施工管理はオワコン
先日、飲みの席で不動産業界の知り合いからこんなことを言われた。
「建設業界の施工管理ってもうオワコンだよ」
何を根拠に「終わった」と言っているのかよくわからないが、私の仕事をオワコン(終わったコンテンツ=時代遅れ)と馬鹿にされ、マウントを取ってきた彼に、非常に腹が立った。
最終的には、彼の意見を論破するという事態になったが、今回はその議論した内容を一部ご紹介したい。
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施工管理がオワコンの理由
彼が「施工管理は終わっている」と言った理由は、これから住宅など建築物を新しくつくる機会が減少し、それに伴い施工管理の需要も低くなるから、だそうだ。
特に数値的な根拠はなく、なんとも表面的な意見だなと思いつつ、確かに言っていることは的を得ているとも感じた。建物の老朽化が進み、それに伴う維持管理工事や補修工事といった大型の修繕工事があることも確実だ。
しかし、それによって施工管理の需要がなくなる根拠もなければ、理由もよくわからない。
施工管理には夢がない?
「施工管理は、会社に属していなければ監理技術者等に配置することができないので、独立してフリーランスで活動しにくく、実際には会社に依存するため、収入も伸びにくい」とも言われた。
これも単なる偏見だ。業界のことがまるでわかっていない。
確かに、施工管理として大きなプロジェクトに携わるほうが収入は伸びやすい。大きなプロジェクトとなると、会社に属したほうが確かに携われる機会は増える。
しかし、それは施工管理というポジションにこだわった場合だ。施工管理の働き方は、別に監理技術者になることだけがゴールではない。
施工管理の能力があるのならば、工事書類の作成代行、オーバーワークしてしまっている部分の仕事を巻き取る、測量士の資格を掛け合わせて測量業務をするなど、可能性は無限大だ。
むしろ、施工管理の中でも専門性の高い分野の仕事は外注されるケースも増えてきている。そこにフリーランスとして参入する余地は十分にあると感じる。
独立しにくい、稼ぎにくいというのは視野が狭いだけだ。
少子高齢化で人手不足だから終わってる?
「そもそも、日本の人口がこれから増えることはないから、施工管理も人手不足となり、終わっている」とも言われた。
日本の人口が減少していることは事実だ。しかし、当事者の私たちからすれば、人が少ないからこそ、施工管理は非常に重宝される。これは身をもって感じていることだ。
施工管理技士として働いていて一番強く感じていることは、正直そんなに能力が高くなくても、1級施工管理の資格を取得さえすれば、転職で困ることはない。他業界・他業種と比べて、多くの企業から引く手あまたな存在になれる機会が圧倒的に多いように感じる。
私自身、今の会社に入って、すでに6社もの会社からヘッドハンティングされた。業界内の引き抜きはタブーとされているが、正直、「うち来ない?」というような声掛けは日常茶飯事だ。
つまり、資格を取得してある程度の知識や経験をつければ、人手不足の今の時代において、光を浴びるチャンスは無数に転がっているということだ。
人がいないということはそれだけ希少性が上がる。にもかかわらず、私たち施工管理が「終わっている」と馬鹿する意味がわからない。
――あまり建設業界を知らない人は、メディアの情報だけで好き勝手なことを言う。元々イメージが良くなかった業界だから、仕方のないことなのかもしれないが、私たち現場の人間が「違うことは違う」とはっきり言っていかなければ、イメージを改善することは難しいのだと強く感じた出来事であった。