道路舗装の出来栄えは、施工業者の技術力次第
私は施工管理の仕事ならではの職業病を持っています。自動車で国道を走っていると、雑に施工された道路舗装を見かけて、気になってしまうのです。
舗装の表層部が明らかに既存の道路舗装よりも高いかと思えば、低いところもある。自動車がその段差で跳ねてしまうこともあります。
道路舗装の出来栄えは、道路舗装を行う業者によって、一目瞭然で違います。私の知っている道路舗装の施工業者さんに、本当に丁寧な仕事で道路舗装を綺麗に仕上げてくれる会社があります。
道路舗装の施工を行う際の留意点について、この優良な施工業者さんに聞いた事を交えながら説明したいと思います。
アスファルト道路舗装の「構造」
基本的に、日本の道路はアスファルトの構造になっています。道路舗装の考え方として、主に5つの層から成り立っていると考えて下さい。
下層部から順番に、路体、路床、路盤、基層、表層の5つの作りから構成されています。
道路を舗装する際は、この5つの構造箇所のどこか1つでも異常があれば、それを改善する必要があります。しかし、その構造部位がどんな働きをしているのかを理解していなければ施工のしようがありません。
そこでまずは、各層の働きについて説明していきましょう。
アスファルト舗装道路の「路体」
路体は、アスファルト舗装道路の構造部位で一番、最深部の層になります。
路盤、基層、表層を総称して現場では舗装と呼ぶのですが、路床と舗装部分を支持する役割を担うのがこの路体の部分です。つまり、路体の強度が低ければ舗装部分の強度も下がってしまうということになります。
実際の施工は切土や盛土によって行われることがほとんどです。路体に盛土を行う場合、当然締固めが必要になってきますが、35cmで敷き均しを行い、締固めによって仕上がった厚さが30cm以下で施工するのが一般的です。
また、路体部分の施工中は、雨水が本当に溜まりやすいので、雨水対策で盛土に勾配をつけて対策をするなどの工夫も行う現場もあります。
アスファルト舗装道路の「路床」
路床は、道路舗装でも最も重要な部分で、舗装の支持層として構造計算に用いる層だと、優秀な施工業者さんは言います。
路床は、舗装部分と一体となって、上からの荷重を路体に分散させる役割を担います。路床の支持力は舗装の厚さを施工する際に基準となるので、現場ではCBR試験を行い、その結果から路盤材料の適切な強度や強さを求めます。CBR試験とは簡単に言うと、ピストンを土に貫入するのに必要な荷重の強さを測定するものです。
路床の施工で最も気をつけなければならないことは、「六価クロム溶出量」です。ごくまれにセメント系の安定剤を使用して安定処理した改良土を使用することがありますが、その際に「六価クロム溶出量」が「土壌環境基準」に適合していることを監督者は確認する必要があります。意外とこれを理解していなかったり、忘れている施工管理者の方が多いです!(苦笑)
アスファルト舗装道路の「路盤・基層・表層」
舗装部分は一般的によく行われている道路舗装工事でよく見かけます。路盤、基層、表層の施工だと思ってもらえれば良いと思います。表に見える舗装部分だけを丁寧に施工しても、その下の層が機能していなければ、工事関係者はすぐに手抜きと見破ってしまいます。
例えば路盤部分は、上層路盤と下層路盤の2層に分けて施工を行うのですが、この路盤は下の層に荷重を伝達する役割があるため、上層路盤には上質な材料を使用します。しかし、まれに手抜きを行って上層路盤と下層路盤を同じ材料で施工してしまう業者がいます。分からないだろうと思う方もいるかもしれませんが、全くそんなことはなく、むしろその逆。表層の部分が沈下してしまうこともあります。上層路盤と下層路盤を同じ材料で施工してしまうと必ず悪影響が出てきます。
・・・以上のように、この5つの層のどこか1か所が機能しないだけで道路舗装は快適な車の走行を妨げてしまったり、日常性価値にも影響を与えてしまいます。道路舗装を行う施工業者及び施工管理者はしっかりこの留意点をおさえておく必要があると思います。
道路舗装は土木工事の中でも意外と専門性が高く、実際の現場では一筋縄ではいかないような現場が多い印象です。だからこそ、確かな専門知識と場数を踏むことが道路舗装の工事を円滑に進めていくための留意点だと私は考えます。