ツーバイフォー工法の家とは?特徴やメリット・デメリットを紹介

ツーバイフォー工法の家とは?特徴やメリット・デメリットを紹介

家の建築方法の名称として、「ツーバイフォー工法」という言葉を耳にしたことのある方も多いでしょう。

ほかの建築方法と同様に、ツーバイフォー工法にも独特の特徴やメリットなどがあります。家を建てる状況に応じて向いている場合と不向きな場合があるため、家の建築方法を選ぶ際には把握しておくことが大切です。

この記事では、ツーバイフォー工法の家の特徴やメリット、どのような場合におすすめかなども詳しく説明します。ツーバイフォー工法を知りたい方は、ぜひ一読してみてください。

ツーバイフォー工法は木造建築工法の一種

ツーバイフォー工法とは、木造の建築工法の一つになります。そのため、ツーバイフォー工法の仕組みや特徴を理解するには、まず木造建築について知ることがおすすめです。

木造建築や木造住宅にはどのような特徴があるのか、またツーバイフォー工法以外の木造建築の工法について説明します。それぞれの特徴や違いを知り、木造建築についての理解を深めましょう。

木造住宅の特徴

まず木造住宅の特徴としてあげられるのが、家の躯体が軽く、基礎工事にかかる手間が少ない点です。そのため、鉄筋や鉄骨造よりもコストを抑えることができます。

また、木材には調湿効果があるので、家の中の湿度を適度に保つ効果が期待できる点もメリットです。断熱性を高くすると結露が発生しやすくなりますが、木造だと結露を抑制する効果もあります。

一方、木造建築のデメリットとして多くの方が思い浮かべるのは、火災に弱い点やシロアリの被害にあいやすい点でしょう。

しかし、木材は表面が燃えて炭化しても、全体が燃え尽きてしまうまでには意外と時間がかかります。その特性を利用して、万が一の際には、十分な避難時間を確保できるように計算されて建てられているのです。

木造建築の種類

家の建築方法は、まず基本となる建材が鉄骨やコンクリートか木材かで分かれます。さらに木造建築にはいくつかの種類がありますが、違いのポイントは柱と枠組みの構造です。

木造建築のおもな工法や構造としては、ツーバイフォー工法以外にも「木造軸組工法」や「木造ラーメン構造」などがあります。それぞれの建て方の特徴をみてみましょう。

柱がメインの木造軸組工法

在来工法とも呼ばれることのある木造軸組工法は、日本で古くから用いられてきた工法です。木材で柱や梁といった家の骨組みを作り、そこに壁や屋根といった面部分を張っていくという工法になります。

柱と柱との間には「筋交い」と呼ばれる木材を斜めに入れ込むことで、地震による揺れなどを軽減できるような構造になっている点も特徴です。

柱がないツーバイフォー工法

ツーバイフォー工法とは、木造枠組壁構法とも呼ばれる、北米で主流の住宅工法です。2インチ×4インチ規格の部材を使用するので「ツーバイフォー(2×4)」と呼ばれています。

規格部材で作った枠組みと面材とを用いて耐性の強いパネルを作り、そのパネルを箱状に組み合わせることで、家の基本となる六面体構造を建てる工法です。

在来軸組工法は、建物を木材の柱や軸で支えますが、ツーバイフォー工法は「面」で支えることになります。

枠組みがメインの木造ラーメン工法

木造ラーメン工法のラーメンとは、「枠組み」という意味です。その名の通り、木材で強固な枠組みをつくり、そこに壁や屋根を張っていく工法です。

木造軸組工法との違いは、枠組みをしっかりと固定しているため、補強のための筋交いを入れる必要がない点です。そのため、軸組み工法よりも空間の制約が少なくなります。

ツーバイフォー工法の特徴

ツーバイフォー工法は従来の軸組工法とは異なり、柱や梁といった軸ではなく、規格材と壁板で作られた面で建物を支えています。その構造が、ツーバイフォー工法のさまざまな特徴の源になっているのです。

ここでは、ツーバイフォー工法についてより詳しく理解するために、ツーバイフォー工法で建てられた家の特徴やメリットを説明します。

耐震性について

ツーバイフォー工法は、曲がったり歪んだりしにくい剛性の高い面を組んだ六面体構造で建物が作られています。このような六面体の構造は、建物に力が加わった際に荷重を全体に分散させ、ねじれや変形を抑えることが可能です。

