安河内 真理さん(福岡市道路下水道局 計画部計画調整課 無電柱化推進係長)

安河内 真理さん(福岡市道路下水道局 計画部計画調整課 無電柱化推進係長)

“マイノリティだから結束が生まれる” 土木系女性職員が語る仕事の魅力とは?

これまでの仕事や市役所で働く魅力を聞いてきた

福岡市役所である人と雑談しているとき、女性の土木系職員の話になり、「昨年度まで東京事務所にいた優秀な子がいるよ」と教えてもらった。

なんでも国土交通省に出入りして、いろいろと情報をとったりする仕事をしていたが、「コロナでなかなか会えない」とぼやいていたそうだ。

これは興味深い話が聞けそうだということで、とりあえず取材を依頼した。ということで、福岡市道路下水道局で無電柱化推進係長を務める安河内真理さんに話を聞いてきた。

「土木のド」も知らなかった

――ご出身は?

安河内さん 福岡市です。大学の近くでした。

――土木に興味を持ったきっかけは?

安河内さん もともと地球温暖化とかクリーンエネルギーとか、環境問題に興味があったので、大学は工学部地球環境工学科を選びました。学科の中には土木コースもあったのですが、行きたかったのは資源工学コースで、入学したときは「土木のド」も知りませんでした(笑)。

大学で学んでいく中で、「土木って世界があるんだ」と知って、「ものづくり、まちづくりって面白そうだな」ということで、「土木の仕事に就きたいな」と考えるようになりました。研究室は交通工学(交通研)に入りました。きっかけはそんな感じでした。

――箱崎キャンパスでしたか?

安河内さん そうです。キャンパスが移転する前に卒業できて良かったです(笑)。

住民に近い仕事がしたい

――公務員志望だったのですか?

安河内さん そうですね。ものづくり、まちづくりを行う際、最初の線を引くのは行政、公務員なので。コンサルとかゼネコンは最初から頭にありませんでした。公務員をやるなら、地元である福岡市役所が良いということで、市役所に入りました。

国などと比べ、より住民に近い仕事ができるのも魅力だったので、ほぼ福岡市役所一本でした。市役所では、とくに道路のバリアフリーや歩行者空間づくりなんかをやりたいと考えていました。市役所に入って、今年で16年目になります。

――最初の配属先は?

安河内さん 早良区役所でした。現場に出て、道路拡幅だとかカーブミラー設置だとか、道路関係の仕事を担当しました。正直言って、仕事をするまで早良区のことはあまり知りませんでした(笑)。山に行くこともあったので、ある意味新鮮でした。

――その後はどんな部署を?

安河内さん 早良区役所の次は、農林水産局の漁港課で、志賀島とか玄界島などの漁港の予算や計画といった仕事を担当しました。その次は道路下水道局の道路計画課で、道路の実施計画などを担当しました。その次は東京事務所で、国土交通省に出入りしたり、市長や上京者などのアテンドなどを担当していました。

――東京事務所はどうでした?

安河内さん 初めて土木以外の職員の方々と一緒に仕事をしたので、いろいろ勉強になりました。とくに土木以外のいろいろな仕事を知ることができたのが、一番経験になったなと思っています。

事務屋さんからは「土木屋は視野が狭い」と思われているところがあるので、自分の視野を広げるという意味で、良い刺激になりました。「事務屋さんの仕事のやり方」を学べた感じです。プライベートも、他都市の東京事務所の方々とも知り合いになり、休日一緒に遊んだりして、かなり充実していました。公私ともに楽しかったですね。

――今は何を担当しているのですか?

安河内さん 無電柱化推進を担当しています。無電柱化推進係は今年度に新たに設置された係です。実は、市役所の面接で「無電柱化をやりたい」と言った覚えがあるんです。実際に無電柱化の担当になってみると、こんなにコストがかかるとは知りませんでした(笑)。


小さな仕事も大きな仕事もどっちもできる

――仕事で楽しかったことはありますか?

安河内さん いろいろありましたけど、漁港課にいたとき、漁業関係の方々と一緒に、漁港近くの公園の草を刈ったときは楽しかったですね。地元の方が差し入れを持ってきてくれたりして、住民の方々と一体になれた感じがしたので。

――人とのふれあい?

安河内さん そうですね。市役所に勤めていると、区役所は別ですが、住民と直接ふれあう機会があまりないんです。東京事務所での仕事もやりがいがあって、それはそれで楽しかったですが。

――福岡市役所で仕事をする魅力は?

安河内さん やはり住民に近いところで仕事ができるところですね。それでいて、けっこう規模の大きな仕事にも関わることができます。小さい仕事も大きな仕事もどっちもできるのが魅力だと思います。

土木系女子同士の一体感が心強い

――土木職の女性は少ないほうだと思いますが。

安河内さん 福岡市役所の土木職の女性職員は今、だいたい60名ぐらいです。全体の職員数から見れば、確かに少ないですね。市役所内には土木女子会というものがあって、定期的に飲み会を開いたりして、つながりを深めてきています。

なので、数は少ないですけど、困ったときなどに先輩に相談したり、いろいろな情報を共有したりできるので、他の職種に比べ、土木職同士の一体感がかなりあって心強いところもあります。

――マイノリティであるがゆえに、結束が強まる。

安河内さん そうです。逆に結束が生まれるわけです(笑)。

――お土地柄、上下関係は厳しかったりするんですが?

安河内さん 私自身、やっぱり先輩は大事にしますね。絶対服従とは言わないですけど。それは男女関係なしです。私自身、学生時代にバレーをやっていたのですが、そのときの上下関係は今でも残っていて、市役所内でもそういう意識はあります。

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