の女性用仮設トイレ「フラワートイレ®」のデモ機でした。
ポリエチレン製の仮設トイレを着色するには、塗装するのではなく、素材自体に顔料を練り込む形で生産しなければなりません。そのため、大量生産しなければ採算が取れないそうです。しかし「我々はより良い環境づくりを通して社会に貢献します」という社是を持つ日野興業は、たとえ商いにならなくても、という覚悟で、けんせつ小町のために、仮設トイレ「フラワートイレ®」の製作を推し進めます。
とはいえ、プロジェクトがそう簡単に進んだわけではありません。プロジェクトリーダーの谷本さんによると、女性らしさを表現するために用いた「ピンク色」に関して、経営陣を納得させるのに苦労したそうです。「社内のプレゼンでは、ピンク色のキンチョールや、ピンク色のトヨタ・クラウンなどを例に出して、どうにか経営陣の了承を得ました(笑)」と谷本さんは語ってくれました。もちろん、ピンク色にすることで、男性が間違って入ってこないように防止する効果も狙っています。
なお、フラワートイレ®の黄色いドア部分は、他の既存製品を使用することで、費用を削減しているそうです。それがうまい具合に、フラワーを表現することに成功しているから不思議です。
けんせつ小町の象徴と化した仮設トイレ「フラワートイレ®」
さて、フラワートイレ®のデモ機は、ピンク色であることの話題性も手伝って、「トイレ産業展」(2014年11月)への出展を皮切りに、テレビなどメディアで取り上げられるようになります。仮設トイレに対する世間の関心がこれほどまでに高まったのは、前代未聞の出来事だそうです。
日野興業には、官公庁やゼネコン各社からも、フラワートイレ®のデモ機について、レンタルの要請が寄せられるようになり、「実際にデモ機を建設現場に配置することによって、フラワートイレ®に対する利用者の〝生の声〟を聴くことができるようになった」と谷本さんは振り返ります。
そして、フラワートイレ®は、けんせつ小町など女性利用者たちの意見をもとに、使いやすさを追求。2015年6月、ついに商品化にこぎつけます。
完成したフラワートイレ®には、擬音装置や暖房便座、ウォシュレット機能に加え、男性が誤って入ってくるのを防止するために、女性用であることを明記するプレートも設置。暗証番号を知っている人しか開けられないように二重ロックを設けるなど、女性たちの意見が随所に反映されています。
そして現在、全国各地の建設現場で、けんせつ小町のために稼働しているフラワートイレ®は約600機。女性が活躍できる環境づくりを目指している建設業界の象徴的な存在として、仮設トイレ以上の大きな役割を果たしています。
けんせつ小町がどれほど増えるかは、日野興業の肩に掛かっているのかもしれません。
ちなみに、フラワートイレプロジェクトのイメージキャラクターは、谷本さんのアイディアで、ご自身でラフ図も描いたそうです。まだ正式な名前がありませんが、社内では「フラワーちゃん」と呼ばれています。
日野興業は今後、女性用仮設トイレをさらに改良すると共に、男性用の仮設トイレも使いやすく改良していくそうです。期待しましょう!
※この記事は2015年11月17日に取材した内容です。
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仮設トイレピンクがお気に入りです。
購入したいですがどれ位するのですか?
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