電気通信工事施工管理技士とは?1級・2級の概要と将来性を解説
電気通信工事施工管理技士とは
2019年に新設された施工管理技士の一種です
電気通信工事施工管理技士は、2019年度(令和元年度)に新設された国家資格です。建設業法の改正にともない、情報通信設備の高度化・多様化に対応できる専門技術者を育成・認定する目的で創設されました。
電気通信工事は、有線・無線を問わず情報を伝達するためのインフラを構築する工事です。具体的には、以下のような工事が対象となります。
- 有線LANや光ファイバーケーブルの敷設工事
- 携帯電話や5G基地局などの無線通信設備工事
- 防犯カメラやインターホンなどの防犯・監視設備工事
- テレビ共同受信設備やCATV設備の工事
- データセンターやサーバールームの通信配線工事
資格取得者は、工事現場における品質・安全・工程・原価の4つの管理を担当し、国土交通大臣が定める一定以上の規模の電気通信工事において、有資格者の配置が建設業法により義務付けられています。
電気工事施工管理技士との違い
電気通信工事施工管理技士と混同されやすい資格に「電気工事施工管理技士」があります。名前は似ていますが、管理する工事の種類が根本的に異なります。
電気工事施工管理技士は、照明設備・コンセント・受変電設備などの「電力を供給する設備」の工事を管理します。電気通信工事施工管理技士は、光ファイバー・LANケーブル・放送設備・データ通信設備など「情報を伝達する設備」の工事を専門に管理します。
どちらの資格も施工管理技士として位置づけられており、建設業法の専任技術者・主任技術者・監理技術者の要件をそれぞれ満たします。担当する業種が電力系か通信系かによって、取得すべき資格が変わるといえます。
1級と2級の違い
担当できる工事の規模と現場での立場が異なります
1級と2級の最も大きな違いは、現場で担うことができる役割と、管理できる工事の規模です。
| 区分 | 取得できる資格 | 担当できる役割 |
|---|---|---|
| 1級電気通信工事施工管理技士 | 監理技術者・専任技術者(特定建設業) | 下請総額4,500万円以上の大規模工事の管理が可能 |
| 2級電気通信工事施工管理技士 | 主任技術者・専任技術者(一般建設業) | 小〜中規模工事の管理が可能 |
1級を取得すれば、下請けに出す総額が4,500万円以上となる大型プロジェクトの「監理技術者」になることができます。監理技術者は、特定建設業の許可を受けた企業が必ず置かなければならない重要なポジションです。
2級でも工事現場の「主任技術者」として十分な活躍が可能ですが、キャリアアップや大規模プロジェクトへの参画を目指す場合は、早めに1級取得を視野に入れることをおすすめします。
受験資格と試験概要
第一次検定と第二次検定の2段階で行われます
電気通信工事施工管理技士の試験は、第一次検定(旧:学科試験)と第二次検定(旧:実地試験)の2段階で構成されています。令和3年度の制度改定により、第一次検定に合格した時点で「電気通信工事施工管理技士補」という称号が与えられます。施工管理技士補は、主任技術者の補佐という形で工事現場に配置できる制度です。
受験資格(令和6年度改定後)
令和6年度から受験資格が見直され、第一次検定については年齢要件のみで受験できるようになりました。以下に概要を整理します。
| 区分 | 第一次検定 | 第二次検定 |
|---|---|---|
| 1級 | 試験実施年度中に満19歳以上であること | 1級第一次検定の合格者で、所定の実務経験を満たす者 |
| 2級 | 試験実施年度中に満17歳以上であること | 2級第一次検定の合格者で、所定の実務経験を満たす者 |
第二次検定の受験に必要な実務経験の期間は、学歴や保有資格によって異なります。詳細な要件は、国土交通省または試験実施機関である一般財団法人全国建設研修センターの公式サイトで確認してください。
試験科目と出題形式
第一次検定はマークシート方式で実施され、以下の科目が出題されます。
- 電気通信工学(電気理論、通信工学、有線通信、無線通信など)
- 設備・機器・材料に関する知識
- 施工管理法(施工計画、品質管理、安全管理、工程管理など)
- 法規(建設業法、電波法、有線電気通信法など)
