ラーメン構造とは?壁式構造との違いやメリット・デメリットを紹介

ラーメン構造とは何?メリット・デメリットもわかりやすく解説

ラーメン構造とは?

ラーメン構造とは、建築物の「構造形式」の1つで、中高層の鉄筋コンクリート造のマンションや鉄骨造のオフィスビルでよく使用されています。

ここでは、ラーメン構造について詳しく見ていきましょう。

ラーメン構造は柱と梁で構成する

ラーメン構造とは、垂直に建つ柱と、柱をつないで水平にかけられる梁(はり)とで建物を支える構造のことを指します。

ラーメン構造の由来は、ドイツ語で「額縁」を意味する「Rahmen」からきています。柱と梁でできた構造体の接合部を接合することで頑丈な枠を形成している構造の建築物です。

マンションやオフィスビル、公共建築物の多くでラーメン構造が使用されており、近代建築において最も一般的な構造形式です。

柱と梁の違い

ラーメン構造を構成している柱と梁の違いは、柱は土台から真上に向かって垂直に伸びた部材を指し、床や壁、屋根などを支える役割があります。

一方、は建物の柱と柱をつなぐ水平方向に伸びた部材を指し、柱を固定するとともに、屋根などの支えが役割です。

柱と梁によって、屋根や床などの荷重を支えていますが、地震の際には建物に加わる水平方向の揺れに耐える役割は梁が担っています。

梁の種類

には、屋根を支える小屋梁、柱と柱で支えられている大梁、大梁に支えられている小梁があります。さらに、床を支える床梁、小屋組みや2階の床に設ける火打ち梁など、梁の種類はさまざまです。

梁は、地震などの災害で建物が倒れないように、建物の主要構造部分である柱や屋根を支えています。柱に比べて馴染みのない言葉ですが、建物全体の揺れや引っ張り、ねじれなどさまざまな力に耐えるには、梁が非常に重要です。

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ラーメン構造と壁式構造を見分けるポイント

マンションの構造には、ラーメン構造のほかに壁式構造も採用されています。

壁式構造とは、柱と梁の代わりに、鉄筋コンクリートの壁で建物を支える構造です。壁式構造は、床・天井・壁×4の計6つの壁で構成しています。

ラーメン構造と異なり、壁式構造の室内には柱や梁による凹凸がありません。しかし、壁の配置が決まっているため、大きな窓が作れなかったり、広い家では室内にコンクリートの壁を設置しないといけなかったりと、いくつか制限があります。

さらに、壁式構造を高層に使用すると建物の安全性が低下するため、基本的に採用しているのは5階以下です。では、ラーメン構造を採用している建物の見分けるポイントを紹介します。

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ポイント1. 間取り図を確認

ラーメン構造か見分ける最も簡単な方法は、物件の間取り図を見ることです。ラーメン構造の場合は、室内に柱の出っ張りがある物件が多く、壁式構造なら室内がスッキリしています。

しかし、間取り図によっては細かい部分までは記載していない場合があるため、注意が必要です。部屋の隅に柱の出っ張りや部屋の上部に梁の出っ張りがある場合は、ラーメン構造の可能性が高いといえます。

ポイント2. 階数を確認

ラーメン構造を見分ける2つ目のポイントは、階数を確認することです。建築基準法や建築基準法施行令によって、一定基準を満たさない限り、壁式構造の建築物は5階以下と定められています。

つまり、6階以上の中高層マンションでは、ラーメン構造を採用しているケースが高いといえるでしょう。間取り図の見方が分からない場合や現在の建物がラーメン構造か確認する際には、階数を確認するのも1つの方法です。

ラーメン構造のメリット

ラーメン構造の大きなメリットは、柱と梁を結合するだけで丈夫な建築物になる構造のため、強度を持たせた壁の設置が不要な点です。

壁の設置が不要な分、空間にゆとりが生まれます。さらに、構造の設計や施工が簡単といったメリットもラーメン構造の特徴です。ここでは、ラーメン構造を用いる2つのメリットを紹介します。

メリット1. 間取りの自由度が高い

ラーメン構造は、主に柱と梁で強度を得ているため、強度を持たせるための壁を室内に設置する必要がありません。そのため、室内の間取りに壁の設置を考慮する必要がないため、自由な間取りを作れます。

仮に将来リノベーションする場合、居室の壁は自由に設置できるため、ラーメン構造は間取りの変更がおこないやすい建築方法です。

メリット2. 容易な構造設計

壁に頼らずに強度を高めるラーメン構造では、広い空間が作れて、間取りの自由度が高いため設計にゆとりがあります。特に窓の設計では、ほかの構造では難しい大きな窓の設置や、場合によってはガラス窓の建築も可能です。

さらに、構造設計の自由度としては、天井の高い建築もおこなえます。商業施設などで開放的な吹き抜けの設置も可能な点で、設計自体も比較的に自由度が高いといえます。

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ラーメン構造のデメリット

ラーメン構造は柱と梁で支えている構造のため、広い空間が作れるメリットがある反面、独特の構造がデメリットにもなりえます。柱と梁の出っ張りによる家具の配置に困る可能性もあるでしょう。

ラーメン構造を採用する際には、弱点もしっかり把握することが重要です。では、2つのデメリットを紹介します。

デメリット1. 柱や梁によって部屋が出っ張る

ラーメン構造は、柱と梁という少ない部材で建物を支える構造のため、部材を大きくしなければなりません。

そのため、大きな建築物では強度を高めるために太い柱や梁を使うことで、部屋に出っ張りができ、見た目の問題に加えて家具の配置が難しくなる点がデメリットです。

さらに、室内にデッドスペースができるだけでなく、突き出た柱や梁に圧迫感を感じることもあるでしょう。

デメリット2. 壁式構造に比べると耐震性に劣る

軽い地震の揺れは柔軟性があるラーメン構造でも耐久できますが、想定外の地震に対してはゆがみが大きすぎて、元に戻らない場合もあるでしょう。

柱と梁を一体化することで耐震性を高めているラーメン構造ですが、壁式構造に比べると耐震性が劣ります。そのため、ラーメン構造で耐震性を少しでも強化したい場合は、耐力壁を入れて補強するという方法もあります。

ただし、耐震性にはさまざま要素が影響します。建物全体の形状、部材、設計、地盤の状況などによって異なるため、一概に「ラーメン構造が良い」「ラーメン構造は悪い」とは言い切れません。専門家とよく相談し、最適なものを選びましょう。

デメリット3. 建築コストが高くなる傾向にある

ラーメン構造は、他の構造と比較し、大きな部材を使わなければいけないことも多く、材料費や建築コストが高くなる傾向にあります。

自分のこだわりを追求することも大切ですが、事前に予算を決め、業者としっかりと相談した上で最適な方法を選びましょう。

ラーメン構造は、リノベーションを考えている人におすすめ

この記事では、中高層マンションに採用されやすいラーメン構造の特徴や、メリット・デメリットを解説しました。

ラーメン構造では、強度を保つための壁を置く必要がないため、自由に間取りを変更できます。将来リノベーションを考えている人には、ラーメン構造がおすすめです。

しかし、耐震性やコスト面のデメリットもあるため、メリットだけでなくデメリットも理解した上で、最適な建築方法・構造を選ぶ必要があります。

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