国土交通省四国地方整備局の女性職員が、ここまで本音を激白!
国土交通省四国地方整備局には現在、約50名の女性技術職員が在籍しており、まちなか、山奥、海岸など四国各地で日夜インフラを支える仕事に従事しています。
彼女たちは日々、どんな思いで土木の仕事に携わっているのでしょうか?
今回、国土交通省四国地方整備局の女性職員である中西麻美子さんと元木裕子さんにお話を伺いました。
大雪対応で3日間徹夜「人間やればできる」
施工の神様(以下、施工):土木に興味を持ったきっかけなどは?
中西麻美子(以下、中西):母の勧めで、高松高専(現香川高専)の建設環境工学科という土木のコースに入ったことです。土木に興味があったから入学したわけではなくて、ものづくりに興味があったので高専を選びました。
昔から大工さんが作業しているのを見るのが好きで、土木よりは建築に興味がありました。
元木裕子(以下、元木):私も中西さんと同じ高松高専の建設環境工学科で学びました。私ももともとは、土木よりは建築の方に興味がありました。
4年生のときに、トラス橋の設計を自分たちで行う授業があったのですが、それを図面に起こすのが楽しかったので、こういう仕事をしたいと思ったのがきっかけです。
施工:四国地方整備局を選んだ理由は?
中西:平成15年度採用で、配属は道路でした。悩んだところですが、一つの場所で仕事をするより、いろいろな場所で仕事をする方が楽しいと思ったからです。ただ、実際のところ、私は人見知りなので、定期的な転勤で人間関係が変わるのは、正直苦手ですけど、四国各地に一生付き合える友達ができたのは良かったなと思っています。
元木:私は平成21年度採用で、配属は河川でした。卒業研究が斜面の安定解析だったので、河川を希望しました。今まで勉強してきたことを活かせるところで頑張ろうという感じでした。民間企業は視野に入っていませんでした。
施工:これまでで印象に残った仕事は?
中西:徳島の池田国道維持出張所にいた平成26年12月に、徳島県と愛媛県の県境の国道192号で深さ25cm以上の記録的な大雪が降り、その対応に追われたのが一番印象に残っています。この大雪により、約130台が立ち往生しましたが、現場で初めての災害対応の経験でした。
雪が降り始めた深夜に出勤して、そこから人員を集め、除雪の手配や、立ち往生車両の救助作業などの指揮を行いました。その時は3日間徹夜でしたね、人間やればできるんだと思いました(笑)
元木:砂防事務所の工務課で初めて工事に携わったのですが、砂防堰堤の構造自体に馴染みのない状態の中、設計から工事発注、完成まで担当したことです。発注前に現地踏査に行ったのですが、木が立っている斜面にどうやって構造物を造るのか、想像もできないレベルでした。いろいろと相談しながら、なんとか完成までこぎつけました。良い経験ができたという意味で印象に残っています。
度重なる修正に「いい加減ちゃんとしてくれ!」と怒られる
施工:失敗したことは?
中西:私、失敗しないので。いえ、冗談です(笑)
施工:そのコメントはぜひ使わせていただきます(笑)
中西:いろいろ失敗してきて、その度に上司の方などにフォローしてもらって、なんとかやってきているのが現実です。松山の事務所で初めて規模の大きいトンネル工事を担当したときに、それまでに見たこともない設計書を作るよう指示され、用語も構造も分からないところから勉強しながらの仕事でした。
トンネル工事の設計書は分厚くて、複雑なものが多いので、特殊なんです。当然本局からチェックを受けるのですが、何度も怒られながら仕事をした記憶があります。
施工:どういう風に怒られたんですか?
中西:何度も修正設計をお願いしたので、本局の担当者の方に「期限もあるので、いい加減ちゃんとしてくれ」と。後に私も後輩を怒ることがあったので、担当者の方の気持ちは良く分かります(笑)
苦労した分、トンネルの銘板に自分の名前を見つけたときは嬉しかったですし、実際に自分でトンネルを通ったときには、道路全体に愛着を感じました。
施工:元木さんは?
元木:小さい失敗はありますが、大失敗という印象のものはないですね。入局1年目に、業者さんからダムの維持工事の現場を確認して欲しい、というお電話があって、よく理解しないまま確認に行ったのですが、こういった確認は、私ではなく、監督職員が行うものだったんです。分からないことは上司に早めに相談すべきだったな、と反省したことがあります。
施工:今後やりたい仕事は?
