リモート現場管理は無理。それってただの思い込みでは?

現状は、リモート管理よりよっぽど危険

「リモートの現場管理」と聞いて、どう思いますか?「現場で事故が起きたらどうするんだ!」なんて、批判したくなりませんか?

でも現状は、もっと不安になるような状態なのです!

例えば、現場を若手に任せて、自分は他の現場を掛け持ちしている――そんな状況、当たり前になっていませんか?連絡手段は電話。つまり現状、「リモート」どころか、音声だけで現場を回してる状態。

それって、リモート管理よりよっぽど危うい。

「リモート」と聞いた瞬間に、「無責任だ」「管理できるはずがない」と決めつけてしまう。でも、それってただの思い込みじゃないでしょうか。実際には、今すでにやっている電話一本で現場を動かしていることのほうが、よほど”管理不十分”な状態だと思うんです。

建設業は「人とのつながりを大切にしている」のではなく、「人とのつながりを大切にしなきゃまずいよね」という”空気”に縛られているのではないでしょうか。

だからこそ、現場に中途半端に関わって、電話だけで対応している今のやり方を放置せず、きちんとシステムを組みましょう。音声だけでなく、映像でも状況を確認できれば、より適切な管理ができるはず。

「そこにいること」が仕事なんじゃない。「管理すること」が仕事なんです。

これは、”物理的な距離”ではなく”情報の密度”の問題です。つまり、どれだけリアルタイムに、どれだけ正確に、現場の状況を把握できるか。それが管理の本質です。

「どうすればできるようになるか」を考えるべき

僕が考える「現場監督の効率化」の本質は、人手不足――いや、正確には “優秀な技術者”不足の解消です。

能力のある技術者を、ひとつの現場で独占してしまうのはもったいない。人口減少の中、それでもインフラを維持する責任のある建設業に、そんな余裕はありません。

どの現場も、社会にとって大切な場所であり、規模の大小で軽視していいものではないはずです。

規模に関係なく、施主は必死の想いで設備投資しています。そこに「大きい現場だからエースをつける、小さい現場は若手の練習でいい」という構図ができあがっている。この考え方こそが、建設業界の課題なのではないでしょうか。

若手が挑戦することも大事ですが、それは適切な支援体制があってこそ成立するものです。丸投げに近い状態で「育成」と言い張るのは、ただの放任です。

これからますます、人手不足は深刻になります。今のままの体制を続けていては、いつか必ずどこかで破綻します。その未来を防ぐために必要なのは、「人を増やすこと」もそうですが、急務なのは「限られた人材を最大限に活かす仕組み」です。

エース級の職員を、ひとつの現場に張り付けるのは、実はものすごくもったいない。もしもその実力を、もっと多くの現場で発揮してもらうことができれば、素晴らしいですよね。この状態、インターネットやITの力で実現可能です。

つまり、リモート現場監督は「できない」じゃなくて、「どうすればできるようになるか」を考えるべきなんです。テクノロジーの導入は、現場を楽にするための”逃げ”ではなく、現場を守るための”戦略”です。

未来を見据えた業界づくりには、それを受け入れる覚悟が必要です。

この考えをもとに、僕は「Core Engineer Model(コアエンジニアモデル)」という仕組みを提唱しています。優秀な技術者が、複数の現場にまたがって関われる仕組みです。

「管理しているふり」ではなく、「本当に管理している」状態を、テクノロジーの力で実現する。小規模な会社でも、簡単なツールでそれを実現させる。それが、これからの建設業に必要な進化であり、僕が「建設業を持ち上げる」と訴える理由なのです。

※この記事は、『 【インスタで学べる】1日たった3分で学べる建設コラム 』の記事を再編集したものです。


◆現場監督の働き方を、もっとスリムに。:【GENBA Lab.】現場ラボ

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【プロフィール】
武田 祐樹(たけだ ひろき)

総合建設業に17年在職し、所長歴は11年、官民問わず数多くの実績を積む。その後2020年に起業・独立。
「建設業をワクワクする業界へ」をスローガンに、DX化の推進や若手育成、魅力発信を行う。
「建設業効率化施策の仕掛け人」として、ABEMA Primeに出演。

◇保有資格◇
一級建築士
1級建築施工管理技士
1級土木施工管理技士

株式会社RaisePLAN 代表取締役

【運営・活動】
【現場ラボ】:建設業の変革をサポート
【現場ラボコンサルタント】:新人・若手の研修、教育
【Edu建(エデュケン)】:建築施工管理のeラーニング
【講師活動】:DX化、部下育成、建設業に関するセミナー・講演

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