1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策 建設業法「建設業の許可・技術者の確保」
1級土木施工管理技士の試験では、建設業法の分野から、建設業の許可・技術者の確保(監理技術者・主任技術者)について、元請人の義務(施工体制台帳)、請負契約などが出題されます。
技術者配置の金額・専任の必要な金額の法改正が平成28年にあり、平成29年の建築施工管理技士試験ではさっそく出題されています。土木施工管理技士試験でも、新しい法改正後の金額での問題が出題される可能性が高まってきます!
古いテキストやネット情報では、金額が違う場合があり要注意です。ここでは金額と金額に合わせた名称や規則がキーポイントになります。
1級土木施工管理技士試験の出題ポイント「建設業の許可」
ここは、1級土木施工管理技士の試験ではあまり出題されません(1級建築施工管理技士の試験ではよく出題されます)。この後に解説する「技術者の確保」に関連しますので、さらっと説明していきましょう。
建設工事を請負うためには2つの許可が必要となります。
◎1つ目の許可……大臣許可もしくは知事許可
これは営業所が1つの都道府県内のみにあるか、2つ以上の都道府県にまたがっているかによって、異なります。1つの場合はその該当する知事許可が、2つ以上の場合は大臣許可となります。
※1件500万円未満の工事のみを請負う場合は許可がなくても、軽微な建設工事を請負うことができます。
(建築一式工事の場合、1件1500万円未満の工事か延べ面積150㎥未満の木造住宅工事、その他工事は上記の通りです)
◎2つ目の許可……一般建設業の許可もしくは特定建設業の許可
これは、下請なのか元請なのか、下請にだす請負総額によって異なります。
- 特定建設業 ・・・ 発注者から直接工事を請負い(元請工事業者で)、下請総額が4000万円(建築一式にあっては6000万円)以上の工事を施工する業者
- 一般建設業 ・・・ 下請専門か、発注者から直接工事を請負っても(元請工事業者で)下請総額が4000万円建築一式にあっては6000万円)未満の場合。
業種別許可
- 建設業は、土木一式工事・建築一式工事・電気工事……のように、29種類に分かれている。
許可は業種ごとに必要で、1つの事業所で複数の許可をもつことができる。ただし、同じ業種で一般建設業の許可を持っている会社が、特定建設業の許可をとった場合は、一般建設業の許可は無効となる。
- 有効期限は5年間。
1級土木施工管理技士試験の出題ポイント「技術者制度(監理技術者・主任技術者の確保)」
下記にまとめた表の金額をしっかり覚えよう!
主任技術者 | 監理技術者 | |
---|---|---|
工事現場に設置すべき技術者 | 下請の場合、請負金額(下請総額)にかかわらず、建設業者が施工するすべての工事現場。(許可を受けていない軽微な工事のみを行う業者を除く)
元請の場合、下請総額が4,000万円(建築一式工事の場合6,000万円)未満の場合。 |
発注者から直接請負う工事(元請)で、下請総額が4,000万円(建築一式工事の場合6,000万円)以上の場合。 |
技術者の専任が必要な工事 | 元請・下請にかかわらず、公共工事、多数が使用する施設の工事で請負金額が3,500万円(建築一式工事の場合、7,000万円)以上の場合 |
【練習問題】次の記述は正しいでしょうか、誤っているでしょうか?
発注者から直接土木一式工事を請け負った特定建設業者は,下請契約の請負代金の総額が2,000万円以上の場合、工事現場に監理技術者を置かなければならない。 |
→解答×…監理技術者を置かなければならない金額は?…土木一式工事の場合4,000万円以上
発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額にかかわらず、専任の監理技術者を工事現場に配置しなければならない。 |
→解答×…元請・下請にかかわらず、請負金額が3,500万円(建築一式工事の場合、7,000万円)以上の場合に専任が必要となる!特定建設業者であるかどうかは関係ない!
1級土木施工管理技士試験の出題ポイント「請負契約」
このあたりの文言は、実地試験の穴埋めにもよく出題されます。下線部はしっかり、文言をおぼえましょう。
現場代理人の選任に関する通知
注文者が監督員を工事現場に置く場合には、現場代理人の権限に関する事項および当該現場代理人の行為についての注文者の請負人に対する意見の申出の方法を、書面により(×口頭により)注文者に通知しなければならない。(法第19条の2)
・現場代理人は、主任技術者・監理技術者を兼ねることができる(×兼ねることはできない)。
一括下請負の禁止
建設業者は、一括下請負をさせてはならない。また、してもならない。ただし、元請負人が、あらかじめ発注者から書面による承諾を得ている場合は、例外的に一括下請負が認められている。
※上記の例外規定はあるが、平成20年の法改正で、公共工事、共同住宅を新築する工事の一括下請けは全面禁止となっている。
基本的に、試験問題では「一括下請負をさせてよい」という記述があれば基本的には×である。