中西:原点であるものづくりに携わっていたいです。デスクワークだけの仕事ではなく、工事、現場に関わる仕事が良いです。
元木:私が今所属している防災課は、「緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE:テックフォース、以下、TEC-FORCE)」を被災地などに出す側の部署で、TEC-FORCEを補助する仕事をしていますが、私自身は、TEC-FORCEの一員として、現地に行った経験がありません。
四国地方整備局では、女性がTEC-FORCEとして現地に行った実績があまりないようなので、機会があれば、一員として現地に行って、いろいろ経験したいと思っています。
土木の世界はフラフラっと入っても大丈夫
施工:これからの女性技術者に向けて一言。
中西:私自身、土木の世界に入りたい、大好き、と思って入ったわけではありませんが、入ってから他の世界に浮気心を抱いたこともありません。フラフラっと入っても、面白いことがたくさんあって、リア充しています。
元木:土木の世界はやはり男性が多いですけど、最近は女性の技術職員が増えてきています。砂防事務所では就労後、男女や上司部下の関係無く、自宅で鍋をしたり女子会をしたりと、良い環境で過ごすことができました。良い上司や同僚に出会えて本当に良かったなと思っています。
女子からすれば「土木」って男臭くて嫌だなという印象があるかも知れませんが、中西さんもおっしゃっていたように、フラフラっと入っても、責任感を持って仕事に取り組めば、女性でも男性でも気になりません。大丈夫です。
作業服が最悪!早く変えて欲しい!
中西:後進への一言でも何でもないですが、声を大にして言いたいのが、整備局の作業服のデザインがヒドイということです(笑)。男性用に作られているのではないかと思います。
現在は廃止されているようですが、作業着は現場の正装だと言われるんですけど、上着は羽織れるんですが、ズボンははきたくありません。小さい子供が、警察官の制服を着てみたい、自衛官の制服を着てみたいと思うことはあっても、整備局の作業服を着てみたい、とは思わないと思います。見た目もその仕事をめざすきっかけ作りになるので、制服のデザインも大切だと思います。
施工:防災用の新しい制服もあるようですが?
中西:色は少し良くなりました。でも、ズボンは相変わらず直して欲しいです(笑)
施工:女性用のズボンを作って欲しい?
中西:そうして欲しいですね。
施工:ズボンのどの部分が気に食わない?
中西:ウエストのサイズ感ですね。女性がウエストで合わせてはくと、太もも周りがモサッとするところです。おじさん体型に見えますから。
施工:中西さんの意見に同意しますか?
元木:中西さんとは全く逆です(笑)。私は、最初の一年間はずっと、現場の正装だと思って、作業着上下を着ていました。
施工:作業服が好き?
元木:女子からすれば、すごくダサいんですけど、仕事着だし、男女関係なく仕事をしている感が良くて、好んで着ていました。「元木さんの他に誰も上下で作業服を着ている人はいないよ」と言われ続けても、毎日着ていましたから(笑)
中西:このように、女性でも意見が分かれるところがあります。「日焼けがイヤ」というのは共通の土木女子あるあるですが、以前、ある後輩に、ヘルメットにつける日除けを勧めたら、後輩がすごくイヤそうな顔をしたんです(笑)。格好がダサいからです。その話を今思い出しました。
土木を志す女子は、すでに「変わり者」認定?
元木:土木の世界に入って来ている女子という時点で、個性が強い人が結構多いと思います。
施工:言いたい放題になってますけど(笑)
元木:でも、高専の女子という時点で、すでに一風変わっていると思います。他の女子に溶け込んでいくタイプじゃない人が多い感じがします。
中西:女性独特の輪を作る感じは、ないですね。
元木:言いたい放題ではなく、それぞれオリジナリティのある人が多いかな、という意味ですよ(笑)
施工:「土木女子あるある」として、興味深いご指摘ありがとうございました!
作業服へのダメ出しを巡り、インタビューは大いに盛り上がりを見せました。作業服のデザインがいかにダメかを熱く語る中西さんに対し、デザインよりも作業服の意味を重視する元木さん。まさに個性が強い「ドボジョ」「けんせつ小町」の姿を目の当たりにした感じです。
ただ、「見た目もその仕事を目指すきっかけ作りになる」という中西さんの意見には説得力がありました。そのうち、四国地方整備局でスタイリッシュな作業服が実現するかもしれません。
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なぜ、服が関係あるんですか?
そういう所に女性の馬鹿さがあります。
仕事は仕事をするとこで、おしゃれをするとこではない。
聞きますが、男性はそんなこと、言わないですよね?女性は、仕事をファッションと思ってますよね?仕事はプロと怪我の二つしかない、仕事舐めるな!