シリコンバレー発、建築とテクノロジーの融合を掲げて未来の住まいを創造するHOMMA Group株式会社(本社:東京都渋谷区、本間毅社長)は、株式会社長谷工コーポレーション(熊野聡社長)が東京都江東区で開発を進めた新築賃貸マンション「ブランシエスタ木場」(2025年10月竣工)に対し、建築統合型スマートホームシステムを提供した。
HOMMAGroupが提供するのは、建築とテクノロジーを高度に統合させたプロダクト「Built-in Intelligence(ビルトイン・インテリジェンス)」だ。同プロダクトの核心は「建築段階からのスマート化」という独創的アプローチにあり、設計段階からセンサー、照明、シェード、空調、オートロック等の配置を一体的に計画。建築そのものにテクノロジーを統合することで、一般的なスマートホーム導入時に障壁となる「入居後のデバイス購入」「煩雑なアプリ設定」「ネットワーク調整」といった手間を、居住者の手から完全に排除した。
長谷工コーポレーションとHOMMAGroupは、2024年7月に実験住宅「サステナブランシェ本行徳」へ同システムを国内初導入し、実証実験を重ねてきた。今般の「ブランシエスタ木場」への本格実装では、その知見を遺憾なく発揮。居住者が意識せずとも快適かつサステナブルな暮らしが具現化されるモデルケースとして、今後もデベロッパー各社と共に、建築と技術が融和した「未来の住まい」を追求していく構えだ。
2026年4月には都内でメディア向け事業説明会および「Home OS」体験会を挙行し、次世代住宅のあり方と日本市場における展開戦略を詳説した。
設計段階からの「ビルトイン」で”DIYの限界”を打破
本間社長は、約10年前に米国シリコンバレーで同社を創業した。米国では電話がiPhoneへ、自動車がテスラへと劇的なイノベーションを遂げる中、住宅分野において大きな変革が不在であった実感を背景に、「住宅にも同様の革新を起こすことで人々の生活を豊かにしたい」との想いを結実させた。
現在、米国のスマートホーム市場ではスマートスピーカーや後付けデバイスが主流だが、ユーザー自身による設定・維持コストの増大、いわゆる「DIYの限界」が顕在化している。こうした中、マルチファミリー住宅(集合住宅)市場を中心に、入居時から構築済みのスマートな住環境への期待が高まっており、実作業を専門家に委ねる需要が急増。スマートホームの価値は、ユーザーによる管理から「最初から組み込まれ、自ら最適化する」方向へと再定義されつつある。
本間社長は、「ECサイトでデバイスを購入し、自ら鍵や照明を制御する後付け方式は、スマートフォンを所持しない子供には不便を強いる上、空間を網羅するセンサーの最適な配置は個人の技量を超えており極めて困難だ。これに対し、新築やリノベーションの設計段階から図面に落とし込む『ビルトイン』は、新築や大規模改修でなければ導入できない一方、住宅に付随する照明やブラインド等の設備そのものを整える。高級物件の価値をさらに高め、住まいのしつらえを根底から変えるシステムだ」と他社との明確な差別化要因を語る。
また、本プロダクトのもう一つの特筆すべき点は、施工現場への配慮だ。個別取材において、創業メンバーであり一級建築士として建築分野を統括する井上亮氏は、施工者視点での優位性を次のように説いた。
「シリコンバレーでIoTが拡大しきれなかった要因は、建築施工者向けの配慮に欠けていた点にある。施工図がない、施工時期が不明確、特定のアカウント設定が必要といった課題を、我々は施工プロセスに影響を及ぼさない設計で克服した。簡素な配線工事で完結し、役割分担を明確にすることで、施工現場からも高い理解を得ている」
サーカディアン照明が司る生活の質の向上
同社は「未来の住まいから、より充実した人生を叶える」ことをミッションに掲げ、心身の健康や安心安全、そして質の高い家時間を重視している。その主要機能は「自動運転・ハンズフリー」「サーカディアンライティング」「カスタムライティング」「遠隔コントロール」「見守り機能」に集約される。
