建設現場で落っこちた経験談
私が「足元注意」を身をもって思い知らされた、2つの経験談をお伝えします。
ご一笑いただくと共に、建設現場では、いまいちど「足元注意」を意識するようにしてください。
火薬貯蔵庫の土木工事で足元注意!
これは私が某ゼネコンに入社し、本社での研修を終え、現場に配属されたばかりの頃の話です。
最初に配属された現場は、愛知県の山の中に、火薬の貯蔵庫を構築する土木工事の現場。
新人だった私は測量の練習もかねて、排水路設置のための現況測量の手伝いをすることになりました。私がトランシットをのぞいて、先輩が測定点をミラーを持って動いて測定するという形で、測量作業を進めていました。
作業終盤に差し掛かると、2~3メートル程度の高低差があり、トランシットの足元を計測するには、ほぼ真下を覗き込むような急角度の計測となりました。
トランシットをのぞき込んでも、計測のためのミラーが見えないので、私は「先輩、ミラー上げてもらえますか!」と叫びました。しかし、それでも見えるのは足元の草だけ。
私は「足元の草を踏むので、ちょっと待ってください!」と、機械の前側に回り込み、足元の草を踏んで視界を良くしようとしたのですが、そのときズザザザザザ……。
草だと思っていた足元は崖で、私の体は崖下に落下しました。
幸い、下までは落下せず、脇で体は挟まり、肘を強打しただけでした。
ちょっと大げさですが先輩も「死んだかと思った」と、かなり焦っていましたが、奇跡的に新品の作業着に穴が開いただけで、一命をとりとめました。
命が助かれば助かったで、新品の作業着が悔やまれました。
砂地盤での床付け検査で足元注意!
足元注意の2つ目の現場は、これまた愛知県の山間部。宅地造成工事の調整池(造成地の水が流れ出さないための溜池)の床付けの検査でした。
床付けの検査とは、設計図通りの高さに地盤が仕上がっているか確認するため、発注者立ち合いのもと行われる検査です。
現場は細かい砂地盤だったため、連日の雨で地盤はずぶずぶのぬかるみ状態。調整池とは言え、床付けの検査でも、あまり足元の悪い所は検査官には見せたくありません。
重機オペさんから「そのあたりは足元が緩いから、検査官は近寄らせないように気を付けて!」と注意を受けており 「了解」と軽快に返事して、床付けの高さデータを記した帳簿を手にいざ検査開始!
そして、検査官に「このあたり、足元悪いので気を付けてください」と言おうとして、「気を……」と言葉を発した時点で、ぬかるみにズボッとはまりました。
それは、もう脚がとられるとか、そんなレベルではなく、股下までぬかるみに浸かるといった具合。一人ではもう身動きが取れない状態で、上司2人にひっぱり上げられて、なんとかぬかるみを脱出しました。
床付け検査の方は、高さは許容値内に収まっていたため、無事終了。検査官は大爆笑で、和やかな雰囲気で検査を終えました。はまった甲斐があったというものです。そう、わざとはまったのです(嘘)
危険箇所に足元注意とは書いていない
その後、泥まみれの私は事務所にも入れないので、軽トラに乗せられ、現場内の宿舎へ運搬されました。
一人、シャワーを浴びながら「現場監督には笑いも大切」と自らを慰める現場監督3年目の私でした。
雨上がりの砂地盤での床付け検査は、非常に危険です。天気のいい日に検査されることをおススメします。
足元注意が必要なところに、足元注意とは書いていません。
くれぐれも足元注意で皆様もご安全に!