「女は潤滑油」男社会を一人で生き抜く24歳女性現場監督(けんせつ小町)

どの職場でも女性は私一人

男性社会の建設現場で働いていると、困ることや不便なことが色々ありますが、逆に「女でよかった」と思う瞬間も多くあります。そんな時、男性陣からは「女はいいよな〜」とよく言われますが、全く気にしません。狡猾と言われようが、女として使える武器は使います。

どの現場でもほとんど女性は私一人です。なので、良くも悪くも顔と名前をすぐに覚えてもらえます。

建設現場では何しろ女性は目立つそうで、職人さんにはもちろん、お客さんや近隣の方々にも、すぐに名前で呼んでいただけるようになります。その分コミュニケーションを図るチャンスが格段に増えるので、とても良いことだと思っています。

でも、その代わり失敗をすると誰よりもいち早くバレてしまうのが難点です。

最悪のクレーマーは、建築の知識をかじっている人

私の会社は色々な現場を持っていて、住宅、工場、店舗、学校、福祉施設などを建てています。そしてどんな現場においても、工事を行う上で近隣の方々からご理解を得ることが必要不可欠です。

工事をする際にどうしても発生してしまう騒音やホコリ、周辺道路の迂回などで近隣住民の方々には少なからずご迷惑をかけてしまいます。もちろんそれらは最小限で済むよう努力していますが、それでも近隣住民からのクレームは珍しくありません。

住宅地のど真ん中にあるような現場の時はもう最悪です。さらに、そのクレーマーの方が、少し建築の知識をかじったような方の場合はもっと最悪です。何かと建築の専門知識を引っ張り出してクレームをつけてきます。

女が一人でヘルメットを被ってドロドロに

ある日、建築の知識を少しかじっているクレーマーの対応に、男性の先輩監督があたっていました。しばらく話をしていましたが、相手の怒りはおさまらず、その先輩もついに頭にきたのか、もうそこは一触即発の状況でした。もしケンカにでもなれば、最悪の場合、工程にも影響が出てきます。

そこに私がいかにも申し訳なさそうな顔でそれとなく入って行きます。なだめるように話を聞いていると相手の方は落ち着き、すっかりご機嫌で帰って行きました。「君も女なのに大変だな。頑張ってくれよ」と激励までされてしまいました。

「女は関係あるのか?」とその時は思いましたが、女が一人でヘルメットを被ってドロドロになって働いていると、オジサマ方は応援したくなるものなのかと前向きに考え、とりあえずその時は女でよかったと思いました。

女だろ、女だから、女のくせに、女なのに、などなど、とにかく女が建設現場で働ていると、良いことも悪いこともあって、女であることがどっちに転ぶか分かりません。建設現場で女一人で働いていると、もはや自分でも何が正解なのか分からなくなってきました。

女性は建設現場の潤滑油

現場での仕事は人とのコミュニケーションが命です。人と話す際、自分なりに気を付けていることは多々ありますが、私は人と人との潤滑油だと自分で思っています。

それはやはり、現場が男性社会であり私が女性だからです。どんな現場でも、私に限らず女性が一人いるだけで雰囲気が全く違います。会話が一つ緩やかになるだけで現場の流れが良くなります。その瞬間、私は女でよかったと思ってしまいますし、これが私の役割の一つなのかなと思っています。

建設業界以外では「けんせつ小町」(女性建設技術者・女性建設技能者の愛称)という言葉は、あまり知られていないかもしれませんが、これから「けんせつ小町」は色々な意味で、男社会だった建設業界を変えていくと思います。

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24歳のけんせつ小町。女性現場監督として孤軍奮闘中。お父さん・おじいちゃん世代と一緒に働いている経験を生かし、もっと建設業界に女性技術者が増えるよう、デリカシーのない建設業の男性陣にモノ申す。
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