土木(仕事)が好きかどうかは、聞かなくてもだいたいわかる
私はこれまで、主に土木技術者の方々に、いろいろ話を聞いて回ってきた。ちゃんと数えたことはないが(数える気もないが)、おそらく100人は超えているだろう。
その際、かなりの頻度で聞くことがある。それは「土木(仕事)は好きですか?(楽しいですか?)」ということだ。
なぜそう聞くかと言えば、当然ながら、その人が土木が好きかどうか知りたいからではないし、なんらかの言質をとりたいからでもない。
そもそも、好きかどうかは、わざわざ聞かなくても、話の内容などからだいたいわかる。「この人は本当に好きなんだな」とか「この人は仕方なくやっているんだろうな」とか「コイツは長続きしないな」とか。もちろんそれを口には出さないが、やりとりの中で、そういうことを勝手に感じ取ってはいる。
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シンプルな問いへの反応にこそ、人となりが現れる
「土木(仕事)が好きですか?」という、幼稚ともとれる、どストレートかつどシンプルな問いに対して、「どう反応するか見たい」というのが、本当の理由だ。
シンプルな問いであるがゆえに、その反応に人となりがくっきり現れるものだ。反応と書いたのは、答えは必ずしも必要ではないという意味だ。なぜなら、言葉はどうとでもとり繕うことができるからだ。
ところで、「そんな質問すんな」とキレられることを密かに期待しているのだが、残念ながら、これまでのところ、そういう人はまだいない。ただ、内心そう思った人は何人かいたと思うが。
「好き感」が伝わる度合いが高いのはゼネコン系
一口に土木技術者と言っても、ゼネコン系、公務員系、建設コンサル系といった属性の違いがある。この属性の違いによって、反応の傾向はけっこう異なってくる。あくまで私の主観ではあるが、伝わってくる「好き感」の度合いとしては、ゼネコン系の人がもっとも反応が強く、公務員系はもっとも弱い、という傾向があるように思う。
ゼネコン系の反応が強いのは、やはり、実際にモノをつくる仕事、現場仕事だからだろう。やや手垢がついた表現という感じもあるが、「モノづくりが好き」とか「土木は現場あってこそ」といった言葉には、力強さと言うか、説得力がある。
中には、工程とお金の管理以外関心がないような、ロボットのような人もいるが、ストレートに「好き感」を表現する、人間味あふれる人が多い。土木現場という、基本的にはごまかしのきかない職場環境が、そういう性格を育んでいる可能性はある。
そもそも、なにかあったときに一番しわよせを受けたりする、ツラい仕事でもあるので、好きでなかったら、務まらないというのもあるのかもしれない。「好き感」の伝わり方という点では、一番わかりやすい系統だ。
公務員系の「好き感」の度合いは判断が難しい
公務員系はもっとも弱いと書いたが、組織やポジションなどによって、「好き感」のギャップが著しく異なるので、どう評価して良いか難しい面がある。
この点、公務員は、職業と言うより、「身分」だからかもしれないと思ったりもするが、やはりよくわからないところがある。
ちまたには、公務員には「いてもいなくても良い公務員」、「いると困る公務員」、「いなくてはならない公務員」の3種類がある、という言い方があるが、これと同じようなことが「好き感」についても言えるような気がする。
たとえば、圧倒的に少数派ではあるが、「俺がこの国(県市)を良くするんだ」という感じで、好き嫌いをはるかに超えたなにかに突き動かされているような、ひたすらアツい人もいるにはいる。その一方で、圧倒的多数を占める、別の意味で好き嫌いは関係ないような、ことなかれ主義の「ザ・役人」のような人もいる。
この辺は、はた目にはわかりにくいと言うか、人としてちゃんと付き合ってみないと、まずわからない。そういう難しさがある、ということだ。
コンサル系の「好き感」はナゾ
コンサル系は、これまでに話を聞いた人数が圧倒的に少ない(おそらく10人以下)のもあって、データに乏しい。別の言い方をすれば、取材依頼自体はそれなりにかけてきたのだが、結果的に話を聞けていないということだ。つまり、そういうことである。
コンサル系に関しては、これまでのところ、「好き感」がちゃんと伝わってきた感覚があまりない。言葉としては「好き」とは言っているが、どうもウソくさいということである。ということで、私にとっては、「好き感」がどうなっているか、もっともナゾに包まれた系統だ。
好き嫌いを含め、自分の感情をちゃんと伝えてくれる人が好き
私がなぜ、「好き感」の度合いにこだわるかと言うと、人としてのおもしろさを測るバロメーターにしているからだ。
私のような野良のライターにとっては、土木技術者として能力が高いとか、学位を持っているとか、組織的にエラいといったことは、たいして重要ではない。そんなことより、好き嫌いをはじめ、自分の感情をちゃんと伝えてくれる人であることのほうが、よほど重要だ。
なぜなら、ちゃんと人と話をしたという、確かな感覚が得られるし、話(記事)としておもしろいと思うからだ。あと、読者にとっても、共感が得られやすいと思われる、というのもある。
つまり、「私はそういう人が好きだ」と言いたい、ということである。
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