忙しい施工管理技士がキレイに退職するための辞め方・交渉術とは
立つ鳥跡を濁さず。退職はなるべく円満に
いざ転職が決まった後は、次の職場への準備をする以外にも「現在の職場を辞める」という重要な仕事が残っています。
多くの方は働きながら転職先を探し、次の職場が決まった段階で退職に向けた動きをすることになると思いますが、どのような理由で退職に至ったとしても共通して重要なのが「立つ鳥跡を濁さず」の精神です。
特に人手が少ない職場ほど退職でこじれやすく、辞めないことを強制されたり、退職日をズラされたりなど、退職の伝え方次第で次の就業先にも迷惑をかけてしまうケースもあります。
しかも多くの施工管理技士・現場監督の方々は残業の多い忙しい方が多いわけで、退職の段取りも大変です。
そこで今回は、円満に退職して気持ちよく次の職場で働くための退職の伝え方や交渉術をご紹介します。
退職の事由は法律で認められている
まず前提として、上司であろうが社長であろうがあなたの退職を止めることができる法的な拘束力はありません。
法的には退職届を会社に提出してから2週間が立てば退職することが可能で、「辞めたら訴える!」と言われようが労働者には退職の自由が認められているので訴えが認められることはないのです。
とはいえ、法的には2週間以降と定められているものの実際は退職届を出してから1ヶ月~2ヶ月の期間を空けて退職するパターンが多いです。
理由としては、就業規則で「退職する際は1ヶ月前までに申し出ること」のように定めている会社が多いほか、業務の引き継ぎを考えると一定の期間を空けた方が辞めることになる会社としても快く送り出しやすいからです。
よって円満退社を希望するのであれば、なるべく1~2ヶ月より先、可能であれば3ヶ月先の退職日を選んで退職を伝えるようにしましょう。
退職までの流れとしては、まず退職の意思を直属の上司に伝えます。
その後、タスクやプロジェクトの状況を確認して上司と退職日の決定をします。転職先がすでに決まっている場合は、現在の職場と転職先の両方に迷惑をかけないようにスケジューリングしましょう。
特に施工管理技士の場合は社内の調整よりも、建設現場での引継ぎの方が重要な場合が多いでしょう。社外の人との調整も必要かもしれません。
日程が決まったら進行中の仕事を引き継ぐ後任者と確認しながら抜けのないように業務を引き継ぎます。
また、これまでお世話になった取引先や懇意にしてくれたお客様がいる場合は、お礼を兼ねたあいさつ回りも忘れないように早めに行いましょう。
もしかすると、同じ業界にいる限りは次の職場でまたお世話になることもあるかもしれません。転職をしてもJVの工事現場で昔の仲間にばったり会ってしまうことは珍しい話ではありません。
交渉のポイント1.タイミングを図る
退職の意思を伝える行為は交渉事とよく似ています。相手がいることですから、計画を練って少しでも有利に進めましょう。
まず第一に、転職先が決まっていない状態で、退職の意思を伝えることはおすすめできません。
確かに現在は、経験豊富な施工管理技士の方であれば新しい就職先は比較的見つけやすいご時世です。しかし、現在の職場よりも待遇の良い就職先を見つけるためにはある程度時間を要します。
退職日を迎えても就職先が決まらず、無職の状態での転職活動は条件交渉で不利に働きます。どんなにお仕事が忙しくても転職先が決まってから退職の意思を伝えましょう。
そして、直属の上司へ最初に退職の意思を伝える際は、いきなり辞表を提出するというものではなく「退職したいと考えている」という意思表示をすることがベターです。退職の意思は固まっていたとしても、いきなり辞表を突きつけるよりは「退職の相談」という形のほうが話しやすいでしょう。
なぜなら退職日の日程について相談出来るのは直属の上司になるケースが多いわけで、関係を不必要に悪化させるのは得策とは言えません。
交渉のポイント2.退職理由は個人的なものに
辞表として提出する際の転職理由は「一身上の都合により」と記載するのが一般的ですが、退職の意思を直接伝える直属の上司に対しても一身上の都合で押し通すことはおすすめできません。
法的にはそれでも通るとは言え、「自分にも言えないような理由なのか」と上司の気分を害することになり、要らぬ勘ぐりをされる恐れもあります。
話す内容のポイントとしては、なるべくネガティブな理由でなくポジティブな理由を伝えることです。もし給料を理由に転職をするとしても、「給与が安いから転職する」という伝え方ではなく、「キャリアアップのために新しい職場で挑戦したい」というような伝え方のイメージです。
「今の会社が悪い」というニュアンスで伝わった場合、「給料上げるから残ってくれ」「残業減らすから残ってくれ」と退職理由を潰される可能性があるからです。
交渉のポイント3.強い意志であることを伝える
最初に前提として法律的な退職の自由を解説しましたが、実際のところ、上司に退職の意思を伝えると引き留められるケースは決して少なくありません。
しかし、ここで気持ちがぐらついてしまっては退職するのが難しくなってしまい、その後に続くキャリアアップの道を自身の手で閉ざしてしまうことにもなりかねません。
どんなに引き留められたとしても揺るがない強い意志を持ち、その想いをきちんと伝えるようにしましょう。引き止められた上で円満退職をするためには、真摯な態度を貫き通すことが一番大事です。
現場代理人・主任技術者・監理技術者の退職はやっぱり大変
実務経験豊富な施工管理技士の方の中には現場代理人、主任技術者、監理技術者といった重要な役目を務める方もいらっしゃいます。工期が続く現場で彼らが転職する際、多くの場合正社員の代替要員が必要となりますので、代わりが見つかるまで新しい就業先に転職できないというケースは良くあります。社員がたくさんいる大手ゼネコンよりも人材不足に悩む地場ゼネコンや中小企業の方がさらに難しいようです。
スムーズな転職を実現させるためには、転職活動を始めるスケジュール自体を工期を鑑みて組むと良いでしょう。
余裕を持ったスケジューリングで後腐れのない退職を
以上、辞める会社とその上司の理解が得やすい退職の伝え方やタイミングについてお話させて頂きました。
もし退職時のトラブルを転職先にも持ち込んでしまった場合、どちらが悪いに関係なく転職先におけるあなたの社会人としての評価に悪影響を与えてしまう可能性もあります。
そのような状況を避けるためにも、なるべく余裕を持って退職~転職までのスケジュールを調整した上で真摯に思いを伝え、引き継ぎも漏れなく行うべきです。
一連の退職までの流れは、調整や交渉などの施工管理技士としても求められるスキルを磨く機会にもなります。
エネルギーを使う仕事になりますが、自分自身や家族の将来を明るいものにするためにも気合いを改めて入れ直して退職の話を切り出すようにしましょう。
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