70歳現役の1級土木施工管理技士インタビュー
建設技術者の高齢化に伴う「大量退職」が問題視される建設業界。しかし、実際の工事現場では、深刻な人材不足のため、まだまだ60〜70代の活躍に頼らざるを得ない側面も強い。また、70歳を超えても現役で働きたいという、元気な建設技術者も少なくない。
70歳を迎えたばかりの原田良一さんは、現役の1級土木施工管理技士だ。なぜ70歳を超えても第一線で土木技術者として活躍し続けられるのか、その秘訣や土木技術者としての心意気などを伺ってきた。
土木技術者になって今年で50年目
施工の神様(以下、施工):土木技術者として働きはじめて何年目ですか?
原田良一さん(以下、原田):土木屋になって、ちょうど今年で50年目です。
施工:現場で時代の流れを感じることも?
原田:私が建設会社に入社した当時はパソコンもなく、現場図面、書類は全て手書きでした。写真もフィルム撮影で、竣工検査の時もアルバムに整理していました。
今は、図面・書類・写真管理など、全てをパソコンで管理可能ですが、自分の心が反映されないような感じがして、ちょっと物足りないですね。
施工:昔の土木技術者のほうが優れていた点も?
原田:パソコンがなかった当時は、自分の足で現場をよく見ていました。今も昔も、優秀な土木技術者は「不安全な箇所はないかな?品と質に問題ないかな?進捗状況は?と自分で現場を見る」という点に尽きると思います。
施工:70歳で現役の土木技術者でいられる秘訣は?
原田:家庭を大切にし、小さな事にくよくよしないことです。長年の現場経験から、後輩の技術者に言いたいのは、現場では色々な事があるが、健康第一で、余りくよくよするな、ということです。
施工:70歳まで現場に立ち続けると想像していましたか?
原田:いいえ、せいぜい65歳ぐらいまでと思っていました。現場に迷惑を掛けるようなことがなければ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックが開催される半年前までは現役でいたいと思っています。
施工:夏場の現場では、熱中症とか心配されませんか?
原田:適度な休憩、水分・塩分補給をしていれば心配ありません。高所作業も平気です。
土木技術者は1日も休まず、皆勤を目指せ!
施工:原田さんが建設業に入った理由は?
原田:群馬県立高崎工業高等学校の土木科を卒業したので、その流れで建設会社に入りました。1967年に株木建設に入社し、1989年にオリエンタル白石に転職しました。50年間、額に汗してきた思い出があります。
施工:どんな土木工事を?
原田:高速道路や新幹線の新設工事、ゴルフ場の造成工事、下水道工事などで、主任技術者、現場代理人、監理技術者をやってきました。鉄道関連の工事にもたくさん関わったので、JR東日本の工事管理者資格も取得しました。
施工:どんな鉄道工事を?
原田:東北新幹線の余笹川高架橋工事や、綾瀬駅・北千住駅間の高架橋耐震補強工事。それから、新交通臨海線(ゆりかもめ)の高架橋下部工、東海道線下横断水路・HEP&JES箱型ルーフ、常磐線下横断水路・箱型ルーフ函体推進、つくばエクスプレス防音工事、仙台市高速鉄道東西線の耐震補強配水工事、JR川崎駅改良工事など。
施工:今の現場は?
原田:日本橋川に架かる歴史的に由緒ある橋の解体・復元工事です。石材の管理などをしています。「日本100名橋」の1つでもあり、昔の工法やありのままの石材を使用するので、この歳になっても勉強の日々で毎日が大変です。
施工:休みは取れていますか?
原田:休日は土日祝なので不満はありません。通勤もドアtoドアで約1時間なので苦ではないです。
施工:さきほど所長にお会いしたところ、かなり高評価の働きぶりのようで?
原田:若い職員と同じように、汗まみれ、泥まみれで現場を管理していることかな?この5年間、1日も遅刻せず、皆勤していることも大事です。
施工:建設現場の人は不健康という印象も強いですが?
原田:違いますね。事務、営業の人でも不摂生な人はおります。皆勤しようという気持ちを強く持たないと。
いやー私は57才で派遣ですが、頭が下がります❗️