梁(はり)とは?桁との違いも簡単解説

建築物に欠かせない部材である梁(はり)。重量や外力から建物を守る重要な役目を果たしています。

今回は、梁の意味や役割、関連する用語について解説していきます。梁のことを理解して、住宅購入時の判断や建築業者さんとのスムーズな打ち合わせに活かしていきましょう。

建物の基本となる3つの建築部材

住宅は「柱・梁(はり)・筋交い」と呼ばれる3つの建築部材を組み合わせて支えられています。この3つが建物の基本となる建築部材です。

「柱」は床や屋根を支える役割、「梁」は柱を固定する役割、「筋交い」は建物の補強と、それぞれの建築部材には役割があります。

ここでは、住宅の基本部材となる「柱・梁・筋交い」はどこの部材なのか、概要や特徴についても解説していきます。

建物を垂直に支える「柱」

柱は、建物に鉛直に配置する部材で、最も重要な部材の1つです。梁や桁などの横架材からの荷重を土台に伝える役割があります。地震による横揺れや強風といった、水平方向の圧力への抵抗としても柱は必要な材料です。

柱が多くなれば部屋の広さや間取りに制限がかかります。そのため、建物の強度を下げることなく柱の本数を減らす工法が生みだされていきました。

建物を横向きに支える「梁」

梁とは、建物に水平に配置する小屋組床組を支える部材のことです。柱と柱の間に棟木と垂直な方向になるように設置します。柱を固定し、屋根を支えることができるため、地震や強風がきても建物が崩れません。

柱との違いは抵抗する力の方向。柱は横からの圧力に対して抵抗するための部材ですが、梁は上からの圧力に対して抵抗するための部材です。柱と同様に、建物にとって重要な部材と言えます。

また、梁は使用する場所によって呼び方が異なり、代表的なものでは、床板を支える梁は「床梁」、屋根を支える梁は「小屋梁」と呼ばれています。

建物を補強する「筋交い」

筋交いとは、建物を補強する役目を果たしている部材です。筋交いがなくても建物をくみ上げることはできます。しかし、柱や梁だけでは強い地震や強風に耐えることは困難です。

地震大国と呼ばれる日本においては、筋交いは柱や梁と同様に、建物にとって重要な部材であると言えるでしょう。

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梁の役割と桁との違い

梁の役割

梁の役割は2つ。水平方向の圧力に耐えることと、鉛直方向の荷重を支えることです。

地震が発生した場合、横揺れが発生するため建物に対して水平方向の力が働きます。水平方向の力に対抗する部材が梁です。梁が水平方向の力を抑えることで建物への負担を軽減しています。

また、梁は柱や床、屋根と一体化して使用される部材です。柱や床、屋根と一緒に建物全体を支えて、鉛直方向へかかる荷重を支える役割も担っています。

桁(けた)との違い

桁は、柱の上に配置された部材です。梁との違いは配置されている方向。見分け方としては、棟木(むなぎ)と平行に配置された部材が桁、それに対して棟木と垂直な方向で配置された部材が梁です。

棟木とは、屋根の最上部に取り付けられる横木のこと。屋根の頂点に横たわらせてある部材です。棟木と平行な方向のことを桁方向、棟木と垂直な方向を梁方向と呼ばれています。

梁の由来

梁という言葉は、元々は「張り」という漢字が使われていました。梁には杉や松が使われ、かつて曲がった丸太が使われたことから弓を張ったような形状をしていたため、「張り」と呼ばれていたと言われています。

実は、梁の由来にはもう1つの説があります。「橋梁」です。梁という漢字は、「川の上に木を架けた橋」から成り立っています。これが建物になると、家内から内張りとなり、梁となったということです。

梁を「はり」と呼ぶことで、原や春、張りといった言葉を連想できます。原は、広々とした状態を、春は草花が咲こうとしている状態を表します。張るは、ピーンと張った状態です。

緊張感や前向きな力をイメージさせることで、梁という部材自体にも力強さが必要であるという印象を持たせていると言われています。

建築用語からわかる日本の文化

建築用語には、鴨居(かもい)や欄間(らんま)、犬走りといった動植物を由来とする言葉があります。昔の日本人は自然と共存する暮らしでした。そのため建築用語にも、自然と動植物の名前が付けられるようになったと言われています。

また、棟梁という言葉からも日本の文化を感じることができます。新築時の祭儀の1つである上棟祭。上棟祭は神主ではなく、大工の棟梁が安全を祈る儀式です。

家を支える部材で重要な部分が棟と梁であることから、大工職の頭を「棟梁」と呼び、その「棟梁」が神主の代わりとなり、儀式を行います。このことからも棟や梁の役割が大切にされてきたことがわかるのではないでしょうか。

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梁の種類

梁は、建物の中でさまざまな場所で使用されています。そのすべてを梁と呼んでいては、どこの梁なのか伝わりません。

そのため、役割や材料、使用する場所によって分類され、呼び方が異なります。ここでは、梁の種類とその特徴について解説していきます。

役割で分類

梁を役割で分類した場合、代表的な種類は以下の梁です。

  • 大梁
  • 小梁
  • 火打ち梁
  • 小屋梁
  • 床梁

大梁」は、水平方向の力を抑える役割を担っています。地震や強風による強い揺れに耐える役割としては、建物の構造上でも特に重要な存在です。

小梁」は、鉛直方向の荷重を支える役割を担っています。大梁と大梁の間に設置され、水平方向の力に対する役割はありません。

「火打ち梁」は、梁や桁の間で斜めに組まれている横木です。床の補強に使用されるケースが多く、耐震性を向上させる役割を担っています。

「小屋梁」は、屋根を支える梁です。

「床梁」は、床を支える役割を担っています。床材は厚みがないため、床下に根太を配置して補強します。その根太を支えているのが床梁です。

材料で分類

梁を材料で分類した場合、以下の種類に分けられます。

  • 木造梁
  • 鉄骨梁
  • 鉄筋コンクリート梁

「木造梁」は、一般的には住宅のような小さい規模の建築物で使用されています。大規模な建築物では使用可能な構造材の基準があり、木材が使用できないためです。

「鉄骨梁」は、事務所や商業施設といった比較的大きい規模の建築物から住宅まで、幅広い建築物で使用されています。さび止め塗装により、赤色になっているのが特徴です。

「鉄筋コンクリート梁」は、鉄筋コンクリート造の構造体や鉄骨造の基礎工事に使用されています。

支え方で分類

梁は支え方によっても、以下のように分類できます。

  • 単純梁
  • 片持ち梁
  • 両端固定梁

「単純梁」は一般的な構造で、両端が支点に支えられています。ただし、梁を乗せているだけで、固定されていません。橋梁や足場板に使用されています。

「片持ち梁」は、梁の片側だけを固定した構造で、柔軟性の高さと広い空間を確保できることが特徴です。バルコニーやベランダに使用されています。

「両端固定梁」は、梁の両端を固定した構造です。ボルトや溶接によって接合されていることで、付け根部分を補強しています。建築物全般で使用されています。

梁の役割や由来を知って住宅購入に活かそう

この記事では、建物の基本となる3つの建築部材から、梁の役割や種類、桁との違いなどについて解説してきました。

日本語を日本文化の源と考えることで、言葉から先人の生き方や暮らし方が見え、新しい気づきを与えてくれます。その気づきが住宅への愛着へとつながるのではないでしょうか。

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