「ふつうの事務」から転職したワケ
これまで「ふつうの事務」ばかりをしてきましたが、最近ご縁があって、派遣で現場事務として働いています。 現場事務を希望したのは、重機とガテン系のイケメン職人さんに囲まれて過ごせる(一応お仕事です!)と踏んだのが建前(笑)。
ホンネは、女性ばかりの環境が苦手だったから。周りからは、見た目あっさりで冗談も言うし、何言ってもくじけないと思われがちですが、メンタル弱めで空気を読みすぎる私には、今の職人の方々や元請会社の社員の方との距離感がとても楽でいいのです。
ご想像通り、現場事務所はプレハブ2階建ての2階。1階は、工期によって入れ替わる協力会社の方の作業詰所となっています。私は事務ではありますが、専門的な事務系の仕事は、元請の社員である施工管理士さんや安全の方がされていて多くは求められていないので、自分ができることを見つけて動くようにしています。
たかがファイリングでも入念に
以前「ふつうの事務」をしていたころは、経理・総務・人事を経験しました。制服を着ていたし、当番制の掃除やお客様が来られたらお茶出し、それ以外は自分の仕事をこなすというのが一般的で、ペースはつかみやすかったです。
今は、1日の勤務時間が長いので、週に3日勤務という条件で働かせていただいています。そのため、出勤するたび山ほどの安全関係資料が机上に置かれています。この光景は、もう慣れっこです(笑)。
ここ最近は、コロナ禍の影響もあり、来客や協力会社の体温測定表、健康管理表など、イレギュラーな資料も増えてきました。安全教育担当者や現場責任者、そして所長の全員が目を通して押印されているかを確認し、全てを誰が見てもわかるように、そしてどれがどこにあるか把握するようにしています。
たかがファイリングなので、慣れたら大した仕事ではないですが、毎日常駐している下請さんと、臨時で応援の2次請さんが交互に作業を行うこともあるので 、どうしてこの日のこの会社の書類がないのかなども念入りにチェックしています。
“突然の訪問者” あの人は誰?
先日、高齢の職人さんがぬかるみで足を取られ転倒し、軽い打撲をされたことがありました。翌日には、違う現場で勤務されていたようなので大きな事故には至らなかったものの、現場内で起きたことなので労災です。
そんなある日、労働基準監督署から是正勧告で訪問があり、「重機点検表や従事者の資格一覧表などのファイルを至急出してほしい」と所長より指令がありました。
こんな急用は初めてで、指令に対して「はい!」と返事はしたものの、私が”どうしたんだろう?”という顔をしていたのでしょう。「労基なんだよね」と苦笑いする所長を見て、のん気にお茶を用意しようとしていた私も少し慌てましたが、一通り必要なファイルを用意し所長に渡しました。
現場の査察には時間をかけられていましたが、資料がすぐ出てきたことで問題なしと解釈されたのか、10分ほどでお帰りになりました。所長に「お疲れ」と一言いただいたときは、ホッとしたのを覚えています。
重大インシデントではなかったというのもありますが、経理をしていたころの税務調査を知っている私には、あまりにもあっさりとしていて拍子抜けでした。事務は単純作業の繰り返しですが、任されたからには今後も責任ある仕事をしようと思い直した出来事です。
時折、作業中のオペレーターさんを観察
来客は、次期工程に入る協力会社の担当者が打ち合わせに来られたり、本店や支店からパトロールに来られるとかで事前にちゃんとアポも取られているし、特に今はほとんどが電話かオンライン会議なので、それほど忙しいというわけではありません。
机上の仕事も、それぞれの社員さんの受け持つ施工の図面や工程表といった、その担当者がしっかり管理しているものを整理するだけなので、専門の知識も特に必要ありません。
だからといって、毎日仕事もせず遊んでいるわけにもいかないので、ときどき事務所を抜けては、クレーン作業やバックホウを自在に操るオペレーターさんを観察しています。感心して見入ってしまうこともしばしば。これってさぼってるのかも?(笑)。
おせっかいの一歩手前?
今お世話になっている現場は、元請関係会社の構内の更地に建屋を建てています。地盤調査、基礎杭、鉄骨、コン打設、設備、建具と工程が多い分、工期も長く、携わる元請社員さんは約1年半の単身出向で、近所にあるワンルームで生活をしています。
事務所内の構成は、所長以下は各支店から何ヶ月も従事するため来られている若い社員さんが数名。この方々は、いくつか同じような地方の現場に出向をして、キャリア職になるまでの下積み中の若い子たちで、彼らはあらゆることを自分でこなしていきます。
朝は7時すぎから夜は9時くらいまで働いて、帰宅後は自分で洗濯したり自炊したりしているという話を聞くと(聞かないと言わないけど)、姐さん気分になってしまい、事務所内くらいは何かしてあげたいと思ってしまうのです。ただ、結局それは仕事ではなく、おやつを買いに行ったり、快適に過ごせるように空間を整理したり、おせっかいの一歩手前までの雑務がメインです。
トイレの姉様
変だと思われるかもしれないですが、求められてはいないけど、職人さんが使う簡易トイレの掃除もしています。日頃の感謝の意味も込めて、誰も使わないような時間帯にこっそりとやっています。
最初は、想像通りで「どうしたらこんな風に汚れるのか~~」と泣きそうになりましたが、一度やりだして途中でやめることはできません…。結局、朝礼が終わってみんなが現場に行ったすぐあとと、みんなが帰宅したあとに続けています。
以前、詰所の前を通った時に、職人さんから「トイレ綺麗だと助かる」と、小さな声で捨て台詞のように言ってもらったことがありました。もちろん私も、通りすぎる瞬間だけニッと笑いOKポーズをしておきました。
それからは、時々、外国人技能実習生がトイレを掃除してくれています。「ありがとうございます」と言いに行くと、「姉サンガスルノダメダカラ、僕ニヤレッテ親方ガ言ッタ」と上手な日本語で言ってくれて、思わず笑っちゃいました。
建設業界は、おもしろい!
今は、安全衛生協議会資料の作成や準備、定例会議準備、経費の仕訳、電話応対などをやらせてもらっていて、ゆくゆくは、下請負契約専用データの入力や施工体制台帳の整備などもできるようになりたいと思っています。もともと土木建設関係には憧れがあったので、いつか役に立つかも?と建築業経理事務士資格も取りましたが、現在はまだ眠ったままです。
会社のルールや機密事項もあり、スキルアップはなかなか難しいかもしれないですが、人間関係で悩むことがないのが私にとって一番の魅力です。建屋が出来上がるまでの任期で、だからこその地元採用の派遣ですが、所長がされている仕事も少しずつ手伝えるようになりたいなと思っています。
深く業界を知らずに入ってすぐの実践だったので、いまだに初めて目にするモノが多く、現場で働く人たちを見ていると驚いたり感心したりすることばかりです。これから先、おもしろい発見がまだまだたくさんありそうです。