本社の視察から見えてきた本音 「派遣だから信用できない」

「派遣は信用できない!」 現場視察で見えてきた本社の人間の”本音”

“ギクシャクの予感” 本社の人間が現場視察に来る

中国地方の発電所建設工事に安全担当として関わり、1カ月以上が過ぎた。本職である建築の施工管理、建築図面および施工図作成管理ではないが、何か得るモノもあるだろうと何とかやっている。

しかし、毎日毎日モヤモヤしながら過ごしているというのが正直なところだ。間接的にしか建設に関われないもどかしさと、約1年間まともな建設工事に関わっていないことが大きな原因だと思う。

今の現場の前は、プラント工事現場の建築土木の担当だった。その現場では、プラント工事の中での建築土木の難しさを実感したが、今の現場は、安全専任で安全の仕事だけが担当だ。

今、私の居る会社は、電気計装関係の仕事がメインで、従来は自社系列の工場の中の仕事をこなすのが主だった。しかし、統廃合が進み、更に生き残りのために他社2社を吸収合併、他から仕事を請け負うことが主流になりつつあるようだ。

私は直接経験したことはないが、会社の吸収合併の際、吸収する側と吸収される側の社員の扱いは、会社によっては随分と理不尽なことがあるようだ。今の現場に居る人たちは、全員吸収された側の人間で構成されている。そこへ吸収した側の幹部が現場視察に来る!というので、所長はじめナンバー2の工事責任者などは、普段とは違い、随分ピリピリしている。

私は東京本社でその人たちと会っているが、特段の印象は無い。まあ、どこの会社でも似たり寄ったりだが、視察に来た人たちは、「来たからには何かしら成果を上げて帰りたい!」とそんな気持ちで来る。だから、どうしても色々文句や主張が多くなる。

現場に初めて来た人たちの眼が、客観的な判断で的確なことを指摘する場合もあるが、往々にして、現場の事情を無視した杓子定規な言い分に終始する。私も今回は安全専任だから、安全に関して思いつく限りのことを聞かれ、指摘もされた。う〜ん!と思うようなこともあるが言われた通りにしようと思う。まあ、とにかく言い分を聞き、波風立たないように対処している。

現場の状況を逐一報告とは、まるでスパイ!

「どうなるのかなぁ?これはまずいよなぁ!」と感じたことが1つある。それは、今回視察に来た人たちと同行してきた32歳の若い人(仮にSさんとする)が、このまま現場に残り常駐するという。Sさんは東京本社、つまり合併の際に吸収した側が採用した人間で、他の人たちとは立場が違うということだ。

東京から来た3人は、やたらSさんを持ち上げているが、周りの反応はほとんど無い。それに合わせるように、所長や工事責任者も本社が選んだ人間ということで、Sさんには随分気を使っている。

一種のお目付け役として現場に残り、現場の状況を逐一本社に報告するように言われてるようだが、それをあからさまに皆の前で言っては、この先Sさんもやりづらいだろうし、周りも壁を作ってしまうのではないかと思う。

Sさんがどれほど有能なのか私にはまだ分からないが、32歳という年齢を考えれば、技術者としてはまだまだこれからの年齢だ。だが、Sさんは普通なら言いづらいようなことを、所長や工事責任者に色々言っている。その言動を見る限り、東京本社から何か吹き込まれてきたな!としか思えない。

そんな様子を見てると、事務所内はギクシャクするのではないかと感じている。肝心のSさんとは、まだあまり話す機会もなく、どんな人なのかよく分からない。ただ、東京本社の人たちが居るところでは色々言うが、その人たちが居なくなると、全く何も言わなくなる。この先どうなっていくのか私には分からない。

Sさんの今後のことを考えると、本社から来た人間は配慮に欠ける。「何かあったら直接本社のほうに電話くれ!」のような、現場の所長や工事責任者を無視したような言い方や、「Sは本社と直接繋がってるんだ!」と誤解されるような本社の人間の発言は、マズイなぁ!と他人事ながら感じずにはいられない。

まあ、私には直接関係ないが、まるでスパイを送り込んだ如く、あらゆる情報が筒抜けになったんでは、現場はやりにくくてしょうがないだろう。

「派遣だから信用できない」が本音だろう

本社から来た人間は、事務所内で頻繁に他現場の話を電話で話してる。「あの人は派遣だから信用できない!」「派遣だからどうせ出来ないよ!」などと電話口で、皆が聞こえるような大きな声で話している。それが本社の人間の本音なんだろう。

今の事務所には、私ともう1人派遣で働いている人が居るが、聞いてて気分の良いモノではない。私から言わせれば、今までそんな人たちとしか出会いがなかったのかも知れないが、そんな見方しか出来ない人たちを可哀想に!と思う。

そんな言動からも、人に対する思いやりが全面的に欠けてる会社なのがよく分かる。この会社は、派遣者だけでなく、吸収合併した相手側の社員に対しても似たような態度をとるのかも知れない。

本社は元の吸収した側の社員だけで構成され、現場は吸収された側の社員を配置してるようだが、本社から命令や指示を出すだけで上手く行く!と思ってるとすれば、この会社の先の発展はなく、先細りの将来が待っているだけだろう。

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アジア、アフリカなど海外の建築現場で長年、施工管理に従事している。世界中で対日感情が良好なのは、先人たちの積み重ねである。日本人として恥ずかしくない技術者でいたい。
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