成果品・工事完成報告書を作成できない受注者
最近、発注者に対する「苦言」をよく耳にします。
しかし、発注者だけでなく、受注者のほうだって「実力」が下がってきていませんか?
たとえば、公共工事を受注した以上、成果品として「工事完成報告書」の提出が求められます。
発注者側の検査官は、その報告書を見て検査を行ない、支出負担行為担当官へ報告します。
そして、合格できれば支払いが可能になるのですが、ここ最近、工事完成報告書を作成できない受注者が激増しています。
仕事ヤル気あるのでしょうか?
工事完成図書の進捗が遅い
私は発注者支援業務を担当しており、先月、発注者からこんな相談を受けました。
「工事完成図書の進捗が遅い。サポートしてくれ」
発注者からの指示を受け、受注者が作成する工事完成報告書の確認作業を実施しました。
愕然としました。報告書の体を成しておりません。
報告書作成の基本をペーパーにまとめ、口頭で指示しました。
すると担当者は「明後日までには作成しますので、再度確認願います」と回答。
この約束は木曜日でしたが、完成検査が間近に設定されている中での、ギリギリ選択です。
承知した小職は、土曜日(休みの日でしたが)受注者の事務所へ足を運びました。
結果、何も進捗していない!!
私は優しい性格ですが、さすがに怒り心頭!
「今まで何をしていんだ!」との私の問いに対し、「他の業務に追われ、手につかず状態でした」という言い訳。
この事業費は、うん億円でした。にもかかわらず、「他の業務に追われ、手につかず状態でした」と平気で言う担当者に愕然とし、すぐに受注者の部長へ相談しました。
成果品作成支援
受注者の部長に対して「さすがに面倒みきれないので手を引きたい」と私が言うと、「会社として総力を挙げるので、面倒見ていただきたい」との回答。
その言葉を信じ、私は翌日から受注者の事務所で成果品作成支援。
成果品作成に当たっての作業分担を決め、書類や写真整理を進めます。
「私の分、終わったぞ!」との問いに「言われた件、まだ終わっていません」との回答。
出来上がり状態を見ると、ほとんど出来ていない…。
「何してたの?」との問いに、担当者は「他の業務に追われて…」。また愕然。
さっそく受注者の部長へ報告すると、「申し訳ございません…」との回答。
飯も食わず、朝8時から翌日まで。
くたくたになってました。
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検査官からの講評
検査当日。
私も臨席しました。
検査官からの講評は「まとめ方、素晴らしいね」。
その言葉で救われました。
決して、私が作成したとは言いませんでしたが…。
成果品を作成できない理由
なぜ、成果品を作成できないのか?
- 契約書を見ていない。
- 仕様書を見ていない。
この2点です。
何を作成すべきかの根本が分かっていない受注者が激増中です!
契約書類は事務方の仕事。現場管理は現場の仕事。
現場代理人としての立ち位置を分かっていない方、激増中!
そんな方々が、発注者に対して文句を言えますか?
発注者に対して苦言を述べる記事を「施工の神様」や他の建設雑誌でも見かけますが、そもそも意見を言える実力がありますか?
いろいろな意見はあるかと思いますが、まずは発注者から文句を言われない体制を整え、やるべきことを速やかに。
鉄則です。
現場代理人 兼 監理技術者とか可能にしている発注者がおかしい。何が働き方改革だ。半数以上の中小企業は罰金を納めろ!