会社の魅力、土木現場の印象とは?
ひょんなことから、福岡都市高速のメンテナンスの現場で働くドボジョ(土木女子)に取材する機会を得た。広成建設株式会社九州支店の福田姫子さんだ。
広成建設と言えば、広島市内に本社を置く会社であり、JR系の仕事をしているイメージが強い。なにを求めて広成建設に入ったのか、実際の土木の現場はどう映っているのかなどについて、お話を聞いてきた。
恒久足場設置工事のCIM業務を担当
――現在担当しているお仕事について教えてください。
福田さん 今年8月から福岡都市高速の橋梁補修工事と恒久足場の設置工事の現場に入っています。私が主に担当しているのは、恒久足場新設工事に付随するCIMに関する業務です。発注者さんや協力会社さんと、CIMに関するやりとりをしています。
――現場仕事はどうですか?
福田さん 以前の職場はデスクワーク中心だったので、職場環境が全然違います。
もともと建築志望だったが、大学の途中で土木に転向
――最初から土木の仕事に就きたいと考えていたのですか?
福田さん もともとは、ざっくり「まちづくり」をやりたくて、地元宮崎の工業高校で建築を勉強しました。工業高校を選んだのは、単純に通学しやすいというのもありました。数学とか苦手だったのですけど(笑)。
大学は大分だったのですが、やはり建築学科に進みました。ただ、大学3年生のときのコース分けで、土木系コースを選びました。その理由は、建築物より、橋梁やトンネルなどに興味を持ったからです。研究室は、地域共生で、環境系の研究をしていました。卒論は、生活が砂浜環境に与える影響に関するものでした。
人が移動するためのインフラをつくりたい
――就活はどんな感じでしたか?
福田さん 人が移動するためのインフラをつくりたいと思っていたので、建設会社2社を受けました。高速道路か新幹線の維持管理をしたいと考えていました。それで、最終的に広成建設を選んだわけです。
――地元で働きたいというのはなかったですか?
福田さん とくになかったですね。実家がフリーなので(笑)。「ここ(宮崎)に止まらなきゃいけない」、「実家にいて欲しい」というのはありませんでした。むしろ、「好きなところで好きなことをしなさい」と言われていました。
――広成建設でなにをやりたいというのはありましたか?
福田さん 入社したときは、「安心して新幹線に乗れる」環境をつくりたいという思いでいました。
――最初の配属先がたまたま九州支店になったということですか?
福田さん そうですね。
相談するなら、同期の女の子
――九州支店勤務はどうですか?
福田さん 社員の方々の人が良いので、働きやすいと思っています。もちろん、他の支店は人が悪いという意味ではないですが(笑)。
――土木の女性は他にもいるのですか?
福田さん いません。私だけです。ただ、同期の女の子が広島の本社にいるので、ちょくちょく連絡をとり合っています。困ったことなどを相談するなら、やはり同じ女同士のほうが聞きやすいし、こっちが求めている答えを返してくれる可能性が高いからです。
――最初の仕事はなんでしたか?
福田さん 計画課でパソコン上で小倉駅周辺の鉄道工事の図面の修正などの業務を担当しました。ただ、工事の内容については、わからないことも多かったので、現場に足を運んで、図面を理解できるよう頑張りました。小倉の仕事は、半年ほど携わりました。
――仕事には慣れましたか?
福田さん 入社2年目ですが、まだまだですね。
――今は現場仕事中心ですか?
福田さん そうですね。今は、足場の図面を持ちながら、ただ現場を見ているだけですけど(笑)。
図面と現場、両方見れる仕事はありがたい
――発注者などとやりとりする中で、感じたことはありますか?
福田さん 自分が伝わったと思っても、伝わっていなかったということがけっこうありました。言い方、伝え方は大事だなと感じました。人によっても、すぐわかってくれる人もいれば、そうでもない人もいるので、難しいなと思っているところです。
――内業と現場仕事は違いますか?
福田さん 中で図面だけ見ていても、現場をイメージするのは難しいのですが、現場に出れば、図面になにを描いてあるのかすぐわかるので、その点は、現場のほうが良いと思います。図面も描けるし、現場も見れる、両方できる仕事は、やっていてありがたいなと思います。
――残業はありますか?
福田さん あります。事務所に戻ってからやらなければならない仕事もあるので、それは仕方ないと思っています。ただ、ツラいと思うほど長時間の残業は、これまでのところありませんし、帰りたいときは帰らせてもらっています。強制されることはないです。
――できれば残業はしたくないタイプですか?
福田さん そうですね、自分のために人生の時間を使いたいと思っています。
とにかく「良い人」が多いのが魅力
左から中村啓一郎さん、福田さん、今井俊晴さん(広成建設九州支店土木部長)
――休みの日はなにをしているんですか?
福田さん 結婚したので、主人と出かけたり、アニメを観たりして過ごしています。
――転勤は大丈夫ですか?
福田さん 遠距離は慣れているので、大丈夫だと思っています(笑)。
――今後こうなりたいというものはありますか?
福田さん 土木に関する知識がまだまだ少ないと感じているので、現場の知識をもっと身につけたいと思っていますし、資格もとっていかなきゃという思いもあります。図面を引くのも好きなので、設計に関する勉強もしていきたいです。
――出産子育て後も仕事を続けたいですか?
福田さん そうですね。本社のほうでは出産後も仕事を続けている女性がいるので、私もそういう感じで働き続けたいと思っています。
――広成建設の魅力はなんですか?
福田さん もともとやりたかった維持管理の仕事に携われるのが、魅力です。あと、さきほども言いましたが、とにかく良い人が多いのも魅力です。たとえば、わからないことがあれば、誰に聞いてもちゃんと教えてくれるし、社員研修などの社内制度も充実しているので、働いていて安心感があります。
上司である中村啓一郎さん(現場代理人)のコメント
福田さんには主に恒久足場のCIMを担当してもらっていますが、広成建設の土木の現場として、本格的にCIMを扱うのはこの現場が初めてです。発注者さんのご要望に応えつつ、無事完成するまで、仕事をやり遂げてもらいたいと思っているところです。今のところは設計ですが、当然、いずれは施工管理もしてもらうことになるので、そちらもしっかりやってもらいたいところです。この現場で経験したことをほかでも活かしていってもらえれば、という思いもあります。