高所作業車の資格とは?必要性や受講内容、準備すべきものを解説

高所作業車の資格とは?必要性や受講内容、準備すべきものを解説

高所作業車の運転には、資格が必要です。資格を取るには、高所作業車運転技能講習もしくは高所作業車運転特別教育を修了しなくてはいけません。

講習は18歳以上なら誰でも受講可能で、必要なものも多くはありません。危険を伴う高所作業では、労働安全衛生法によって定められたルールに従った安全な作業が重要です。

この記事では、高所作業車を運転するために必要な資格や、高所作業車の種類を解説します。高所作業車の資格保有者は会社でも重宝されるため、ぜひ参考にしてください。

高所作業車での作業は資格が必要

高所作業車とは、作業床が2m以上の高さに上下できる性能を持ち、昇降装置や走行装置などで構成され、不特定の場所で自走できる機械です。これに当てはまらず、動力で自走できない機械は、高所作業台と認識できます。

作業床の高さが10m以上の高所作業車を運転するには、講習を受けなくてはいけません。では、高所作業車の運転に必要な講習や、資格保有で可能なことなどを解説します。

高所作業車運転技能講習とは?

平成2年10月1日の労働安全衛生法一部改正により、高所作業車(作業床の高さが10m以上)の運転業務に携わるなら、技能講習を修了する義務があります。ただし、作業床の高さが10m未満の高所作業車の運転は、高所作業車運転特別教育の修了が必要です。

高所作業車は、現場内の運転なら自動車免許は不要ですが、公道を走行できないため注意しましょう。

高所作業車の資格保有で可能なこと

高所作業車の資格を保有していると、建築や電力関係の会社で高所作業の業務に携わることができます。資格保有者でないと高所作業はできないため、有力な人材として会社から重宝されるでしょう。

高所作業車資格を取得するには、運転技能講習か特別教育どちらかの講習を受ける必要があります。2つの講習は運転できる作業床の高さが異なるだけで、高所作業車の種類は無関係です。

受講内容

高所作業車運転技能講習の受講内容は以下の通りです。

  • 高所作業車の運転に関する学習:2時間
  • 高所作業車の作業に関する装置の構造や取扱の方法に関する学習:5時間
  • 原動機および電気に関する学習:3時間
  • 関係法令の学習:1時間
  • 学科試験:1時間
  • 実技:6時間

移動式クレーン運転免許の保有者や小型移動式クレーン運転技能講習を修了した人は、原動機および電気に関する学習と、運転に必要な一般的事項に関する知識が免除。

また、下記に1つでも当てはまる人は、原動機および電気に関する学習が免除されます。

  1. 大型特殊自動車免許・大型自動車免許・普通自動車免許どれか1つの保有者
  2. フォークリフト運転技能講習、ショベルローダー等運転技能講習、車両系建設機械または不整地運搬車運転技能講習の修了した人
  3.  建設機械施工技術検定の合格者

高所作業車の資格を取るための手続きと必要なもの

高所作業車運転技能講習は、18歳以上なら誰でも受講できます。教習所への入校は予約制となっているため、当日に突然申し込みをしても受講できません。

受講には、筆記用具や印鑑、身分証明書が必要なため事前に準備し、忘れないようにしましょう。では、受講の手続き方法と必要なものを紹介します。

受講の手続き方法

まずは、電話で入校日の予約をします。予約が完了したら、黒いインクのボールペンで所定の受講申込書にある必要事項を記入。本人確認書類のコピーと受講コースの条件に関わる証明書、資格書のコピーを受講日の10日前までに郵送か直接持っていきましょう。

本人確認書類とは、自動車運転免許証・住民票(発行から6カ月以内)・公的機関発行の証明書です。受講料は、受講日の10日前までに銀行振込・現金書留・窓口支払のいずれかで支払います。

受講時に必要なもの

受講時に必要なものは以下の通りです。

  • 受講票・筆記用具・印鑑・手袋(軍手)・ヘルメット(教習所で貸し出しています)
  • 本人確認書類【自動車運転免許証、住民票(発行から6ケ月以内)、公的機関発行の証明書、住民票の提出者はマイナンバーが記載されていないもの】
  • 受講コース条件に係わる事業主の証明書、資格証(免許証、技能講習修了証、特別教育修了証等)の原本
  • 受講手続きをFAXで送った場合は、送信した受講申込書等の原本
  • 受講申込書に貼付する写真1枚(30mm×24mm、6ケ月以内の上三分身・無帽・無背景)

必要書類などが揃っていないと受講できないため注意してください。

資格が必要な高所作業車は2種類

次に、運転作業に資格が必要な高所作業車を紹介します。高所作業車は、トラック式高所作業車と自走式高所作業車の2種類です。

高所作業車運転技能講習と高所作業車運転特別教育のどちらかの講習を受けると、トラック式・自走式どちらも運転できます。では、2種類の高所作業車の特徴を見ていきましょう。

トラック式高所作業車

トラック式高所作業車とは、昇降装置がトラックに設置している車で、公道を走行できます。ただし、公道を運転するには、下記のような条件に合った運転免許証が必要です。

  • 車両総重量11t以上、最大積載量6.5t以上:大型自動車免許
  • 車両総重量7.5t以上11t未満、最大積載量6.5t未満:中型自動車免許
  • 車両総重量3.5t未満、最大積載量2t未満:普通自動車免許

トラック式高所作業車は通常のトラックより車体重量が重いため、ブレーキの制動距離が長くなります。そのため、できるだけ車間距離を長めに取り、スピードを抑える必要があります。

自走式高所作業車

自走式高所作業車は、昇降装置にタイヤが備わって動くもので、自動車ではないため公道は走行できません。

現場内で自走式高所作業車を運転する場合、移動の際は、作業床を最も低い高さまで下げましょう。作業床を上げたままだと、移動距離が短くても現場の段差による転倒事故や、挟まれ事故が起こる可能性があるためです。

また、高所作業車には安全に運搬できるよう最大積載量が決まっているため、必ず守りましょう。

他にも資格が必要な高所作業がある

建設業には、高所作業車の運転以外にも、資格を必要とする高所作業があります。車を使わない高所作業とは、2m以上の高さでおこなう作業のことです。労働安全衛生法により、高さの基準が2m以上と決まっています。

高所作業は、転落や転倒など命に関わる事故が起こりやすいため、労働安全衛生法によって定められたルールに従い、安全な作業を心がけましょう。では、資格が必要な高所作業を紹介します。

ロープ高所作業

ロープ高所作業とは、高さ2m以上で、作業床が設置できない場所でロープと降格器具を用いる作業方法です。

ロープ高所作業の危険度は高く、作業床を設置できないほど困難な場所で作業します。ロープ高所作業をおこなうには、ロープ高所作業特別教育を受講しなくてはいけません。

講習では、ロープ高所作業やメインロープ、関係法令を4時間にわたって学び、3時間の実技をおこないます。高所作業には常に危険が付きまとうため、安全を守る正しい情報の学習が必要です。

安全に高所作業するために資格を取ろう

この記事では、高所作業車を運転するために必要な資格や高所作業車の種類を解説しました。

高所作業車の作業床の高さが10m未満なら高所作業車運転特別教育、10m以上なら高所作業車運転技能講習を修了する必要があります。

高所作業車やロープ高所作業では、命に大きく関わる作業が多いため、資格を保有して安全を確保できる知識の取得が重要です。

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