第二次検定は記述式で、施工管理法に関する知識問題と、実務経験に基づく経験記述問題が出題されます。経験記述では、自身が担当した工事の内容と、品質・工程・安全などの管理についての対処内容を具体的に書く必要があります。
合格率と難易度
第二次検定の合格率は30〜40%程度で推移しています
電気通信工事施工管理技士の合格率は、年度によって多少の変動がありますが、近年の傾向として以下の水準が参考になります。
| 級 | 検定区分 | 合格率の目安 |
|---|---|---|
| 1級 | 第一次検定 | 40〜50%程度 |
| 1級 | 第二次検定 | 30〜40%程度 |
| 2級 | 第一次検定 | 50〜60%程度 |
| 2級 | 第二次検定 | 30〜40%程度 |
他の施工管理技士資格と比較すると、電気通信工事施工管理技士の第一次検定は比較的受かりやすい傾向があります。一方、第二次検定は経験記述の完成度が合否を大きく左右します。自身の実務経験を整理し、論理的に文章化する練習が必要です。
合格率だけで「簡単な資格」と判断するのは早計です。試験範囲が広く、法規や施工管理法など暗記が必要な分野も多いため、計画的な対策が重要といえます。
効果的な学習方法
過去問の反復学習が合格への最短ルートです
第一次検定の対策は、過去問の反復学習が基本です。電気通信工事施工管理技士は2019年に創設された比較的新しい資格ですが、毎年の出題傾向には一定のパターンがあります。過去問を繰り返し解くことで、頻出分野の把握と知識の定着が図れます。
学習のポイントをまとめると以下の通りです。
- 第一次検定は市販のテキストと過去問集を活用した独学が中心
- 法規(建設業法・電波法・有線電気通信法)は条文に慣れるまで繰り返す
- 電気通信工学は図解の多いテキストで視覚的に理解するとよい
- 第二次検定の経験記述は、実際に文章を書いて添削してもらうのが効果的
- 学習時間の目安は第一次・第二次合計で100〜200時間程度
通信講座の活用が第二次検定対策に有効です
第二次検定の経験記述は、自己流の勉強だけでは対策が難しい面があります。経験記述の書き方には「合格しやすい型」があり、添削を受けることで大きく質が上がります。通信講座を活用する場合は、経験記述の添削サービスが含まれているかどうかを確認して選ぶとよいでしょう。
将来性と需要拡大の背景
5G・6Gの整備が通信インフラ工事の需要を引き上げます
電気通信工事施工管理技士の需要は、今後さらに拡大していくとみられています。最大の背景は、5G(第5世代移動通信システム)の普及に向けたインフラ整備です。
5Gの展開には、全国各地に大量の小型基地局を設置し、光ファイバー回線で接続するための工事が必要です。都市部だけでなく郊外や地方への展開も進んでいるため、工事の対象エリアは今後も拡大し続けます。さらに、将来の6Gに向けた研究開発も進んでおり、通信インフラ工事の需要は長期的に持続するといえます。
DX推進・IoT化が多様な現場で電気通信工事を生み出します
社会全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進も、電気通信工事の需要増加に大きく貢献しています。具体的な工事需要の例を挙げると以下の通りです。
- 工場や物流倉庫のIoT化に伴うネットワーク設備構築
- スマートビルディングへの更新に伴う通信配線の刷新
- 自動運転実証実験エリアへの路側通信設備設置
- 病院・学校・公共施設のデジタル化に伴う通信インフラ整備
- データセンターの新設・増設に伴う大規模配線工事
多岐にわたる現場で電気通信工事が発生しており、各現場の施工管理を担える有資格者の確保が業界全体の課題となっています。
有資格者の絶対数が少ないため供給が追いついていません
電気通信工事施工管理技士は2019年に新設された資格であるため、他の施工管理技士資格と比べて資格保有者の絶対数が少ない状況にあります。工事需要が急増するなかで有資格者の供給が追いつかず、採用市場では電気通信工事施工管理技士の取り合いが起きています。
転職市場における希少性は、求職者にとって大きな交渉力となります。資格と実務経験を持つ人材は、複数の企業から求人オファーを受けるケースも珍しくありません。
