芸能人が工事現場にやってきた!「築220年以上の古民家」を動かすのは軽い?

芸能人(アイドル)が工事現場にやってきた!「築220年以上の古民家」を動かすのが“軽い”ワケとは?

テレビ取材で芸能人と一緒に曳家作業!

こんにちは。たぶん日本で一番、「枕木」と「ジャッキ」を大量に使っている曳家職人の岡本です。

そんな自分にピッタリな現場を、昨年夏から今年の始めまで担当していました。で、その様子をテレビが取材に来まして、今度の3月10日(土)朝6時から、テレビ朝日「週間ニュースリーダー」で放送されます。

テレビには今までも何度か取材されていますが、今回は初めて現場にタレントさんがやって来て、一緒に作業をする、という珍しい体験でした!

タレントさんは、栗山千明さん!だったら嬉しいのですが(笑)、「鉄腕ダッシュ村」でご存じのTOKIOのリーダー城島さん。じじい的には、ほとんど関係のない方なので、淡々とインタビューに答えました。どんなふうに編集されてるのかなー?

ちなみに、タレントさんが現場入りすると、カメラマン、音声さんを含めプロデューサーさんなど総勢10名!カメラ5台!普段の取材ではせいぜい2名でしたから、多いですよね!

その中で、私もまあまあ主役級ですから、気分は大仁田でした(笑)。

不同沈下した築220年以上の古民家再生工事

築220年以上の古民家を再生する。

さて、工事内容ですが、220年前には存在していたという、元は茅葺きの古民家を再生する工事です。

ドイツから帰国された施主の奥さまが「どうしても直す!直して住む!」という極めて強い気持ちで、始められた再生計画なんです。

が、約40坪の建物は地盤が悪いため、最大部分で30cmも沈下しています。しかも、あちこち不揃いに沈下していました。こういうのを不同沈下と言います。

さらに、腐食が進んでいる柱も多く、建物は傾いで変形していました。

既存柱の傾きと沈下量。経年で沈下したり開いていていた(※スマホだと見にくいかも)。

なので、まずは沈下修正を行って、その後に、家起こし(軸組補正工事)を行います。

構造がしっかり形に戻ったら、地盤補強をするために一旦、曳家しておく。そして、基礎を造り直したら、再び曳家するという、5か月にわたる長い工事でした。

伝統構法の建物は土台がありませんので、まず鉄骨で仮設土台を作ります。

水平に直した後に、その鉄骨で作った仮設土台から反力を獲って、家起こしをします。

いよいよ1回目の曳家です。曳き込む側に反力が獲れるものが無かったので、レールの下にも鉄骨を鉄橋のように敷いて、建物の荷重で鉄骨を決めて、その先にワイヤーを掛けています。

曳家して空けたスペースで地盤改良が始まりました。

少なくとも220年前には存在していた記録が残っている、このお家のオリジナル部分は「欅」なんですが、ホゾ付けするために削ると、こんなにも硬くきれいな活きた木が出てきます!凄いです!

この工事は何回か見所があったのですが、なんと言っても「柱の入れ換え」や「桁(横架材)の繋ぎ目無しの補強作業」などは、白眉でした。

一般の方は「家が動く!」と言うことに注目してしまうものですが、それは、レールと車輪に乗せてしまえば動くわけですから。そんなに凄くないです。

この工事は、およそ40本の柱の入れ換えと4mの桁を柱勝ちでなく、まっすぐ入れる荒業?は、自分でやっていても、「曳家かっちょいいな!」と痺れました(笑)


テレビではTOKIO城島さんの「逆巻き」に注目

ちなみに、TOKIO城島さんが参加した曳家場面のチェックポイントは、ずばり「逆巻き」です。

普通に考えて、ウインチを巻く際は、前から下に向けて体重を乗せ易くして巻くものですが、実は、このテレビ撮影時は、立ち上がりにワイヤーが摩らないようにするため、巻き取り位置を高くしようとウインチのドラムへの巻き取りを逆巻きにしていました。

そんな珍しい状況とは知らない城島さんは「家って思っていたより軽いんですね」と言います。

それは、うちの工務部長がかなり力入れてたからですよ(笑)

番組をご覧の際には、逆巻きしているところにご注目下さい!

それにしても、レールと枕木を大量に使って荷重を分散する「土佐派の曳家」が、全国放送で取り上げて頂けて感謝です。

最近の鉄道のレールを敷いて、基礎ごと大きな建物を動かすのとは、また違った「曳家」の光景を見ていただけます。ぜひご覧ください!

テレビ朝日「週間ニュースリーダー」、3月10日(土)朝6時からの放送です。

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曳家岡本の二代目。日本屈指の曳家職人。テレビ出演は「真相報道バンキシャ」「心ゆさぶれ先輩rock you」「ウェークアップぷらす」など多数。漫画化もされており、雑誌「週刊漫画Times」で連載中の「解体屋ゲン」にもセミレギュラーで実名登場。
自分では「日本一小心者な曳家」だと思っているが、ある建築家からは「蚤の心臓」と呼ばれている。しかし、自分が凄いのではなく、かつて昭和南海大地震や伊勢湾台風から復興するための技術として栄えた高知県(土佐派の曳家)の技術が自分の身体に残っているだけである。
東日本大震災の直後に千葉県浦安市対策本部の招聘されて上京。近年は全国の社寺・古民家修復を中心に手掛けている。
曳家岡本HP ⇒ http://hikiyaokamoto.com
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