4S運動って必要?現場が汚いとトラブルも多い
建設現場で働く皆さん、「現場が汚いとトラブルが多い」そう思いませんか?建設現場の清掃は基本中の基本で、きれいな現場では労働災害もトラブルも少なくなる傾向がある。
そのため、現場の大小を問わず、どこの現場でも週1回はJV職員以下、協力業者全員が必ず参加させられる“4S運動”というものがある。
4S運動とは、製造業やサービス業の運動で、 職場の3S(整理・整頓・清潔)に清掃を加えたもの。
毎日の作業終了時の自主的な清掃に加え、週1回の一斉清掃は現場をキレイにするだけでなく、現場の一体感を増す効果もある。現場周囲の道路の空き缶拾いや道路の掃き掃除など、周辺住民に配慮した行動は、工事への理解を願う方法として最適な方法でもある。
清掃終了後に、JV側から労いの言葉を掛けてもらうのも、意外と嬉しいものだ。大抵は金曜日の午後一に行われ、気持ちの切り替えにも良い。JVの現場事務所内でも、女子事務員共々、普段あまり清掃しない所を雑巾がけなどを行う。
「全面土足OK」だった、元請けはスーゼネのJV現場事務所
私はゼネコン一次業者で、現場代理人 兼 職長をしている。
東京、長野、新潟、山形、福島と全国のいろいろな現場を長年経験してきたが、 その中には首をかしげたくなるような不潔な現場事務所もあった。今回は特に「何やってんの…?」と思ったS県の現場事務所について紹介する。
そこは、スーパーゼネコンさんが元請けのJV現場事務所だった。
普通のゼネコンさんの現場事務所では、事務所内に入る時はスリッパに履き替える。現場の泥、砂、埃を事務所内に持ち込まないためだ。作業員の詰所内も同じ。だから、現場事務所内はカーペット敷きが一般的だと思う。カーペットであれば、昼食後に横になって昼寝をすることも出来る。
しかし、この現場事務所はまさかの全面土足OKだったのだ。
繰り返すが、元請けはスーパーゼネコンさんの現場。大規模な新築工事現場でJV職員の数も15人と、まあまあの大所帯である。現場事務所のPC設備も凄い数だ。
JV事務所内にはパソコンやコピー機、書類などがあり、清潔第一のはずであるが、全面土足OKとはいかなることか。そんな現場事務所内で一斉清掃を始めれば、とんでもないことになるのは自明だった…。
現場事務所を清潔にできない現場は、管理が行き届かない
案の定、現場事務所内の一斉清掃を始めた途端、砂埃で霧がかかった状態に。しかも、時間が経つと砂埃は下に落ちて積もるので、職員たちはそれを払いのけたり、雑巾で拭いたりしてから仕事に取り掛からなければならない。
これを週1回の一斉清掃の時や、 強風で入口から砂埃が入ってくるたびに行うのだ。なぜ土足OKにしたのか不思議だ。なんで床にカーペットを敷かなかったのだろうか。
現場所長は30代後半か40代前半の人だった。1~2年の新人でもあるまいし、かつスーパーゼネコンの現場事務所だぞ、どうなってんだ…?と、私にとって全面土足OKの現場事務所は初体験だったので、これがS県の方式なのか?!とも疑ったものだ。
全面土足OKの現場事務所は、衛生的にも健康的にも良くなかった。そして、やはりと言うべきか、この現場は他の協力業者を含めトラブルが多発していて、現場の段取りも極めて悪かった。
協力業者が一番困るのは、仕事が捗らないことと職人が遊ぶことだが、この現場では、なんのために来ているのか分からないような人がちらほら。日当だけが飛んでいっているような状況だった。
ボード貼り屋さんも相当モメていた。職人を大量に入れたのに、PBボードを貼る場所がないと来たもんだ。現場代理人いわく、現場から入れろ入れろと急かされ、入れてみれば貼る場所がないという。現場は、「賃金を保障しろ」「職人を全員引き上げるぞ!どうしてくれるんだ」と大騒ぎだ。
現場代理人さんも応戦するが、現場を確認して入れなかったのが悪い。これも現場事務所が汚いからだとは言わないが、現場事務所を清潔にできない現場は管理が行き届いていないことは非常に多い。
改善提案をしても「全面土足OK」を貫くJV現場事務所
居ても立っても居られなくなった私は、JV現場事務所について改善の提案をした。
現場事務所内にはすでに配線やモノが多いので、カーペットを敷き詰めるのは不可能だが、床の状態はこのままとして、一旦細部にわたって清掃・消毒し、土足厳禁にしようというものだ。
事務所の出入り口兼玄関の床を、胴縁ぐらいの大きさの木材で四角に型取り、その部分を外部と接する土間として、靴や長靴を脱ぐ場所とする。下駄箱も置けるし、カウンターにもなるので便利だ。
そしてスリッパ立てなどを設置し、スリッパ、サンダルに履き替えて事務所内に入る。事務所内は土足厳禁とする。現場事務所内の一斉清掃では、床掃除はモップによる水拭きとし、最後は乾いたモップで拭く。
お金もかからず、すぐにでも実行できる合理的な方法だと思ったが、この現場事務所はなぜか頑なに現状維持を貫き通したのだ。
事務員さんは「そんなことできるんなら、とっくの昔にやってるよ」と言い、当社の社長が現場事務所へ挨拶に来たときも「ここの事務所はスリッパでなく、土足なんですよ」と伝えると、見たことがないような形相をして、かなり驚いていた。
現場事務所を土足OKにするメリットはなに?
われわれ協力業者は多くの場合、ただ見てるだけで、心の中で「現場所長さんしっかりしてよ……」と思っていたはずだ。
この現場では多くの方々が気を回し、現場事務所に用事がある時は、なるべく事務所の中に入らず入口で用を済ませるように配慮し、やむをえず入る時は、靴の泥を入念に落とし、足元を確認して入っていた。
この記事を読んでいる皆さんにお尋ねします。
- 他の現場事務所でも、全面土足OKの現場事務所はあるのでしょうか?
- パソコンや電子機器などが故障する恐れはないのでしょうか?
- 現場が都心にあり、工事状況によっては靴に泥が付着しようがない場所であれば納得できますが、泥や砂埃の多い現場で、あえて土足OKにするメリットはあるのでしょうか?
もしお分かりになる方がいらっしゃいましたら、土足OKのメリットをご教示ください。どうぞよろしくお願いいたします。