資格取得後の転職市場での価値
電気通信工事施工管理技士は建設業法上の必置資格です
資格取得後の転職市場での価値は、非常に高い水準にあります。建設業法では、電気通信工事業の許可を受けた企業の営業所に専任技術者を置くこと、また一定規模以上の工事現場に主任技術者または監理技術者を配置することが義務付けられています。
つまり、電気通信工事施工管理技士は「企業が事業を継続するために必要不可欠な人材」として位置づけられています。単なるスキルアップ資格ではなく、企業の事業運営に直結する法的要件を満たすための資格です。
年収水準と資格手当の実態
電気通信工事施工管理技士を保有する施工管理職の年収は、経験年数や担当できるプロジェクトの規模によって幅がありますが、以下のような水準が一般的に見られます。
| 経験・等級 | 年収の目安 |
|---|---|
| 2級取得・実務経験3〜5年 | 400〜550万円程度 |
| 1級取得・実務経験5〜10年 | 500〜700万円程度 |
| 1級取得・監理技術者として10年以上 | 650〜900万円以上も |
資格手当として月額5,000円〜30,000円程度を支給する企業も多く、資格取得だけで年間数万円から数十万円の収入増が見込めるケースもあります。
1級取得者は転職で特に優位に立てます
1級電気通信工事施工管理技士を保有し、監理技術者として大規模工事を担当できる人材は、転職市場で特に高い評価を受けます。求人票に「1級電気通信工事施工管理技士 必須」と記載された案件では、条件を満たす候補者が限られるため、採用選考で有利に動ける場合が少なくありません。
現職の待遇や労働環境に不満がある場合、取得済みの資格と積み上げてきた実務経験を組み合わせることで、より良い条件の企業への転職が現実的な選択肢となります。
FAQ(よくある質問)
Q1. 電気通信工事施工管理技士は独学で合格できますか?
第一次検定については独学でも合格している方が多くいます。市販の過去問集とテキストを使った学習で、合格に必要な知識を習得することは十分可能です。第二次検定の経験記述については、独学よりも添削指導を活用した方が合格率を高めやすい傾向があります。
Q2. 電気通信系の実務経験がなくても受験できますか?
令和6年度の改定以降、第一次検定は年齢要件(1級:19歳以上、2級:17歳以上)のみで受験できます。ただし第二次検定には実務経験が必要です。実務経験を積みながら第一次検定の合格を目指すという進め方が現実的です。
Q3. 2級に合格してから1級を受験するべきですか?
必ずしも2級から取得する必要はありません。令和6年度の改定後は、1級の第一次検定も年齢要件のみで受験可能になりました。年齢・実務経験・取得を急ぐ理由などを踏まえて、どちらから受験するかを判断してください。
Q4. 資格取得後、すぐに監理技術者になれますか?
1級電気通信工事施工管理技士を取得すれば、監理技術者の要件を満たします。ただし実際に現場に専任配置されるためには、企業側の判断や工事の規模・種別による配置条件もあります。資格取得後にキャリアアップを明確に伝え、実績を積むことが重要です。
Q5. 電気通信工事施工管理技士の試験は年に何回ありますか?
1級の第一次検定は年1回(例年9月ごろ)、第二次検定も年1回(例年12月ごろ)の実施が基本です。2級は年2回の第一次検定(前期・後期)があり、第二次検定は後期に合わせて年1回実施されます。受験年度の日程は一般財団法人全国建設研修センターの公式サイトで確認してください。
まとめ
電気通信工事施工管理技士は、5G・DX・IoTの拡大という時代背景のなかで、今後の需要増加が確実視されている国家資格です。
1級を取得すれば監理技術者として大規模プロジェクトを担当できるようになり、転職市場での評価も大幅に上がります。2級からでもキャリアを段階的に積み上げられるため、実務経験者であれば早期の取得を検討する価値があります。
試験は第一次検定と第二次検定の2段階で、計画的な学習と経験記述の対策が合格の鍵となります。資格取得後は採用市場での需要が高く、給与・条件の面でも有利な転職活動が見込めます。
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