建設業のオンライン化は不可能?
コロナ禍によって、いろいろ状況が変わってきています。
今まで人と人が対面で会って行っていた多くの行為は、オンライン上で接触せずに行うことができることに気が付きました。そして、そのためのツールは急速に整備され、便利になっています。きっとこれは続いていくでしょう。
人間が生きていくために必要な要素には、衣食住の3要素があります。「衣」は衣服のこと。「食」は食べ物。そして「住」は建物。
衣服は、物流が発達することにより、世界中どこで作った物であっても、簡単に購入して手に入れることができるようになりました。なので、基本的に対面である必要性はなく、注文も含め、オンライン上で完結することができます。
食べ物はどうでしょうか。これも同じく、物流の発達によってどこでも生産ができ、いつでもどこでも注文し、入手することができます。もちろん入手できないものもありますが、入手困難な食べ物は生きていくための物としては必要ありませんよね。
じゃあ、僕らが担っている建物はどうでしょうか?やはり、地元に根差しており、コンクリートのような流動するものもあり、そして何よりとてつもなく大きい物です。
多くの人が「建設業はオンライン化は不可能だ」と言うでしょう。ただ、僕はそうは思いません。
なぜなら、その人たちが言っている「建設業」とは、全部をひっくるめている気がしてならないからです。出来上がった建物を見て、「これは運んでこれないでしょ?」と言います。確かにそれは無理ですね。
でもよく考えてみて下さい。建設業って何でしょうか。
それは、無茶苦茶たくさんある職業が合体して出来上がったものです。鉄筋を組む人も建設業、クレーンを運転するのも建設業。設計図を描くのも建設業ですし、そのバックで経理業務をしている人も、積算をする人もすべて建設業ですよね?
「オンライン化は無理だ」と言っている人たちは、建設業のどの業種を指して言っているのでしょうか。
例えるなら、「ニンテンドースイッチ、みんなもっているよ」と訴えてきた7歳の子供と一緒の論調です。その”みんな”って、誰と誰のことかな?という感じです。
鉄筋屋さんをとってみても、図面からの拾い出しはCADで行い、オンラインで発注し、工場で加工し、物流によって運んできます。そして到着したものを現地で組み立てることになるわけです。
この一連の中で、どうしても現地じゃなくちゃいけないものは「組立て」だけ。それ以外は、世界中どこからでもアクセス可能であり、分業が可能です。
職人や現場監督は、”守っていくべき人材”
現場監督の仕事もそうです。
その仕事内容をバラバラに分解して、一つ一つを見てみて下さい。きっと現地じゃなくてはできない仕事なんて、ごくごく限られているはずです。施工図、積算、打合せ、検査、朝礼などなど。基本的にはオンライン化もしくは自動化は可能です。
現地じゃなくてはいけないものは、点検やチェックくらいじゃないでしょうか。ということは、「建設業はオンライン化が不可能だ」という意見が、いかに雑だったのかがわかると思います。正確には、「建設業の一部の仕事がオンライン化は不可能」ということです。
人手が明らかに少なくなってきている昨今、現地で働いてくれる貴重な職人さんや現場監督スタッフは頑張っています。その人たちは守っていくべき人材なのです。
であれば、それ以外の業務はオンライン上で日本中、いや世界中に助けを求めることが可能です。そのやり方を知らず、難しいと思い込み、そのルートを作ってこなかったのが建設業です。つまり、本気で考えていなかったのです。
だからこそ、臭いものにふたをするのではなく、そろそろ本気で考えていかなければいけません。オンライン化が「できない理由」を探すのはもうやめましょう。「できる部分」を見つけて、ドンドン導入し、現地スタッフの仕事を減らしていきましょう。
それが建設業を救う手立てだと考えています。
※この記事は、『 【インスタで学べる】1日たった3分で学べる建設コラム 』の記事を再編集したものです。