埼玉県初、第1回「ICT土工体験講座」に建設技術者約70名が参加
埼玉県で初めてとなる第1回「ICT土工体験講座」(埼玉県ブロック)が2月22日に開催された。これは2016年に国交省関東地整整備が打ち出した「“地域インフラ”サポートプラン関東2016」に基づいた取り組みだ。
「“地域インフラ”サポートプラン関東2016」とは、“地域インフラ”を支える建設業の担い手確保と生産性の向上について、関東地方整備局が建設業を支援する施策で、次の12項目から成る。
“地域インフラ”サポートプラン関東2016
- 担い手の確保・育成
取組1-①「工事工程表の開示試行工事」を開始
取組1-② 建設業協会と連携し「工事事故情報の配信」を開始
取組1-③「災害対応、担い手の確保・育成貢献工事表彰制度」を拡大
取組1-④ 35歳以下の「若手技術者の活用」等の評価形式の試行を拡充 - 生産性の向上(工事の各段階での省力化)
取組2-① 受発注者双方の入札・契約事務手続きの省力化を図る「簡易確認型」を本格実施
取組2-② 工事内での平準化を図るため「余裕期間制度」の積極的活用
取組2-③ i-Construction の取組を更に推進
取組2-④ 施工時期の平準化による、建設業の生産性向上
取組2-⑤ 工事関係書類のスリム化点検 - 広報活動
取組3-① 建設業の魅力を伝えるサイト「技術者スピリッツ」の開設
取組3-② 「設計変更ガイドライン 活用ガイド」の作成・配布
取組3-③ 建設業のイメージアップや担い手確保を図る現場見学会を支援
上記2-③「i-Construction の取組を更に推進」に基づき、埼玉県建設業協会と国土交通省関東地整整備局が連携して開催したのが、今回のICT土工体験講座だ。
当講座は座学と実技の2形式で実施し、建設会社や発注機関などから建設技術者約70名が参加した。
座学の会場は、荒川上流河川事務所西浦和出張所。実技の会場は、伊田テクノス株式会社が施工を担当している「H27荒川西区宝来上築堤工事」の現場。
座学の講習に先立って、星野博之氏(埼玉県建設業協会会長)、加藤智博氏(国土交通省関東地方整備局荒川上流河川事務所所長)、伊田登喜三郎氏(伊田テクノス社長)が開会の挨拶を行った。

埼玉県建設業協会会長 星野博之氏

国土交通省関東地方整備局荒川上流河川事務所所長 加藤智博氏

伊田テクノス社長 伊田登喜三郎氏
講習では、まず伊田テクノスの技術者である榎本弘之氏と高橋知也氏が「H27荒川西区宝来上築堤工事」で稼働しているICT建設機械などを簡単に説明し、その後、品原裕樹氏(株式会社イマギイレ営業部情報化施工グループCALS/ECインストラクター)、四倉星士氏(フタバコンサルタント株式会社技術部東北地方整備局ICT土工測量分野アドバイザー)の2名が講師として、ICT施工の意義や導入方法、課題などを語った。
- 3DMCショベル、3DMGショベルによる法面整形方法
- 3DMCブルと3DMGブルの活用方法の違い
- 3次元設計データにおける土量計算方法
- 3次元レーザー連続計測(3DLS)とドローン(UAV)どっちが便利か
- GNSSを用いた盛り土の締固め管理を行う際の注意点
- UAVを利用した起工測量における施工計画書や成果品の作成方法
などなど。
聞きなれないICT用語も多く、戸惑う参加者もいたが、建設技術者たちは、新しい技術、興味深い内容に、熱心に聞き入っていた。

伊田テクノス株式会社 監理技術者の榎本弘之氏(右)、現場代理人の高橋知也氏(左)

株式会社イマギイレ営業部情報化施工グループCALS/ECインストラクター 品原裕樹氏

フタバコンサルタント株式会社技術部東北地方整備局ICT土工測量分野アドバイザー 四倉星士氏
ICT土工を築堤工事現場で実際に体験

第1回「ICT土工体験講座」(埼玉ブロック)の実技会場
第1回「ICT土工体験講座」(埼玉県ブロック)の実技講習は、伊田テクノス株式会社が施工を担当している「H27荒川西区宝来上築堤工事」の現場で行われた。
寒風吹きすさぶ中、建設技術者は4班に分かれて、「モバイルマッピングシステムUAV」「3DスキャナーTS」「MC/GNSS」「マシンガイダンス」の4科目を受講した。
ドローン(UAV)

ドローンは落下の危険性があるため、実機ではなくシミュレーションで操縦方法を体験

講師陣が操縦する“本物”のドローン

展示されたドローン3機
地上型3DレーザースキャナーTS

離れた場所から広範囲に3次元の座標を取得し、数値地形図・縦断図・横断図の作成、土量計算などが可能

出来形合否判定総括表

地上型3DレーザースキャナーTSについて学ぶ参加者たち
3DMCブルドーザ

TSやGNSSによって建設機械の位置・標高を取得し、設計データ通りに自動制御するため丁張りがなくても施工可能

リアルタイムに切土量や盛土量を確認できる
3DMGバックホー

GNSSとチルトセンサーを組み合わせ、設計データとの差分をモニターに表示することで、従来オペレータの経験や感覚に依拠していた作業の効率化を実現。丁張りもほぼ不要に

モニターに表示される設計データとバケット位置の差を確認しながら作業できる。測定位置にバケット刃先を置くだけで検測も可能
締め固め管理システム(ローラ重機)

TSやGNSSで建設機械の位置情報を取得し、リアルタイムに転圧回数・平面位置をモニターに表示することで、より確実な施工管理が可能に

転圧回数を色で表示し、ローラの走行軌跡もわかるため、締固めの不足・ムラを抑えられる
第1回「ICT土工体験講座」には、「ICT土工の波に乗り遅れまい」「より効率的な施工を目指したい」という多くの技術者が参加した。
4月19日には、第2回目となる「ICT土工体験講座」(埼玉ブロック)が開催予定だ。実際に3DMCブルドーザなどを運転できる絶好の機会なので、今回参加できなかった埼玉県の建設技術者は参加してみては?
詳しくは埼玉県建設業協会まで。