【建築学会】8月27日~30日にわたり全国大会。メインテーマは「建築と暮らす」

(一社)日本建築学会(竹内徹会長)は8月27日から30日の4日間にわたり、東京・千代田区の明治大学をメイン会場(初日はオンライン)で、「建築と暮らす」をテーマに全国大会を開催する。

建築学が担う社会的役割は広く、日常生活から地球環境まで及ぶ一方で、パンデミック、地域紛争、自然災害や少子高齢化など、日々暮らしてゆくことが必ずしも当たり前ではなくなっている世界の状況に、改めて気付かされつつある。

水や食、エネルギーをはじめとする根幹的なものを、周囲の人々や社会のつながりのなかで得て、暮らしが成り立ち、建築がそれを支えてきた。その一方で、暮らしを維持してゆくことの困難さが問われ、これからの暮らしかたを選ぶ岐路にいま立たされている。

今回の大会は東京のなかでもとくに中心エリアでの開催を迎え、一極集中などの問題も含め、都市の暮らし方や豊かさの価値について改めて考えるきっかけを与える。「暮らす」というキーワードは、大会テーマの文言としてはここ20年以上直接用いられてきていない。いま一度暮らし、建築、そしてその両者の関係について、過去や現状を見つめ、未来の姿を描いてゆく大会とする。

メインテーマは「建築と暮らす」 記念シンポも開催

メイン会場となる明治大学駿河台キャンパス

行事の一部内容は次のとおり。

1. 記念シンポジウム「建築と暮らす」

日時:8月28日(水)14:00~17:00
会場:明治大学駿河台キャンパス アカデミーホール定員:1,000名(会員および一般市民、入場無料)
登壇者:永山祐子(建築家)、倉方俊輔(建築史家、大阪公立大学教授)、多幾山法子(建築構造研究者、東京都立大学准教授)、鞍田崇(哲学者、明治大学准教授)、塩谷歩波(画家)ほか進行:連勇太朗(建築家、明治大学専任講師)、川島範久(建築家、明治大学准教授)の各氏。

建築は、常に人々の暮らしとともにあった。しかし、近代化以降、建築は産業化・巨大化し、日々の暮らしと建築の関係が見えづらくなっている。そこで、シンポジウムでは、暮らしの延長上にある建築のあり方を見つめ直し、建築が日常といかに寄り添うことができるか、各分野からの登壇者とともに、多角的かつ包括的な視点から議論する。

2.見学ツアー「人や暮らしがつくる街の魅力を探る」

お茶の水、駿河台から神保町はさまざまな大学が集まる日本のカルチェラタンというべきエリア。学問や宗教を中心とした歴史・文化的建物が多く残るとともに、古本屋街、楽器店、レトロな喫茶店など人の営みが独特のまちや界隈を創ってきた地域。こうした暮らしの中から生まれた文化的資源や地域のコモンというべき場所を巡り、暮らしの中から生まれた名もない建築を含めて、このまちの風景と魅力を辿る。

Aコース:学生が育てた街 “古書の街”とレトロ建築をたずねる(神保町周辺)
主な見学予定建物:学士会館・看板建築数カ所・古書店数カ所・日本大学カザルスホールほか。
ナビゲーター:髙林孝行神田古書店連盟会長ら。

Bコース:失われつつある古き良き生活文化と変わらぬ時間を体験する(本郷周辺)
主な見学予定建物:鳳明館森川別館・求道会館・鳳明館本館・旧伊勢屋質店・本郷中央教会ほか。
ナビゲーター:栗生はるか文京建築会ユース代表・法政大学客員研究員。

Cコース:2時間で130年を歩く─建築と地形から読む駿河台のいま(駿河台周辺)。
主な見学予定建物:湯島聖堂・アテネフランセ・女坂・男坂・レモン画翠・ニコライ聖堂ほか。
ナビゲーター:宇野求氏(建築家・東京理科大学嘱託教授)

日時:8月29日(木)10:00スタート(2~3時間程度を予定)
定員:各コースは15名(予定)
会費:3,000円。

3. 見学ツアー「変貌する東京の様々なまちをオープントップバスで巡る」。

現在、都内各地で再開発が行われ、まち・建築・くらしが変貌しつつあり、変貌しながらも魅力を保ち続ける多様なまちの様相を普段とは異なる視座から体験し、東京全体を俯瞰することで少し先の未来の「くらし」について考える機会を提供する。

日時:8月29日(木)午後(4時間程度を予定)
使用車両:オープントップバス(雨天時幌あり)
ルート:日本橋・八重洲・芝浦・品川・高輪・麻布台・虎ノ門・赤坂・外苑前・渋谷など。
見学施設:麻布台ヒルズ(徒歩・解説付き)(予定)定員:35名(予定)
参加費:5,000円(予定)

4. 表彰式・展示会

(1)2024年度支部共通事業日本建築学会設計競技「コモンズの再構築─建築、ランドスケープがもたらす自己変容」公開審査・表彰式(全国入選)

日時:8月28日(水)9:30–14:30(公開審査)、15:45~16:30(表彰式)
会場:明治大学(アカデミーコモン2階A1–A3会議室)
全国審査員委員長:塚本由晴氏(東京工業大学大学院教授)、委員:家成俊勝(dot architects共同主宰)、五十嵐淳(五十嵐淳建築設計事務所代表)、上原雄史(富山大学大学院教授)、田中智之(早稲田大学教授)、野田満(近畿大学講師)、堀越優希(東京藝術大学助教)の各氏

(2)2024年度日本建築学会技術部門設計競技「木材を活用した建築物・都市における革新的な火災安全技術とデザイン」

表彰式日時:8月29日(木)9:00~9:30(表彰式)
会場:明治大学(リバティタワー1階1011室)

(3)2024年日本建築学会奨励賞贈呈式

2024年日本建築学会優秀卒業論文賞・優秀修士論文賞表彰式
日時:8月28日(水)13:30–15:00
会場:明治大学(リバティタワー8階1083室)

(4)2024年日本建築学会作品選集新人賞受賞者記念講演・表彰式

日時:8月29日(木)14:00–17:00
会場:明治大学(リバティタワー16階1163室)

(5)建築作品展

日時:8月28日(水)から30日(金)9:00–17:00(最終日は15:00まで)
会場:明治大学(アカデミーコモン2階A4–A6会議室)
展示:2024年日本建築学会賞(作品・技術・業績)
2024年日本建築学会教育賞(教育貢献)
2024年日本建築学会作品選奨
2024年度日本建築学会設計競技全国入選
2024年度日本建築学会技術部門設計競技入選
2024年日本建築学会優秀卒業論文賞・優秀修士論文賞
2024年度全国大学・高専卒業設計

大会の詳細や参加申し込みは、次のとおり。
https://taikai2024.aij.or.jp/

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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。