よって、地震が起きた際に生じる縦揺れや横揺れなどの力をこの構造で受け止め、荷重を全体に分散させることができるので、ツーバイフォー工法の家は地震に強いと言えます。

耐用年数について

ツーバイフォー工法で用いられる規格部材には、JAS(日本農林規格)に基づいて、含まれている水分量が19%以下の乾燥材が使用されています。そのため、建材となる木材の腐敗や劣化が少ないのです。

さらにツーバイフォー工法では、あらかじめ基礎部分の土壌に防蟻剤を散布して防湿シートを敷くことで、地面からの水分を遮断します。これらの対策により、木造建築であっても耐久性が高い点が特徴です。耐用年数は約80年と言われています。

リフォームについて

耐震性や耐久性に優れているツーバイフォー工法の家ですが、リフォームにはあまり向いていないと言われています。なぜなら、ツーバイフォー工法では、壁の面で家の躯体が作られているため、動かせない壁が多いからです。

しかし、ツーバイフォーの構造をよく理解し、上手に活かすことが得意な住宅メーカーや工務店に依頼すれば、間取りの変更を伴うようなリフォームも不可能ではありません。

ツーバイフォー工法のメリット・デメリット

ツーバイフォー工法のメリット

ツーバイフォー工法のメリットとしてまずあげられるのは、家の主要なパーツのほとんどを工場で組み立てるため、品質が安定している点です。軸組工法のように、工事に携わる職人の技量に工事内容が左右されにくくなっています。

また、一般的な木造建築よりも地震に強く、建物が丈夫である点もメリットです。さらに、高気密で断熱性も高いので、家の中の空調を快適に保ちやすく省エネ効果も期待できます。

ツーバイフォー工法のデメリット

ツーバイフォー工法のデメリットとしては、壁で家の構造を作っているため、大きく間取りを変更するようなリフォームやリノベーションがしにくい点があげられます。

また、高気密で断熱性が高いメリットの反面、建築中に雨などで使っている木材が濡れてしまうと、湿気や水分が抜けにくい点がデメリットです。木材が湿気ていると、腐食やカビ、シロアリの被害などにあいやすくなってしまいます。

ツーバイフォー工法が向いているケースは?

ツーバイフォー工法の仕組みや特徴、メリット、デメリットなどが理解できたところで、実際に家を建てるとなったときに、どのような家を建てたい方がツーバイフォー工法に向いているのかを説明します。

ツーバイフォー工法で建てる家がおすすめかどうかのポイントは、家の丈夫さ、省エネ効果の高さ、家づくりの工期の短さです。それぞれのポイントについて詳しく見てみましょう。

木造で丈夫な家を建てたい人

まずツーバイフォー工法で建てる家がおすすめなのは、木造建築で、かつ地震や自然災害などに強い丈夫な家を建てたい方です。

ツーバイフォー工法で建てられた家は、規格材と面材とで作られた壁や天井を組み合わせた六面体構造で作られています。そのため、揺れや振動に強いので、耐震性と耐久性の高い家を木造で建てたい方に向いていると言えるでしょう。

省エネ効果が高い家を建てたい人

ツーバイフォー工法で建てられた家は、省エネ効果が高い家を建てたい方にもおすすめです。なぜなら、ツーバイフォー工法は、一般的な木造軸組工法で建てられた家よりも断熱性に優れているからです。

断熱性が高いと室内の空気が外気の影響を受けにくくなります。そのため、室内の温度を一定に保ちやすく、一度室内の空気が温まると暖房器具を常時使わなくても快適に過ごすことが可能です。

家づくりの工期を短くしたい人

家づくりの工期を短くしたい方にも、ツーバイフォー工法での家づくりはおすすめだと言えるでしょう。ツーバイフォー工法では、家の主要な部分を工場で作ってから現地で組み立てるので、建築中の天候に左右されにくいからです。

建築にかかる工期が短いことは、建築に関わる現場の職人の技術や経験の差によって家の完成度が左右されにくい点と相まって、ツーバイフォー工法で家を建てるメリットであると言えるでしょう。

ツーバイフォー工法を知って家づくりに役立てよう

ツーバイフォー工法は、柱や梁で家の躯体を支える木造軸組工法とは異なり、規格された建材で作った面を組み立てた六面体で家を支えている点が特徴です。安定した品質と工期が短いというメリットもあります。ただし、湿気や水分に弱い点に注意が必要です。

木造住宅の中でも耐震性や耐久性、耐熱性の高いツーバイフォー工法は、丈夫で省エネ効果の高い木造住宅を求めている方に向いている工法だと言えます。ツーバイフォー工法の特徴やメリットなどを理解して、家づくりの際に役立てましょう。

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