施工体制台帳に"作業員名簿"が追加! 技術者の業務はどれだけ増える?

施工体制台帳に”作業員名簿”が追加! 技術者の業務はどれだけ増える?

いつの間にか改正される建設業法

建設業者の皆さん、日頃の安全管理お疲れ様です。

突然ですが、元請負業者には施工体制台帳の作成義務があります(下請業者の請負金額が4000万円(建築一式は6000万円))。公共工事については、平成27年からは下請金額にかかわらず、すべての工事が対象となり、皆さんも日々の業務のウェイトが増えていると思います。

ほぼ毎年更新される、この施工体制台帳の内容。とくに近年は、激しく内容が増えています。個人的には、もはや本来の目的である請負契約の適正化というよりも、契約日や建設業許可等日付の不整合といったあら探しが目的になっているような気がします。

公共工事の本検査でも、請負契約が適正に行われているかではなく、契約日や見積日、法定福利費が一式になっていないか? 工期が台帳と体系図と契約書と整合しているか? などのあら探しになっていると感じています。

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施工体制台帳に作業員名簿の添付が義務化

そんな中、今年10月施行の改正建設業法で、発注者に提出する施工体制台帳の書類の一つに作業員名簿が追加されることになりそうです。

内容は、以下の通りです。

施工体制台帳の記載事項及び再下請通知を行う事項について、以下の事項を追加する。

① 監理技術者を補佐する者について、氏名及び保有資格を記載することとする。

② 当該建設工事の従事者に関する事項を追加する。具体的には、当該建設工事に従事する者に関する記載事項は以下のとおりとする。

・氏名、生年月日及び年齢

・職種

・社会保険の加入状況

・中退共又は建退共への加入の有無

・安全衛生に関する教育を受けているときは、その内容

・建設工事に係る知識及び技術又は技能に関する資格(※工事に従事する者が希望しない場合は記載を要しない。)

また、①の者を置くときは、その者が監理技術者補佐資格を有すること及び恒常的に雇用されていることを示す書類を施工体制台帳に添付することとする。

※ ①の記載については作成建設業者に限る。

国土交通省「建設業法施行規則及び施工技術検定規則の一部を改正する省令案について(令和2年 10 月1日施行予定)(概要) 」より引用

文章にしたら簡単ですが、全建統一様式を使用するとすると、作業量は膨大になります。


実務レベルでどれだけの負担になるか?

土木工事は業者さんが限られると思いますが、私のような建築屋としては本気でそんなこと考えているのかと思いました。

2億円程度の公共建築工事を新築するのに、下請延べ150社程度 4000人工あるとして、誰がそんな業務をすると思っているんでしょうか?

毎日40人が現場に入るとして、新規の二次以降下請負業者は週3社は来ます。新規入場者には毎日1日しか来ないような他社の応援お手伝いや、自分の名前もろくに書けない、在留カードを会社に預けてくるような外国人技能実習生も毎日来ます。

ボードの荷揚屋なんて、本当に安全教育されていませんよ。毎日、「作業員名簿出てないから」「台帳事前提出だから」って追い返すんですか?

全建統一様式は、あくまで作業のツールとして安全意識を高めるために運用しているので、数字の整合チェックのために使用されるのは勘弁なりません。もしや、テレワークの需要を増やすために、余分な業務を増やして雇用を確保しようとしているのではと勘繰りたくなります。専用の事務員でも雇うんでしょうか?

施工屋ってのは、より安全に、より適切な工期で、より高品質に、利益を追求しながら技術者としての腕を磨きたいんです。

作業員の社会保険加入を促す説明を毎日半日かけて説明するのは技術者の業務ではありません。作業員一人ひとりに「あなたの働き方は、一人親方ではなく社会保険加入要件ですよ」って説明なんか毎日したくないんですよ。

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現場の意見を国へ、パブコメ募集中!

これはあくまで、かなり個人的な主観を交えたものです。

ですが、私たち現場の人間も実務レベルで国土交通省へ色々な意見を言っていくべきだと考えます。

皆さんはこの改正、どう感じられたでしょうか? パブコメも募集中ですが、締切は6月12日までなのでお早めに!
※建設業法施行規則及び施工技術検定規則の一部を改正する省令案(令和2年10月1日施行予定)に関するパブリックコメントの募集について / e-Gov
ピックアップコメント

監督さんは身を粉にして頑張ってる人が多いと思います。ですが、町屋の積水ハウスの監督は仕事しない人ばかりです。

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名古屋の専門学校を卒業後、建築施工管理をメインに公共工事、住宅、た まにちょっとだけ土木に従事する40代。毎年1つ国家資格取得を心掛けつつ、若手育成を楽しんでます。
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