現場Hub株式会社 代表取締役CEOの岡田光正氏(写真中央)と、取締役CTOの沖永凌氏(同左)、取締役COOの神崎翔太郎氏(同右)

現場Hub株式会社 代表取締役CEOの岡田光正氏(写真中央)と、取締役CTOの沖永凌氏(同左)、取締役COOの神崎翔太郎氏(同右)

「工事の面白さにのめり込む」元ダイキン営業マンがDXで挑む「建設業への恩返し」

現場のリアルな課題を真に解決するツールは、現場を愛し、現場の汗を知る者からしか生まれない。

建設DXが叫ばれて久しい昨今、多機能な施工管理アプリが次々と登場している。しかし、1日に十数件もの現場を飛び回り、ギリギリのスケジュールを回す中小規模の設備工事会社にとって、それらは「高機能すぎて持て余す」という新たなジレンマを生んでいた。

そんな”現場のリアル”に寄り添い、中小の設備工事・メンテナンス会社に特化した業務管理システムを提供するのは「現場Hub株式会社」だ。代表取締役CEOの岡田光正氏は、新卒でダイキン工業に入社。空調工事会社向けの営業や経営企画、CVC室などを歴任する中で、自ら現場の職人と共に汗を流し、工事の奥深さにのめり込んでいった。そして、「現場の本当の痛みを解決し、建設業の変革に貢献したい」という思いを抱き、自らの手で建設業界の新たな未来を創るべく、スタートアップを創業した。

繰り返される転記・連絡や、終わらない報告書の作成業務。そんな建設業の現場において、本当に求められている「ちょうどいい」ツールとは何か。汎用の業務管理SaaSでは手が届かないニッチな課題まで泥臭く拾い上げる執念と、現場Hubが目指す「建設業界への愛と恩返し」の根源に迫った。

情報が点在し、転記が多く、探せない。アナログ管理の限界

――まずは、現場Hubが生まれた背景や、着目した課題感から教えてください。

岡田光正氏(以下、岡田氏) 空調業界特有の「夏は忙しいが、秋以降は暇になる」という業務の波の激しさがそもそもの事業の着想のきっかけです 。この差が激しいと通年で人を雇いづらく、待遇も上げにくい。それなら、閑散期にどうやって仕事を入れるかと考えたとき、最も重要なのが継続的な「顧客管理」でした。

また、設備工事の領域では、需要の8割以上が更新やメンテナンスです。社員数が10人未満の会社でも、1日に1人で4件、4人の職人で16件もの現場を回るようなケースが珍しくありません。しかし、現場の進捗や前回の作業内容などの情報は、事務所のホワイトボード、紙の日報、LINE、Excelなどにバラバラに点在しており、こういった会社では顧客管理以前に目の前の業務効率化が課題であると気づきました。

現場Hub株式会社 代表取締役CEOの岡田光正氏

――大規模な一式工事を想定した多機能な施工管理アプリでは、そうした1日何件も回る現場にはオーバースペックになりがちですね。

岡田氏 そうなんですよね。空調機2、3台の入替工事のような、工事自体は1日で終わる内容でも、見積り、スケジュール調整、協力会社への連絡、報告書、請求書の作成と、業務フロー自体は長く、フローごとに転記連絡も多い。そして、そういう案件が毎日大量にあって、漏れなく管理する必要がある。ある会社の社長さまは、常に鳴り続ける電話に対応しながら、台帳や予定表を虫眼鏡を使って必死に確認し、全現場の進捗を頭の中で管理されていました。

だからこそ、「現場Hub」は、1つの現場をガッチリと管理するのではなく、1件1件は「ちょうどいい塩梅」で管理でき、たくさんの案件があってもしっかりと管理できるシステムを目指しています。機能としては、引き合い・受注から、スケジュール調整、作業当日の報告書、そして請求・入金確認まで、業務を一気通貫でカバーするクラウド型の業務管理システムです。現場のリアルな声から生まれた機能を備えており、メールや電話、ホワイトボードでの煩雑なやり取りを大きく削減します。

そして、現場Hubを使っていると自然に顧客データが蓄積され、顧客管理ができるようになります。

たとえば、電話口で「5年前の夏にやってもらった5階の空調なんだけど」と問い合わせを受けたとき、従来の紙の台帳では探すだけで一苦労です。しかし現場Hubなら、物件名で検索すれば当時の見積りや写真が瞬時に出てきて、その場で後継機種の入替提案まで完結できます。また、直感的なUIにこだわり、80代の職人の方でもマニュアル不要で写真や日報をアップロードできるシンプルさを追求しています。

現場Hub』の資料請求はこちら

汎用の業務管理SaaSでは対応しきれないニッチなニーズにも対応する

――現場の職人さんだけでなく、バックオフィスの事務作業もかなり軽減されるとお聞きしました。

岡田氏 そこが現場Hubの評価いただいている点でもあります。現場の職人がスマホで業務日報を入力すると、そのデータが集計され、「誰がどの現場で何時間働いたか」が即座に可視化されます。このデータに単価を掛け合わせることで、人工代や労務費としてそのまま勤怠管理に活用できるんです。

たとえば、30人の職人が20日勤務した場合、月間600枚もの日報が発生します。従来は、事務の方々がこれを手作業で転記し、承認フローを回して集計しており、現場ごとの原価や経費精算は本当に大変な作業でした。しかし、現場Hubでは集計用の画面からボタンをクリックするだけで、集計情報が一気に出力されます。

――会社ごとに労務費や人工代の計算ロジックは違うと思いますが、そこはどう対応しているのでしょうか?

