【清水建設】"杭1本で1万tの支持力" 400m級の超高層ビルに対応可能な「花びら拡底杭」とは?

試験施工杭の検証状況 / 清水建設(https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2020/2020003.html)

【清水建設】”杭1本で1万tの支持力” 400m級の超高層ビルに対応可能な「花びら拡底杭」とは?

超高層ビルの杭基礎に対応可能

昨今、都市部で建設計画されている大規模物件は、高層化や柱間隔の長大化が進み、建物を支える杭は従来に増して大きな支持力が求められている。

これまでは、杭本数を増やすことで支持力を高めてきたが、掘削土量の削減や施工性の向上が求められていた。

そこで、清水建設は丸五基礎工業(大阪市中央区)と協力し、400メートルクラスの超高層ビルの建設に対応できる、非常に高い支持力を備えた場所打ちコンクリート拡底杭「花びら拡底杭」を開発した。

従来の杭よりも、排土量33%、施工期間20%削減

「花びら拡底杭」は、従来の拡底杭の2倍近い底面積を確保することで、1本あたり100メガニュートン(約1万トン)という非常に高い支持力を発揮する。

地下20~40メートルに支持層が広がる東京都心部で、支持力100メガニュートンの杭を構築する場合、試算では、従来の杭より排土量が20~33%、施工期間が10~20%削減できるという。

花びら拡底杭の規模 / 清水建設(https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2020/2020003.html)

花びら杭底杭の底面積は、1本あたり最大33.5平方メートル(直径 約6.7メートル)。高強度コンクリートを使用することで、最大約1万トンもの支持力を得ることができる。

施工方法は、従来通り拡底掘削機で杭底部中心を1回拡底掘削する。その後、拡底掘削機を杭底部中心から水平方向かつ同心円上に移動させ、拡底掘削を2~8回繰り返す。

花びら拡底杭の底部形状例 / 清水建設(https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2020/2020003.html)

この方法で、花びらのような底面形状の拡底杭を構築する。一連の作業には、従来の拡底掘削機の先端に突起(スタビライザー)を装備するだけで対応可能だ。

また、建築物の地下躯体を上から下に造る「逆打工法」で超高層ビルを建設する場合、ビルの地下躯体が完成するまでの間、杭だけで施工中のビルの全荷重を支える必要があるが、今回の「花びら拡底杭」を適用することで、大幅な工期短縮も期待できるという。

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