「赤字が出やすい急傾斜工事」で利益を出す施工業者の3つの共通点とは?

急傾斜工事は赤字になりやすいが、儲けも出る

急傾斜工事は無難に作業が進まない事がほとんどである。そのため、多大な工事費や人件費がかかり、赤字を食らう事が多々見受けられる。

私も実際に多大な損害を被った施工業者を何社も見てきた。逆に、今のこの時代で大儲けをした業者も少なからず存在する。そういった業者には3つの共通点が存在する。難しいと言われる急傾斜地の工事現場で儲けるための鉄則をお教えしよう。

【鉄則1】重力に逆らわない施工

私が実際に見てきた大儲けした施工業者を例に説明する。

急傾斜工事のお金の稼ぎ方は一言でいえば、「土を出して稼ぐ」この一言に尽きる。つまり、一日に出す土の㎥数が多ければ多いほど施工期間も短くなり、より多く儲かる。そのために一番大事になってくるのが「土の出し方」だ。

言葉は悪いが、「土の出し方」を工夫しない施工業者は絶対に儲からない。私の見てきた優秀な施工業者は、必ず土を上から下に落とす事を考える。または、自分たちでその状況を作ってしまう。

実際に土を下から上に運ばないといけない現場でも、その施工業者のオペレーターは、一回土を全部下に落としてしまう(防護柵の内側)。その落とした土の場所に、もう一台バックホーを付けて、難なくテイラーなどで土を運び出す。低い位置にある土を一生懸命、重力に逆らいながら運ぶよりも作業の効率が格段に違うのだ。重力に逆らわないとはこういうことだ。

このやり方のほうが作業員の体の負担も減らせるため一石二鳥なのである。急傾斜地の難しい現場に直面した施工管理技士の方は、この考え方を念頭に置いておくと現場の作業スピードが段違いに変わるはずだ。

【鉄則2】合成勾配のノリ(山の斜面)の仕上げをスピードアップ

急傾斜地の工事現場で必ず頭を悩ませるのが、この合成勾配だ。場所によって仕上がりの斜面の角度が変わるため、目でにらんでも全く勾配が分からない。丁張をかけていても全く分からずに手の止まってしまう施工業者がほとんどである。どう山を切っていいのか分からないのだ。ここで時間のロスが発生してしまう。

では儲ける施工業者はどうだろうか。彼らは丁張のスパンごとに糸を張る。そして丁張の端と端を一本のロープでくくり通りを見るのだ。そうすることによって簡単に人力で合成勾配のノリを成形することが可能になる。このタイムロスの差も儲けることができる施工業者と、そうでない業者の決定的な違いになる。

【鉄則3】機械の動く先を考える

悪い例から説明しよう。ある施工業者は山をどんどん掘削していた。ペースも問題なく、そのままいけば予定されていた施工期間よりも早く終わるはずだった。

しかし工事終盤、機械が前後左右動くことが出来なくなり、工事が止まってしまった。バックホーの最終的な逃げ道を作らずに掘削を続けてしまったからだ。これも大きなタイムロスだ。

優秀な施工業者はそんなミスをしない。施工計画とは別に、掘削をどういう手順で行い、どの道から最終的に機械を逃がすのかを事前に考えて掘削に着手する。

もし機械の身動きがとれなくなってしまったら、工事が止まるだけでなく、その機械を動かすのにレッカー車などが必要になる場合もある。そうなってしまえば払わなくてもよかった余計なお金が出ていってしまう。自分の進む道を全く考えていないオペレーターがいたら、施工管理者が掘削手順を考えてから作業を開始したほうが良い。

急傾斜工事は「Time is money」

以上、これら3つの鉄則は本当に重要である。儲けている施工会社は必ず3つの鉄則を守っている。

彼らの考え方は実にシンプルである。「Time is money」、時は金なりである。時間は金であると考えている。そのため、工事中の無駄なタイムロスを一番嫌う。

また、もしタイムロスが起きてしまったら、必ず反省と修正をしている。急傾斜地の工事現場で儲けようと考えるのであれば、この考え方は必要不可欠なものである。

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大学卒業後に一度、建築商材会社に就職するも、その後、現場に立ちたいという想いから、建設会社に転職。 これまでに道路舗装や下水道、解体などの工事に携わってきたが、今は急傾斜地区崩壊対策事業の測量や施工を主に担当している。