「私は初めての女性部下」女性現場監督(24歳)が告白する“面倒な先輩監督”の攻略方法

女性施工管理技士(けんせつ小町)の取扱方法

私は現場で一番年下の女性監督(24歳)です。

最近「けんせつ小町」と呼ばれている私の体験を通じて、クセの強い男性施工管理技士や職人さんとどうやって接していくべきか、女性施工管理技士や女性技術者のみなさんの参考になれば幸いです。

男性の施工管理技士さんにとっては、今まで現場で女性と接する機会が少なかったと思いますので、若い「けんせつ小町」のトリセツ(取扱説明書)になればと思っています。

現場で女性はたった一人、しかも一番年下

現場でまだまだ下っ端の女性監督である私は、現場所長と先輩監督の下について現場を管理することがほとんどです。業者の方や職人さんも、自分のお父さんや、おじいちゃん世代の方ばかりなので、現場では大抵、私が一番年下です。現場の大きさによりけりですが、だいたい現場員2〜3人で現場の段取りをしています。

経験で誰にも勝てない私は毎日「素直であること」をモットーに仕事をしています。こんなことを真顔で言うと「いやいや小学生じゃないんだから」と言われたりしますが、どんな分野の仕事においても私はこれが一番大事で難しいことだと思っています。むしろ大人になればなるほど難しいことなのではないかとも思います。

けんせつ小町にカッコつけたがる先輩施工管理技士

そんな私が新入社員の頃、割と大きな現場に配属され、現場所長、先輩、私の3人で現場管理をしていました。もちろん現場で女性は私だけでした。

その先輩は10年目で、私はその先輩に仕事を教えてもらっていました。初めてのことばかりで、おまけに力仕事がたくさんあったので苦労したこともありましたが、この現場で何が一番大変だったかと問われれば、どうしようもなくプライドが高い頑固なこの先輩監督の「攻略」です。

私は初めての女性部下

一緒に仕事を始めてものの3日で、彼のプライドの高さを実感しました。現場で右も左も分からなかった私はしつこいくらいに先輩を質問攻めにし、分からないことはどんなことでも図面片手に尋ねていたのですが、そんな私の質問に答えられなかったときも、彼は絶対に「分からない」と言いません。必ずその場で、彼の想像で、私の質問に答えます。

私がもし彼の立場なら、「ごめん、今すぐは分からないからちょっと待ってもらってもいい?」と言って、事務所で必死に調べます。しかし、彼は分からないときも、彼の想像で「絶対にこうだ」と答えます。そして、それがたとえ間違っていたとしても、私がその通りにしていないと彼は激怒してしまいます。

そんなことより、間違った作業によって現場が止まってしまうことの方が面倒くさいので、私は自分で調べなおしたり、現場所長や職人さんに聞いたりして間違いがないか確認していました。それは普通のことだと思うのですが、それを見た先輩は「俺の言うことはそんなに信用できないのか!」とまた怒ってしまいます。

他の先輩に彼について聞いてみると、「初めて女性の部下を持ったもんだから余計そうなのかも……」とのこと。そんな彼の機嫌を損なわないように作業を進めていくのは、とても大変でした。

どうしても「ごめんなさい」が言えない先輩監督

私の主な仕事は施工写真を撮ることだったので、毎日図面を片手に現場を走り回っていました。RC躯体の配筋写真を撮っているときのことです。図面に書いてあることと、実際の施工に違う箇所があることに気付き、間違っているのか何か変更があったのか分からなかったので、その先輩に聞いたことがありました。

そのとき、先輩監督が「所長にも確認したけどそれで合っている」と言ったので、配筋はそのままで型枠が組まれました。しかし、その配筋写真を見た所長から、配筋が間違っていると言われてしまいました。その先輩は所長に確認していませんでした。結局、大工さんに型枠をバラしてもらい配筋を直してまた型枠をやり直すという出戻り作業になってしまい、職人さんを怒らせてしまいました。私は急いで職人さんのところに行って謝り、そしてお礼を言いましたが、その先輩は絶対に謝りませんでした。

新米の女性施工管理技士から男性技術者へ一言

他のどんな場面でも彼は、どうしても「ありがとう」と「ごめんなさい」が言えません。そして出来ない自分が格好悪いと思うのか、嘘をついてしまいます。出来ていないことも「出来た」と言い、理解できていないことも「分かった」と即答します(これがまたびっくりするぐらい即答なのです)。そんなことがあってしょっちゅう現場の作業が行き詰まり、職人さんを困らせます。そして私が現場を走り回る時間が増え続けます。

変なプライドは捨てて、誰に対しても素直でいることが私はとても大事だと思います。現場に限らず全てにおいてそうですが、建設現場での仕事は特に人とのコミュニケーションが命になるところがあるので、教えてもらったり助けてもらったりしたときは「ありがとう」、失敗した時は「ごめんなさい」が言えないと人はついて来てくれません。この先輩の攻略にはなかなか苦労していましたが(時にはもはやそれを楽しんでいましたが)、プライドの高い男のひと(施工管理技士)は最強に面倒くさいです。

新米の女性施工管理技士が教訓を垂れるのもおかしな話ですが、施工管理技士たるもの、「ありがとう」と「ごめんなさい」をしっかり言えるようにしましょうね。そのほうがカッコいいですよ。

ピックアップコメント

全く攻略法じゃないですね。私ならわからないフリしてその箇所に先輩を連れて行き、「上手く写真が撮れなくて…」とさりげなく確認してもらうとか考えますけど…出来ると思っている上司には甘える。素直も大切ですが、甘えるという女性の手段は覚えておくべきです。例えその時に馬鹿にされようが、不具合が発見されない危険を回避できるのなら、それに越したことはない。ただ突っぱねて騒ぐだけじゃ、誰も認めてくれませんよ。

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24歳のけんせつ小町。女性現場監督として孤軍奮闘中。お父さん・おじいちゃん世代と一緒に働いている経験を生かし、もっと建設業界に女性技術者が増えるよう、デリカシーのない建設業の男性陣にモノ申す。
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