性に合わない、苦手だ…。「自分ができることだけに集中する」という新たな選択肢

性に合わない、苦手だ…。「自分ができることだけに集中する」という新たな選択肢

個人で活躍する土木技術者が増加中

ここ最近、いろいろな方のSNSを拝見するようになった。気になった方のSNSを片っ端からフォローして、投稿している内容を拝見し続けている。

その中で、ふと気になったことがあった。それは、会社に属さず、個人で活躍する土木技術者が増えつつあるということだ。

その方々の経歴は様々で、例えば、あるゼネコンで土木施工管理を数十年経験して、今は個人で図面作成や数量計算といった作業を請け負っている方。ゼネコンや建設コンサルタントでの勤務を経て、今は個人で様々な取引先から設計案件を受注している方、ゼネコンで部長職を経験し、現在は個人で書類作成等の業務を遂行している方など、経歴は様々だ。

その方々のSNSを拝見していると、ほとんどの方が多くの業務を抱えており、中にはSNS上で「手伝ってくれる方を募集中」とか、「○○の分野の設計経験がある方いませんか」という風に、外注先を探している人も多い。

あるいは、やや大きめな会社が設計技術者やCADオペレーターを、様々な条件で常時募集(正社員、契約社員、アルバイト、時短勤務、週○日勤務可、在宅勤務OK etc…)しているのを見たこともある。

会社によっては、社員として雇用する以外に、個人で業務を担当してくれる方も探しているところもあるようだ。

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企業の多くが人手不足、技術者不足に陥っている

実は、私にも仕事の依頼がポツポツと舞い込むようになった。

私は某企業でフルタイムで勤務しているので、やれる時間が限られており、お断りすることもしばしばなのだが、やれそうだと思ったことはボランティアでいいのでやるようにしている。そうすることで、いっとき会社の仕事のことから離れ、別のことに集中することで気分転換になるからだ。

今受注している業務は単純作業のものが多く、図面を修正したり数量を修正したり、といったことが多い。それでも、個人で業務を担当させてもらえるというのは、非常に貴重な経験だと感じている。

それはさておき、個人にも外注するということは、なんでもいいから(?)手伝ってもらわないと業務を捌けないという会社が増えているということの表れだろう。特に、技術力の高い会社には、こなしきれないほどの仕事が集中して舞い込んでいるという話も耳にする。

少子高齢化は解消するどころか、ジワジワと進行を続けている。なので、いろいろな会社が人手不足、技術者不足に陥っている。今までと同等、もしくはそれ以上の業務量を捌こうとしても、それが難しくなってきているのが現状だ。

なぜ今、個人で仕事を請け負う人が増えているのか?

個人で仕事を請け負うというのは、実は、今に始まったことではない。以前からそういう人はいた。

個人で会社を立ち上げ、知り合いの会社にデスクを置かせてもらいながら仕事をする人がいたし、自宅兼事務所として現場から工務系の仕事をもらっている人もいた。大手建設コンサル会社から、たくさんの業務を発注してもらっている人もいた。そして、閑散期などは派遣社員として、建設コンサルや現場で働いている人も何人も見てきた。

ただ、そういう人は今よりも目立つことはなかったし、ましてや、SNSが今ほど流行っているわけでもなかったので、発信する人も少なかったように思う。だから、今のように光が当たることはなかった。

しかし、今は、SNSで自分のやっていることを発信したり、経験したことを言語化して学べる形に変えるなど、積極的に発信する人が増えた。

つまり、個人で活躍する土木技術者の存在を”知る機会が増えた”ということだろう。

「自分ができることだけに集中する」という働き方

元請けの会社は、ゼネコン・コンサル問わず、マネジメントの能力が必要である。業務進捗管理、外注先・下請け先を含めた人の管理、トラブル対応、様々な社内手続き等が常についてまわる。中にはそういったことが性に合わなかったり、苦手だという方もおられる。

そういう方にとっては、専門職として独立するというのも一つの手段だ。あるいは派遣社員という立場であれば、正社員や契約社員に比べて規則が緩やかなことも多いので、派遣で働きつつ、土日は別のところから業務を請けるということもあり得る。

全部の仕事をまんべんなくこなすのではなく、自身ができることだけに集中するという働き方も、これから普通になっていくのではないだろうか。

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