具体的には、センサーが人の動線を捉えて照明を自動制御し、操作ストレスを限りなくゼロに近付ける。これにより、1日約300回(2LDK・3人居住例)に及ぶ瑣末なタスクを軽減。また、見守り機能として不在時の不審者侵入も通知し、安全を担保する。
さらに、時間の経過や自然光の移ろいに呼応して照明を5つの時間帯で調整する「サーカディアンライティング」により、生体リズムを整える快適な空間が日常に溶け込む。最新の研究では、この導入により平均睡眠時間が改善され翌日のパフォーマンス向上に寄与したとのデータも得られており、既に導入済みの入居者からも「生活リズムが整う」と高い評価が寄せられている。
また「カスタムライティング」では、同一空間を昼はオフィス、夕はレストラン、夜はバーへと上質にカスタマイズ可能だ。これらはボタン一つで完結し、煩わしい操作は不要。
「同じ住宅でもバリューが向上する。これは後付け設備では到達し得ない領域。照明によって操作の障壁を下げつつ、住宅環境を変容させることが最大のポイントだ」(本間社長)。
今後の展望についても「今後は床暖房や給湯機能の統合もしっかりと進めたい。とくに照明は特色を出しやすく、未だ発展の余地がある。メーカー各社と連携し、照明に精通した人材育成も推進する」と構えを示した。外出先からのエアコン消し忘れ対応やブラインド制御といったマネジメント機能も備え、現在同社のプロダクト導入実績は日米で約100世帯を数えるまでに成長している。
日米累計の知見で2028年1,000世帯導入へ
2023年度より開始したデベロッパー向けライセンス供与は、確かな実績を生んでいる。米ポートランドの「Willamette Tower」では、導入住戸の価値が非導入戸比で6%向上し、高い入居率を維持。実績値によれば賃料は6〜10%の増額が可能でありながら、住まいのしつらえの向上により、入居までの期間は通常の2倍速かったという。
さらに、定着率が低い米国の賃貸市場にあって、同社の実績では満足度の高さから更新比率が全米平均を2割も上回った。「スイッチに触れぬ生活や、照明が演出する表情豊かな空間への評価が極めて高い」と本間社長は分析する。
こうした日米で磨き上げた知見を武器に、同社は日本市場への事業展開を本格化させる。2025年12月の東京拠点開設に合わせ、六本木には招待制の「体験型ショールーム」を設置。既存マンションの一室を改修し、国内のストック住宅への実装可能性も証明した。
本間社長は「米国に次ぐグローバル展開の場として日本を選んだ。2022年以降の金利上昇に伴う米国市場のスローダウンに対し、日本では人口減少下でも着工が活発で、高級物件の需要も堅調。本格進出を前倒しし、足場を固めた」とその経緯を語る。
翻って日本の住宅市場を概観すれば、人口減少や資材・人件費の高騰により、2025年の着工戸数は約74万戸と3年連続の減少を記録している。一方、新たな成長因子として超高齢化に伴うホームヘルスケア需要やZEHの普及が浮上。顧客のニーズは「安価な新築」から「高性能で永く住める家」へと変容している。
この潮流下で、国内での導入実績は、長谷工コーポレーション「サステナブランシェ本行徳」「ブランシエスタ木場」、日鉄興和不動産「リビオメゾン西麻布」、たなべの杜「西持田モデルハウス」、和田コーポレーション「ロイヤルガーデンシティ学南町」など、着実に輪を広げている。[1.1]
「集合住宅、分譲、戸建、リノベーションと、日本全国から多大な引き合いを得ている。高級物件向けビルトインシステムにおいて、唯一無二の地位を築きたい」(本間社長)。
2028年までに年間1,000世帯(10万平米)への社会実装を目指すHOMMAGroup。各企業とのパートナーシップを通じた「住宅のOS化」が、日本の住まいをどう変えていくのか期待が高まる。

