思わずツッコミたくなる建設業の専門用語
なぜこうも建設業界は専門用語が多いのか?と、不思議に思ったことはないだろか。
どこの業界にも専門用語はあると思うが、この業界は道具や様々な用語が日々飛び交っている。
今回は、「何それ?」とツッコミたくなるような、建設業の専門用語をいくつか紹介していこうと思う。
「100切れ!」
新人の頃、先輩に「100切れ!」と言われた経験はないだろうか?
入社して初めての現場で一緒に作業していた職人さんに、ある日突然「100切れ」と言われ、頭にハテナマークが浮かんだことを今でも覚えている。
“100切り”とも呼ばれるこの専門用語は、メジャーでものを測るときに0に合わせるのではなく、100mmに合わせることで正確性が増すという考え方で、建設業界では日常的に使われる言葉である。
まあ当然、入社したばかりの新人がこんな言葉わかるはずがない(笑)。
逃げを取る
土木業界では、測量で構造物のポイントを出すことが多いのだが、せっかく出したポイントが作業上すぐに飛んでしまいそうな時に、縦方向・横方向にそれぞれ印などをして、後から復旧できるようにすることも多い。
その印を出すことを「逃げを取る」と言うのだが、これも本当にわかりづらい言葉である。
私の場合は昔、「逃げを取れ」と言われて、作業場から逃げろという意味かと勘違いし、その場を離れたら大激怒された・・・という思い出がある(笑)。
これもこの業界特有の言い回しではないだろうか。建設業界以外でも、この言葉を使う業界があるのか気になるところだ。
天端(てんば)
現場にいると、天端という言葉は毎日のように聞く言葉だろう。しかし、この天端という言葉を、私は本当に最初は理解できなかった。
天端とは、構造物の一番天の部分のこと。使い方としては、「天端を均すのにどれくらいかかる?」、つまり「コテでコンクリートを仕上げるのに、どのくらい時間がかかるか?」ということが言いたいのだが、これは説明されなければわからない。
「天端幅いくらだ?」といきなり言われてどこの幅か迷った、なんて経験をしたことのある人も多いのではないだろうか。
「今日はヤりだ!」
私が職人をしていた頃に、よく親方から言われていた言葉だ。
「今日はヤりで行くぞ!」
つまり、キリの良いところまで仕上げたら終わりという意味で、この言葉聞くと、早く帰りたいがためにテンションが上がっていたのを思い出す。
生コン打ちや、型枠組み立ての最終日に言われることが多く、朝から無駄に張り切ってしまう魔法の言葉である(笑)。
バチ
バチと言われて何を思い浮かべるだろうか?私も昔は、よく親方に「バチ取ってこい」と言われたものである。
バチとは、ツルのこと。法面の整形を行う業者は、バチやレイキといった道具はよく使うので、新人の頃は頻繁に取りに行かされた。
当然、急に「バチ」と言われてもなんの道具なのかわかるはずもなく、私はバケツを持って行って、こっぴどく怒られた苦い経験がある(笑)。
カラス
これもよく言われていたが、わからない道具の1つだった。
型枠を固める際に鋼管を押さえる役割のものだが、「カラスをくれ」と言われて、この人はついに頭がおかしくなったのか?と思ったこともあったくらい、最初はカラスという名前に衝撃を受けた。
そんな私も今では普通にカラスと言っているが、よくよく考えれば、業界人でない人からすれば違和感しかないよなと、今でもたまに思う。
・・・やはり、この業界は専門用語が多いうえに、名称も呼び名も非常に複雑である。
1年目は道具や専門用語を覚えるのに必死になるだろう。聞いたこともないような名前の道具や専門用語が毎日飛び交い、持って行くのを間違えると怒られる。
建設業の諸先輩方に1つ言うことがあるとすれば、怒る前にもっと専門用語を説明してくれ!!と懇願したい(笑)。
読者の皆さんも苦労した専門用語や、いまだに納得ができない専門用語などがあれば、ぜひ教えてほしい。