戦争と材料

戦争の影響で材料費が上がっている。セメント・鉄筋・PC鋼より線はテキメン!

最近、材料の値段に「ん?」ってなる機会が増えていませんか?

ロシア・ウクライナ情勢がどうとか、中東がどうとか、正直現場やってると遠い話に感じると思うんですが、

工事で使う材料の価格に、じわじわどころかかなりしっかり影響が出ていますよね?

戦争が法面の材料にどう絡んでいるのか

2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻を機に、石炭・天然ガス・鉄鉱石・鋼材といった資源の価格が世界的に動きました。

これらは全部、建設資材の製造に直接つながっている原材料。

そして今、日本建設業連合会の資料によると、

建設資材物価指数(土木部門)は2021年1月比で約41%上昇(2025年12月時点)

戦争だけが原因ではなく、円安・輸送コスト増・人手不足も重なっているので、なかなか単純な話ではないのですが、少なくともロシア・ウクライナ情勢がトリガーの一つになっているのは確かですね・・・。

ニュースでよくコメンテーターがイロイロ言っていますが、もう何が何だか・・・(結構複雑で)

その① セメント ──土木に欠かせない材料

モルタル吹付工、現場吹付法枠工、鉄筋挿入工のグラウト、グラウンドアンカー・・・

我々はセメントを使わない工種がほぼないですよね。

そのセメントが結構な値段になっています。

日本銀行の国内企業物価指数によると、セメントは2020年比で+56.6%の上昇(2025年5月時点)。

小売店では1,000円/袋とか普通になってきています。

セメント1tの製造には石炭が約130kg必要で、ウクライナ侵攻後に石炭価格が2021年夏比で一時約5倍近くまで上がった時期があったそうです。

また、セメントは価格構造の3割以上が輸送コストとも言われており、燃料費の高騰もそのまま乗っかっています。

大手セメント各社は、2025年4月から1t当たり2,000〜2,200円規模の値上げを実施しているそうです。

25kg/袋換算では1t=2,000円値上げ=1袋あたり50円の値上げ。これが積み重なった今の価格なんですよね。

我々のよく使う普通セメントで約700~1,000円/袋です。

大量に買っても650円~ですから、もう市場単価追いついていないように思います。

今年はもっと上がります!

その② 異形棒鋼(鉄筋)──鉄筋挿入工・法枠工でいくらでも使う鉄筋

鉄筋挿入工で使うのは主にD19〜D29の異形棒鋼です。

ロシアは世界第2位の鉄鋼輸出国で、ウクライナも主要な鉄鋼産地です。

「コロナ禍のアイアンショックで一度上がっていたところに、ウクライナ情勢が重なって鉄鋼の生産コストと輸送コストが一段と上がったかたちになった」とネット新聞に。

トランプ政権は2025年3月に全輸入鉄鋼・アルミに25%の追加関税を発動し、同年6月にはこれを50%に引き上げました。

1tあたりの価格が数千円動けば、原価は万単位で変わるので、本数が多い現場ほど影響が出やすいですね。

ロット注文での恩恵はすでに無くなりつつあります。

役所が受注後に材料費高騰での単価スライドしないと元請も下請も飛びますね・・・

その③ PC鋼より線 ──グラウンドアンカー工で使う引張材

グラウンドアンカー工のテンドンに使うPC鋼より線(JIS G 3536)は、通常の鉄筋よりかなり高強度の特殊鋼材。

高強度鋼材は製造時のエネルギー消費が多いらしく、石炭・天然ガス価格の高騰は製造コストにそのまま影響だそうです!

永久アンカーで必要な二重防錆材やシースなどの付属材も鋼材系が多いので、トータルで見ると今後ドンドン上がる可能性です!

グラウンドアンカーは1本の単価がそれなりに高い工種なので、材料比率が少し変わるだけでも利幅に影響が出やすいです。

積算単価がコストの上昇に追いついていない問題

日建連の試算記事を見ると、資材費と労務費の両方の上昇を合わせると今年土木分野の全建設コストは2021年比で28〜32%上昇する可能性があるとされています。

一方で、積算基準の改定は材料費の上昇ペースに追いついていない部分がかなりあって、そのギャップがそのまま施工会社の負担になっていると思います。

仮に全ての戦争が終結したとしても、ロシアとの貿易・エネルギー構造がすぐ元通りになるかというと、なかなかそうはいかないそうです。

私的には、見積もりのときに「なんとなく前回と同じ感じで」はもうキツくなってきていると思っていますね。

戦争は向こうでやってる話ですが、材料の価格は今日も動いています。

スタグフレーションのせいで、昨年と建設予算は同じでも、物価が上がっているので工事件数は減ります。今まさにそれが起きている気がします。

どこもかしこも仕事が無い。あるのは、災害箇所と大型ダムの現場ばかりですね。

こうやってネットで記事見たり、調べて行くと、もうなんだか暗ーい気持ちになってきます。AIに文献調べてもらっても、いい話は1個も出てきません(笑)。

今年もシンドイのかなぁーって思いますよねー

※この記事は、『新エンタの法面管理塾』の記事を再編集したものです。

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大手法面専門建設会社に就職後、32歳で独立。あまりの暇さに「新エンタの法面管理塾」というブログを開設し、法面のノウハウを公開しています。
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