リモートワークイメージ

施工管理業務のリモート率は13%? 施工管理者1,500人にアンケート【LINE WORKS】

コロナ禍で建設業のデジタル化は進んでいるか?

1月7日。新型コロナウィルスの再拡大を受け、2度目の緊急事態宣言が発令。建設業界においても、工事現場でのクラスター発生が日夜報道され、未だ終息の目途は立たない。

一方で、厚生労働省の『新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針』では、国民生活や社会インフラの安定維持の観点から、公共・民間工事問わず、緊急事態措置の期間中にあっても事業継続を要請しており、通常業務下において、いかに企業および個人が感染リスクの低減・回避に則した取り組みを進めていくかが、建設企業の事業継続においてこれまで以上に重要となっている。

このような状況下において、ビジネス版のLINE「LINE WORKS」を提供するワークスモバイルジャパンは、コロナ禍での施工管理の実情やリモートワーク導入状況について、施工管理者約1,500人、現場作業者約1,500人を対象にアンケート調査を実施。調査結果から、遅々として進展しない建設現場のデジタル化の実態が浮き彫りとなっている。

リモート化されている業務は、全体の1/8程度

まず、建設現場における施工管理者の働き方に関する調査結果を見ていく。施工管理者の平均コミュニケーション量については、1人あたり4現場を担当。自社内で27人、社外では13社と、多くの関係者と連携しながら、並行して現場を回さなければならない実態がある。こうしたコミュニケーションは、ほとんどの場合が電話やメールでなされているだけでなく、FAXでのやり取りも多い。また、SMSや、LINEといったチャットツールを活用しているのは3人に1人に留まっているのが現状だ。

施工管理者一人あたりの平均コミュケーション量

リモートワークの状況については、一度目の緊急事態宣言が発令される以前では、全業務のうち7%がリモートで行われており、宣言後はリモートの占める割合が13%と約2倍に増えている。しかし、未だ全業務の8分の1程度で、同調査結果では今後、朝礼や現場での進捗確認・作業員への指示、写真や書類の管理などのリモート化に期待する声も上がっているが、依然として施工管理業務がアナログ中心であることが、これらのリモート化を阻害する要因にもなっている。

施工管理者のリモートワーク状況

そもそも、新型コロナウィルスが猛威を振るう以前から、日中は現場を回り、夕方から夜間にかけて事務所で写真や書類整理に奔走しなければならない働き方が、施工管理者の長時間労働を助長する大きな要因となっていたわけだが、今回のアンケート結果でも約半数が「現場で写真をとって、事務所に帰ってから整理」している実態が明らかになっている。

施工管理者の現場実態

また、「何かと紙で出力する事が多い」「会って会議をする習慣がある」などの回答も4割以上を占める。現場には常に複数の作業員が出入りしていることから、国土交通省としても密の回避やテレワークをはじめとした通勤頻度の低減だけでなく、現場と自宅の直行直帰を推奨しているが、依然として「社内(事務所)で作業する」という文化が根強く残っていることが見て取れる。

コロナ禍により、期せずして企業や個々の働き方やその意識が変容しつつあるが、今回のアンケート結果だけを見ても施工管理という職種においては、まだまだ浸透しているとは言い難い。もちろん、現場でリアルに施工状況を把握・管理することは重要であるし、在宅での勤怠管理が明確でない企業では、むしろ長時間労働を助長する可能性もある。しかし、新型コロナウィルスに対応した働き方は、これまで建設業界が一丸となって推し進めてきた業務削減に通じるものがあるはずだ。コロナ禍が、建設業界のデジタル化を加速させる試金石となることに期待したい。

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