積算できる民間企業が少ない理由
積算とは、設計コンサルタントの成果品の設計図や数量計算書により、公共土木積算基準に基づいて工事価格を決める業務です。一般的に土木工事は税金で賄われているため、経済的にも安価なもので積算しなければなりません。
そもそも積算って、役所の仕事です。毎年10月頃に積算要領の見直し等があり、積算担当者会議があります。一方、民間企業では、入札する際に見積積算をしなければなりませんが、その見積積算はよっぽどでない限り、外部から指摘されることはないでしょう。なので、民間企業で正しい積算を理解している人は少ないのではないでしょうか。
また、役所には会計検査という仕事があり、役人は、作成した積算書の積算根拠を全て整理しておかなければなりません。積算のやり方次第では、高額な工事価格を作り上げることも可能です。しかし、公務員には守秘義務があり、悪さをすると免職されるなど、社会から追放されるおそれがあるので、まずそんなことはしないでしょう。
ただ、民間企業の場合は、単価の吊り上げなど、大きな土木工事を荒稼ぎしようと思ったら、1000万円ぐらいはすぐに稼げると思います。設計価格をもとに入札するわけですから、設計価格が漏れるリスクもいっぱいあるでしょう。
積算を理解している民間企業が少ないのは当然です。しかし最近では、発注者支援や任期付職員制度があるので、純粋な公務員でなくても、積算業務に関わる方が増えてきています。良し悪しは別にして、積算を学ぶ機会が増えてきたことは技術者にとっては、ある意味チャンスではないでしょうか?
復興CM方式の積算
私は一時期、中堅ゼネコンの一員として、東日本大震災に伴う東日本復興CM方式の工事現場に携わったことがありますが、積算のことができる人は一人もいないといっても過言ではありませんでした。田舎のAランクの建設会社のほうが仕事は速いし、出来形も管理できるとも思ったほどです。
CMのチェック機能も甘すぎます。設計図を理解しないで施工しているようなもので、施工管理はデタラメ。積算についても、役所がしている仕事よりかなりズサンです。そのため、派遣社員に仕事を任せることも多いというのが実情でした。ハッキリ言って、役所の職員が少ないから役所代行業務と言ったところ。役所だったら、こんな工事はやり直し、即指名停止でしょう。
しかし、裏を返せば、これから積算を勉強したいと思っている人には、復興CMでの積算業務はかなりオススメです。復興CMでは、見積積算になるのですが、区画整理事業が多く、工種がいっぱいあります(造成、道路、下水道、水道、公園等)。この点も、これから積算を始めたいと思っている人には、オススメです。また発注者側も積算しているので、積算の考え方、積算条件も確認でき、たいへん勉強になると思います。
若い建設技術者、けんせつ小町には、ぜひ積算を学んでほしいと思うので、東北の復興現場で積算業務にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
若い建設技術者、けんせつ小町に積算・測量・設計・出来型管理を教えたい
私もベテランの域に入ってきましたので、聞く耳、やる気がある人には積算を教えたいと思っています。積算を馬鹿している技術者もいるかもしれませんが、これは大きな誤りです。契約内容に基づいて、工事をする訳ですから、積算内容と積算条件をよく理解していないと発注者と対等に話せないし、施工管理もデタラメでしよう。
積算業務では、設計図や作業条件を確認しますから、日々、勉強しスキルアップしていきます。逆に積算をしっかり理解している人のほうが、品質管理はバッチリでしょう。積算は、国民の血税を使ってする公共工事の適正な工事価格を算定する大事な仕事です。数学、パソコン操作に違和感を感じない人ならできる仕事です。
前述のように純粋な公務員でなくても、仕事ができる環境が開かれてきましたので、興味がある方は、職務内容が問題なければ、積算を仕事に考えたらいかがでしょうか?
危険な作業でもありませんし、工務、内勤です。女性でも十分できるし、覚えてしまえば女性の方が早いかもしれません。
施工管理管理技術の採点性、評価性を厳格せよ
建設業の若手教育について、最近思っていることを書かせていただくと、若手教育をゆるくすると、将来の土木技術者は育たないし、国際競争に負けるのではないかと懸念しています。
特に、ハイテク機器に依存して、俺はできると勘違いしている技術者は、要注意です。自己満足にすぎないと感じています。
そういう意味でも技術力、施工管理等できない会社は、衰退すべきであり、施工管理管理技術も採点性、評価性を厳格にしてほしいと思っています。出来の悪い、また、悪さをした施工管理技士は、免許を剥奪してほしいです。逆に仕事が出来る、技術力のある会社は、いっぱい仕事してもらって稼いで、繁栄してもらいたいですね。