岡田氏 まさにそこがポイントで、会社によって欲しいデータや計算のロジックは全く異なります。

1社1社の異なる業務フローやロジックを1つのSaaSパッケージに合わせるのではなく、顧客ごとに合わせた個別のカスタマイズ対応が必要だと考えています。業務設計と集計ロジックに関する打ち合わせを行い、顧客ごとにカスタマイズした集計シートを作成し、「集計カスタマイズ」というオプション機能として提供しています。

協力会社にも「最高の体験」を。元請けと協力会社のスムーズな連携

――顧客の成長に貢献できた、印象的な事例はありますか?

岡田氏 株式会社Forward様の事例が印象的です。同社は現場Hubに出会う前、社長が別の汎用的な管理ツールをゴリゴリにカスタマイズして「これでツール問題は解決だ!」と自信満々に導入したものの、現場からは『何これ?』と反発されていたそうなんです。

現場Hubに出会ったのはそのわずか3ヶ月後でしたが、社長は残りの契約期間の利用料を捨ててでも現場Hubへの乗り換えを決断してくれました。最初は社員の方々も「また似たようなツールか」と半信半疑だったそうですが、1ヶ月のトライアルを経て直感的な使いやすさが伝わり、いまはフル活用していただいています。

また、同社ではもともと報告書の作成工数に課題がありましたが、現場Hub導入後は現場からリアルタイムに受け取った写真をもとに即座に報告書作成できるため、以前は夜中や翌日に提出していたものが当日日中に対応できるほど効率化できました。
報告書書式ももともと使用していた書式をカスタマイズ対応し、スピードアップにより顧客からの信頼も向上、売上増にも繋がりました。

――こうした現場管理システムは、元請けだけでなく、協力会社(下請け)側の運用に乗るかどうかも大きな壁です。

岡田氏 私たちは、協力会社の体験も大切にしています 。「現場Hub」では、協力会社は利用料無料で元請けとスケジュールや案件単位でスムーズに連携できます。現場で日報を書く際もスケジュールの内容が自動引用されるため、白紙から書く手間もありません。この使いやすさから、協力会社が自社の案件管理のために現場Hubを使い始めるケースも増えています。

設備工事の面白さにのめり込む。原点はダイキン時代での現場経験

――岡田さんはダイキン工業のご出身ですが、設備工事への愛がほとばしっていますね。

岡田氏 ダイキン時代、機器を販売するだけでなく、工事も請け負っていました。作業着を着て現場に入り、現場調査、設計、積算、施工管理までやっていました。着工後も現場に立ち合い、搬入作業を一緒にやったり、レッカーを使うときなども間近で勉強させていただきました。

スケルトンの状態から、「このルートで配管を通そう」「この梁のスリーブを使おう」「給気はこっちに寄せよう」と現場で考え抜く。それがピタッと収まって、綺麗で快適な空間が出来上がるのは大きなやりがいでした。

――配管の取り回しや保温材の巻き方一つにも、職人の緻密な計算と技術が詰まっていますよね。

岡田氏 そうなんですよ。適切な機器を選定し、適切な換気量を計算し、快適性と省エネを両立させる。設備工事って、人々の暮らしや健康に直結する、本当にクリエイティブで価値のある仕事なんです。

今でも展示会に行くと、空調や換気の機器を見て興奮しますね(笑)。自社の社員をダイキンのブースに連れて行って、VRV(ビル用マルチエアコン)やエアハン(エアハンドリングユニット)や全熱交換器について異常な熱量で解説をしてしまって、ダイキンの方に「OBの方ですか?」と驚かれたこともあります(笑)。

そうした現場の面白さ、泥臭さを知っているからこそ、本気でこの業界を支えたいという「恩返し」の気持ちは常に持っています。

――最後に、現場Hubを通して今後どのような世界観を目指していますか?

岡田氏 創業時から、いかにフィードバックを集め、素早くプロダクト改善に活かすかに苦心してきました。先日のユーザー交流会では、全国から20名以上のお客様に参加いただき、エンジニアやデザイナーが直接フィードバックをいただき、その場で実装しました。エンジニアが自ら志願して、現場に1週間同行させていただくこともありました。

現場からのフィードバックを高速でプロダクトに反映し、顧客や協力会社との受発注や請求・支払いも完結するインフラを目指していきたいと思います。そして今後、工事会社の様々な業務を自動化するAIも実装していきます。

現場Hubを活用していただくことで、業務効率が上がり、売上と利益も上がる。そうすれば、社長も本来の経営に時間を使えるようになり、働きやすくなり、社員の待遇も良くなります。そうして業界全体が豊かになり、「建設や設備の仕事って面白くてカッコいい」と、新しい人がどんどん入ってくる世界を作りたい。

私たちの事業の目的は「建設業で働く方々の変革に伴走し、貢献し続けること」で、それはこれからもずっと変わりません。

現場Hub』の資料請求はこちら

この記事のコメントを見る

この記事をSNSでシェア

こちらも合わせてどうぞ!
レイトショーが上映中止に!大型ショッピングモールの排煙設備工事で起きた大騒音事件
施工の神様とは、株式会社ウィルオブ・コンストラクションが運営する、「現場目線」の情報を伝える新時代の建設メディアです。

建設業では、しばらくの間、現場の「生の声」が置き去りにされてきました。
長らく3Kと呼ばれてきた建設業は今、国土交通省主導による働き方改革やi-Construction、若手人材の確保育成、資格制度の見直し、地域防災の観点などから、大きな変革期を迎えています。
施工の神様は、施工に関する技術やノウハウ、体験の共有・伝承・蓄積という側面に加え、実際に建設現場で働く建設技術者・技能者の生の声を、建設業界および世間一般に伝えるという役割も積極的に担ってまいります。

個人・企業を問わず、取材してほしい方・執筆協力いただける方・PRしたいことがある方を募集しています。 お問い合わせはこちらへ。
モバイルバージョンを終了