若手技術者が思う、仕事の魅力・やりがいとは何か
熊本阿蘇で建設中の立野ダムには、これまで何度も取材に行ってきたところだが、堤体工事もだいぶ進んだようなので、また行ってみた。
以前取材した西松建設の新田奈穂さんにまたお話しでも伺おうかと思っていたが、西松・安藤ハザマ・青木あすなろ建設JVの若手社員4名に取材することになった。ということで、それぞれの仕事っぷりなどについてお話を聞いてきた。
- 海老原 克紀さん(西松建設)
- 新田 奈穂さん(西松建設)
- 中野 陽介さん(安藤ハザマ)
- 正木 今日太さん(青木あすなろ建設)
なぜか全員関東出身
――簡単に自己紹介をお願いします。
中野さん 安藤ハザマの中野です。出身地は千葉県です。入社7年目になります。この現場に入って3年目になります。
正木さん 青木あすなろ建設の正木です。出身地は東京で、入社2年目です。こちらの現場は今年4月入ったので、1年目です。
海老原さん 西松建設の海老原です。出身は埼玉県です。入社8年目で、この現場は1年半になります。
新田さん 西松建設の新田です。出身は東京都、入社4年目、この現場も4年目です。
――今はなにを担当していますか?
中野さん 主に堤体のコンクリート打設に関する計画、施工、品質管理を担当しています。主にコンクリート打設関係です。グリーンカット(レイタンス処理)も含みます。
正木さん 基礎処理工です。ダムのボーリング作業、グラウチング作業の担当になっています。ダムの基礎を強化するため、地面を掘ってそこにセメントを入れ込んで、地盤を強化するといったことをやっています。穴の位置出しされたところが実際に掘れるかどうか確認したり、彫り上がったものが透水の基準を満たしているかどうかの確認なんかもやっています。
海老原さん 中野さんがコンクリートの打設を主にみているというお話しでしたが、私はコンクリート打設のための型枠の計画や工程管理をメインでやっています。あと、止水版や排水管などの堤体内部の埋設物の管理なんかもやっています。
新田さん 私の担当は、海老原さんと同じで、型枠・埋設物関係ですが、主にみているのは鉄筋工です。配筋図通り鉄筋が組めているかの出来形管理や工程・安全管理を担当しています。
受注額が建築より小さいと、土木は肩身が狭い思いをする?
――中野さん、安藤ハザマに入社した理由はどのようなものだったのですか?
中野さん 入社時に希望していた工種はトンネル工でした。最初に入った現場も北海道のトンネル工事の現場で、希望が叶った感じでした。
――正木さん、青木あすなろ建設に入社した理由はなんでしたか?
正木さん 主な建設会社は、土木より建築のほうが売上が多いんですが、青木あすなろ建設は、土木と建築の受注額の比率がほぼ同じだったんです。「土木にけっこう力を入れているな」ということで、土木のいろいろな仕事をやってみたかったんで、入社しました。
――海老原さん、どうでしたか?
海老原さん 希望の工種はとくになかったのですが、ゼネコンで勤務したいというのはありました。正木さんと同じになりますが、私が調べた中では、当時の西松建設は、建築と土木の受注額がほぼ同じだったので、西松建設に入ろうと思いました。
――建築と土木の受注額の比率を気にするのは、なぜですか?
海老原さん 建築の受注額のほうが大きいと、土木は肩身が狭いのかなと思っていたからです(笑)。
正木さん 私もそう思っていました(笑)。
――新田さん、なぜ西松建設に入社しましたか?
新田さん 最終的に入社を決めたのは、職場の風通しが良いと感じたからです。いくつかのゼネコンさんのインターンに行ったときに、それぞれの若手の社員とお話しする機会がありました。西松建設の若手社員さんとお話ししたときに、「ちゃんと責任を持って、自分で考えて行動している」と感じたんです。そこが決め手になりました。
――工種にこだわりはなかったのですか?
新田さん そうですね。入社する前は、こだわりはありませんでした。入社が決まってから、「ダムに強い会社」だと知ってから、ダムを希望しました。希望が叶って、最初の配属先が立野ダムになりました。
入社7年目にして、すでに8回引っ越しを経験した男
――入社してから、どのような仕事をしてきましたか?
中野さん 最初にトンネル工事の現場に入ったのは良かったのですが、その現場は1年ぐらいで終わってしまったので、別のトンネル工事現場に短期間入りました。ただ、そこは新しくとれた工事で、現場は一切動いていませんでした。
半年ほどいた後、厚幌(あっぽろ)ダムの工事現場に入りました。しかし、ここも半年ぐらいで異動になりました。次の職場は本社でしたが、またしても半年ぐらいで異動になりました。異動先は立野ダムの工事現場でした。
――しょっちゅう異動してたけど、立野ダムの現場に来て、やっと落ち着いたみたいな感じですか?
中野さん まあ、そうですね(笑)。長くいられるほうが、ありがたいと言えばありがたいです。入社してから立野ダムに来るまで、引っ越しが8回あったので(笑)。
デカい現場を希望したが、来てみたらデカすぎた
――正木さんはどうですか?
正木さん 最初の職場は技術研究所で、内勤でした。コンクリートに関する基礎知識とか、いろいろ技術的なことを学んでいました。配属された年に「現場に出たい」と希望を出したら、希望が叶って、立野ダムの現場に異動になりました。
――どうせやるなら規模の大きな現場に行きたいということだったのですか?
正木さん そうですね。規模のデカい現場を希望していました。おかげで良い現場に来ることができました。ただ、ここはデカすぎましたけど(笑)。
――技術研究所は合わなかったとか?
正木さん 合わなかったということはありませんでしたが(笑)、ある程度経験を積んでから、それを応用して新しい技術などを開発するのがスジなので、「現場のことをなにも知らない状態で研究所に来て、どうするんだ」とは思っていました。「若いうちはやっぱり現場に出て、研究所はそっからだろ」という考えでいました。