1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策 建設業法「施工体制台帳・元請負人の義務」
1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策の第16回目は、建設業法「施工体制台帳・元請負人の義務」についての勉強ポイントをまとめます!
施工体制台帳
建設業において建設工事の適正な施工を確保するため、発注者から直接工事を請負った建設業者(元請事業者)は、当該工事にあたるすべての業者を監督しつつ管理することが必要である。
【1級土木施工管理技士の合格講座15】で触れた「建設業の許可」「技術者の配置」と同様に、ここでも下請総額が1つポイントとなる。
元請事業者の義務
※下線部はよく出題される箇所で、下線部直後の(× )内は誤りの記述です!
公共工事の場合は下請金額にかかわらず、民間工事に関しては、発注者から直接工事を請負い(元請工事業者)、下請総額が4000万円(建築一式にあっては6000万円)以上の工事を施工する場合、施工体制台帳と施工体系図の作成等を行わなければならない。
※法改正によって平成27年より、公共工事については、発注者から直接請け負った公共工事を施工するために下請契約を締結する場合には下請金額にかかわらず施工体制台帳の作成等が義務付けられることとなった。
※また平成28年より、民間工事における施工体制台帳の作成等を義務付ける下請負金額の総計が3000万円→4000万円(建築一式工事4500万円→6000万円)に引き上げられた。
下請負人の義務
下請負人は、自らが他の建設業者から請け負った建設工事を別の建設業者に請け負わせたときは、再下請負通知書を元請である特定建設業者(×発注者)に行わなければならない。
※再下請負通知書や、施工体制台帳への記載が「2次下請以下は省略できる」などの記載があると×となる。
施工体制台帳の作成が義務付けられている建設業者は下請負金額の大小にかかわらず、複数の下請けになった場合もすべて施工体制台帳への記載を行わなければならない。そして、下請業者も再下請負を行う場合は金額にかかわらず再下請負通知書を元請に提出しなければならない!
【練習問題】次の記述は正しいでしょうか、誤っているでしょうか?
発注者から直接工事を請け負った特定建設業者は、工事の一部を下請に出す場合には、必ず施工体制台帳を作成しなければならない。 |
→解答×…特定建設業者が必ず作成しなければならないわけではない。下請負金額の総計が4000万円(建築一式工事6000万円)
施工体制台帳への記載は、1次下請についてのみ義務づけられており、2次下請以下については省略することができる。 |
→解答×…施工体制台帳は、施工体制を適正に行うために作成するもので1次下請負人以下、全ての下請負人を記載する必要がある。
元請負人の義務
ここは、出題されるポイントがパターン化されているので点数のとりやすい問題です!
元請負人の義務というのが建設業法24条に定められている
元請負人の義務 | 業務の内容 |
下請負人の意見の聴取 | 工程や作業方法を決定する場合は、下請負人(×発注者)の意見を聞く。 |
前払金の支払い | 前払い金の支払いを受けたときは、下請負人に対して、建設工事の着手に必要な費用を前払金として適切な配慮をしなければならない。 |
下請代金の支払い | 工事の完成または出来形部の支払いを受けたときは、1月以内に当該下請負人に支払いを行う。 |
検査及び引き渡し | 下請負人から、完成通知を受けたときは、20日以内に完了検査を行い、
完了検査後、引き渡しは、申し出があったら直ちに受けなければならない。 |
特定建設業者の下請代金の支払期日 | 特定建設業者が注文者となった下請契約については、完成物件の引き渡し申し出があったときは、その日から50日以内の日を下請代金支払日とする。 |
下請負人に対する指導 | 下請負人が法令に違反しないように指導すること。 |
キーワードだけ絞って覚えておくと、試験に対応しやすい!ここは、この6つを覚えておけばOK
・意見の聴取→下請負人 ・前払い金→適切に配慮 ・引き渡し→直ちに
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・完了検査→20日以内 ・代金の支払い→1月以内 ・特定建設業者の下請代金の支払→50日
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これだけ覚えておけば、ここの問題はOK!特にややこしい1月・20日・50日が何に該当するかをしっかり覚えておきましょう!
【練習問題】次の記述は正しいでしょうか、誤っているでしょうか?
元請負人は、請負代金の出来形部分に対する支払いを受けたときは、その支払の対象となった建設工事を施工した下請負人に対して、出来形部分に相応する下請代金を、当該支払いを受けた日から50日以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならない。 |
→解答×…代金の支払いは?50日以内ではなく1月以内。「特定建設業者が注文者となった場合の下請代金の支払」と間違えないように要注意!